【4275】カーリットHD/業績は戻り歩調だが、新中計も株主還元のいずれも物足りぬ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4275】カーリットホールディングス(東証プライム)  NT

現在値 649円/100株  P/E 8.1  P/B 0.50 3月配当 株主優待あり 

化薬・化学品生産。塩素酸ソーダ高シェア。伊藤園向けボトリングも。
配当は3月末一括の年16円配のため、配当利回りは2.47%となります。

カーリットホールディングスは株主優待制度を導入しておりまして、3月末の100株以上の株主に対して、500円分のUCギフトカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.23%となります。なお、3年以上の長期保有で進呈額が1,500円となりますので、同利回りは約4.77%となります。

業績を確認します。収益認識基準変更(新収益)に移行しています。

■2020年3月期 売上高 497億円、営業利益 15.9億円 EPS 29.1円 

■2021年3月期 売上高 455億円、営業利益 15.7億円 EPS 51.8円 

■2022年3月期 売上高 338億円、営業利益 25.0億円 EPS 98.3円 新収益

■2023年3月期 売上高 350億円、営業利益 25.0億円 EPS 79.7円 ce新収益

□2022年6月1Q 売上高 145億円、営業利益 3.7億円 EPS 17.8円(7/29)

□2022年9月2Q 売上高 170億円、営業利益 7.0億円 EPS 23.1円 ce

2022年3月期は新収益基準移行による「調整後」増減率比較では、売上高がYoY+14.4%の338億円、経常利益はYoY+54.9%の27.4億円となり、対前・対計画で増収増益となりました。柱の化学品事業は、花火大会再開による煙火回復、交通量増加で高速道路信号焔管が増販した一方、自動車用保安煙筒や土木等産業向け爆薬が反落しました。他方、ボトリング事業はPET軟調も缶が伸長、産業部材事業は半導体特需でシリコンウエハーが牽引して増収増益となりました。当社は新収益基準移行影響が大きく、ボトリング事業が加工賃のみ、化学品事業の代理人取引が純額計上となったため、160億円程の減収となります。

 

進行期である2023年3月期の予算は、売上高がYoY+3.3%の350億円、経常利益はYoY▲1.6%の27.0億円を予想しています。柱の化学品事業は、自動車用保安煙筒が減産影響を受けるものの、電子機器・半導体向け需要の増加と花火大会向けの続伸が見込まれます。ボトリング事業も人流回復による飲料需要増により小幅続伸を見込みます。他方、半導体特需の続く産業部材事業は好調持続もエネルギーコストと減価償却費増加で小反落の想定です。


当社は終わった2022年3月期を最終年度とする3年中計で、売上高を380億円→490億円(*新収益基準洗替後)、営業利益を23億円→30億円へ伸長させる計画でした。然しながら、インバウンド等観光客激減による飲料見込需要の低下でボトリング事業の新規製造ライン建設を中止したほか、その他新型肺炎禍による全般的な減販により、売上高は中計前のアクチュアル比で減収、利益はかろうじて増益といった仕上がりとなりました。

 

今次策定の新中計は2025年3月期までの向こう3ヵ年で、売上高を340億円→370億円に、営業利益を25億円→30億円に其々引き上げる計画です。取組事項は①成長事業加速化、②研究開発拡充、③既存事業収益改善、その他はESGと資本配分となっています。①及び②は電子材料領域で5GやIoTモジュール向けの特殊高付加価値商材の開発や、中国を中心とした海外展開に取り組むととともに、シリコンウエハー領域では好調な半導体市況を背景にニッチな高付加価値ウエハーの開発に取り組みます。

 

③の既存事業については、粗利益と販管費に拘るとともに資本コストを意識した経営を目指すこととしており、収益性改善のために向こう3年で90億円の設備投資を実施します。新規・開発設備には延べ5億円程度の予算しか出さない一方、更新・老朽化設備や省力化・省エネ化設備には70億円と大部分を充てるほか、DX推進にも15億円を投じます。そのため、そもそもの中計の数字感も弱めであるとおり、売上成長よりも収益改善のための位置付けの3年間であると解されます。

 

財務面については、自己資本比率は61.7%と引き続き高位を維持しています。株主還元については、配当性向20%~30%の還元ポリシーを維持し、配当金は据置の年16円を予定しています。なお当社は日油株約31億円分をはじめとする有価証券を約90億円保有しており、過剰な政策保有株の整理が期待されますが、今次中計でも方針が無かったのは残念なところです。

 

*参考記事① 2021-07-26 725円 NT

【4275】カーリットHD/好調品は半導体等一部に限られる、政策保有株式の削減に期待。

 

*参考記事② 2018-09-13  929円 NT

リチウムイオン電池評価伸び、減額後中計は走破圏か・カーリットホールディングス(4275)。
 

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