リチウムイオン電池評価伸び、減額後中計は走破圏か・カーリットホールディングス(4275)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4275】カーリットホールディングス(東証1部) --

現在値 929円/100株 PER14.6 PBR0.85 3月配当 株主優待あり 

化薬・化学品生産。塩素酸ソーダ高シェア。伊藤園向けボトリングも。
配当は3月末の一括・12円配のため、配当利回りは1.29%となります。

カーリットホールディングスは株主優待制度を導入しておりまして、3月末の100株以上の

株主に対して、500円分のUCギフトカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約

1.82%となります。なお、3年以上の長期保有で進呈額は500円→1,500円にアップします。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 461億円、経常利益 13.1億円 EPS 51.8円 
■2016年3月期 売上高 463億円、経常利益 13.3億円 EPS 33.1円
■2017年3月期 売上高 477億円、経常利益 14.3億円 EPS 32.3円 
■2018年3月期 売上高 517億円、経常利益 21.7億円 EPS 63.6円 

■2019年3月期 売上高 540億円、経常利益 25.0億円 EPS 63.3円 ce

□2018年6月1Q 売上高 124億円、経常利益 4.5億円 EPS 12.1円(7/31)
□2018年9月中 売上高 258円、経常利益 8.8億円 EPS 21.1円四e

2018年3月期の売上高は前期比8.4%増の517億円、経常利益は同51.2%増の21.7億円となり

期初計画を上回って大幅増益を確保しました。化学品事業において、自動車用保安煙筒が

車検交換向けが増販となったほか、電子材料分野についてもエコカー向けのリチウム電池

の受託評価試験が伸長しました。また、伊藤園向けのボトリング事業については、ラインの

増強にともない生産能力が向上したほか、茶系飲料の受注増加で堅調に推移しました。

進行期の2019年3月期の予算については、売上高が4.3%増の540億円、経常利益は14.9%

増の25.0億円を計画しています。柱の化学品は、産業用爆薬が土木工事の増加で復調が

見込まれるほか、引き続きリチウムイオン電池評価試験の受託が大きく伸びる見通しです。

一方、ボトリング事業については横ばいを想定しており、茶系飲料は概ね前年並みの推移

が予想されるものの、コーヒー缶は(伊藤園サイドの)競合激化でやや軟化が見込まれます。

なお、構成比は小さいものの、産業用部材事業については、半導体市況の好況が追い風

となり、主力のシリコンウエハーの堅調な販売が予想されます。


当社は2015年に中計の「礎100」を策定しており、4年後の2019年3月期(※要するに今期)

に売上高650億円、営業利益35億円(直近期実績20.2億円)を定量目標としていましたが、

前半2年が終了した時点で、売上高を540億円・営業利益を24億円へ大きく減額しました。

これは事業拡大計画と新規開発の遅れが主な原因となりますが、減額修正後の計画に

対しては、概ねインラインで進捗しているものとみられ、中計最終年度である今期予算は

中計計画値に合わせた数値となっています。利益面に関しては、23億円を投じた前橋の

広桃水力発電所が本年4月より稼働しており、年間3億円の買電費用を賄えるため、この

“浮き”分を考慮すると、他の事業の横ばいを前提に中計数値は走破圏と考えられます。


当社は2015年に約17億円(@547円)の公募増資を実施しており、リチウム電池試験場の

設備投資や、過塩素酸アンモニウム製造設備増強に充当していますが、実績期で続々

と竣工し、製品の出荷を開始しています。特に当社はロケット燃料原料分野では、国内

唯一のメーカーであり、10億円を投じて建設したロケット推進薬研究施設は、中長期的

な宇宙産業の拡大にともない、業容拡大の核として機能していくことが期待されます。

毎期30~40億円に及ぶ高額の設備投資を行っているため、減価償却費が高止まりして

おり、業績の重しとなっていますが、新たな事業シーズの開発に期待したいと思います。

 

なお、株主還元については、実績期に100周年記念配当として2円増配して、年間12円

を配当したものの、今期はそれを普通配当に切り替えて据え置く方針となっています。
好調な業績のわりに株主還元が渋めで、財務面の良化傾向が続いていますが、既述

のとおり、当社は設備投資意欲の強い会社ですので、資金需要は根強いものがあり、
また増資されるくらいなら、現状程度の株主還元水準で適当かと思います。(株主優待

の長期保有縛り導入による、事実上の制度改悪に当社の姿勢が出ていると思います)

*参考記事① 2017-07-20 624円 --

中計減額修正で展開力不足が目立つ、カーリットホールディングス(4725)。

*参考記事② 2016-08-15 487円 --
中計意欲的も株価は増資前水準、カーリットホールディングス(4275)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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