【8923】トーセイ/大手町プレイス政府保有床を4,000億円で落札、AUMは急拡大へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8923】トーセイ(東証プライム市場)  BY

現在値 1,333円/100株  P/E 7.95  P/B 0.89  11月配当優待 

マンション開発から出発し、不動産流動化へ。都心に事業基盤。
配当金は11月の年1回、合計47円のため、配当利回りは約3.53%となります。

トーセイは株主優待制度を実施しており、11月時点の単元保有株主に対して、当社運営ホテルの共通宿泊券3,000円相当を1枚進呈しておりますので、単元保有時想定配当優待利回りは約5.76%となります。また、継続保有期間1年超・2年超・5年超でクオカードを1千円・2千円・3千円別途進呈していますので、長期保有により同利回りは約7%超となります。

業績を確認していきます。IFRSとなります。

■2019年11月期 売上高 607億円、税前利益 120億円、EPS 176.4円 

■2020年11月期 売上高 639億円、税前利益 64.2億円、EPS 76.1円

■2021年11月期 売上高 617億円、税前利益 103億円、EPS 142.6円 

■2022年11月期 売上高 800億円、税前利益 120億円、EPS 166.4円 ce

□2022年5月2Q 売上高 435億円、税前利益 99.0億円、EPS 128.5円 

□2022年8月3Q 売上高 549億円、税前利益 105億円、EPS 151.2円(10/5) 

 

2022年5月期中間期の売上高はYoY+6.4%の435億円、税前利益はYoY+0.5%の99.0億円となり、計画比は無いものの進捗率は7割強となりました。柱の再生事業は、昨年12月に傘下REITに本厚木と千葉中央オフィス、東久留米レジなど合計7物件を58.8億円で売却したほか、子会社の中古区分販売も堅調に推移しました。賃貸事業は資産売却により賃収が伸び悩んだものの、ファンド事業のAUMは2千億円増の1.6兆円超まで更に積み増し、ストック性の高いAMFeeも順調に増加しました。


なお2022年11月期の通期見通しは期初のものを据え置いており、売上高がYoY+29.6%の800億円、税前利益はYoY+16.5%の120億円を見込んでいます。再生事業は上期のREIT拠出で殆ど数字が仕上がっているものの、子会社化したプリンセスグループの通期寄与にくわえ、開発事業も4Qに戸田の分譲マンションや青梅物流、尾山台と緑が丘商業、戸建分譲の増加により大幅増収を見込みます。10月5日開示済の3Q単独は、端境期のため再生事業が低調だったものの、賃貸事業の固定資産およびファンド事業のAUMともに順調に積み上がっており、高進捗にも支えられ超過達成の公算が高いとみられます。

 

進行期は3年中計の中間年度であり、最終年度の2023年11月期までに売上高を617億円→1,000億円、税前利益を103億円→140億円まで其々引き上げる計画です。取組事項として、向こう3年間で2,530億円もの新規投資を実行することとし、その“投資原資”として、自己資本比率を36.5%→34.8%に下げるほか、ネットD/Eを0.9倍→1.27倍まで悪化させ、レバレッジを積極活用します。他方、安定収益源となる棚卸以外の固定資産も340億円ほど積み増し、900億円弱に増やす計画です。

 

昨年12月には傘下REITの28億円(@137,084円)の増資を引き受け、持分を14.4%(従前:9.1%)をまで増やしてコミットメントを強化したほかファンド事業についても、旺盛な外資マネーの受け皿として私募ファンド受託が足許でも急速に積み上がっており、この10月には住友商事が入居する大手町プレイスの政府保有床4,000億円を落札しています。主要出資者はヒューリックとみられ、AM受託によるFee収入の増加が見込まれ、AUM2兆円の大台乗せが射程に入りました。なお、棚卸資産も売値ベースで既に1,440億円確保していることから、中計の数字目標は野心的ながらも達成可視性が着実に高まっている印象です。

 

他方、株主還元については、今次中計で最終的に配当性向を30%水準まで切り上げる方針としており、とりあえず進行期も9円増配となる年47円配を予想しています。会社側は現状のP/NAV06倍台のバリュエーションには納得していないことから、7月に今期2度目となる5億円の自社株買いを実行したほか、株数減少と業績上振れによる追加的な増配可能性があろうかと思われます。

 

*参考記事① 2022-04-15 1,114円 BY

【8923】トーセイ/AUMの積み上がり急で足許1.5兆円水準へ、野心的中計も走破圏。

 

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