【2762】SANKO MARKETING FOODS/水産エクスポージャーは拡大、中計は過大。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2762】SANKO MARKETING FOODS(東証スタンダード)  NT

現在値  265円/100株  P/E --.-   P/B 9.39  6月無配優待 12月優待

居酒屋や焼肉を展開。水産事業を育成中。急拡大の焼き牛丼屋や「金の蔵」は大量閉店。
配当基準日は6月末・12月末ですが、今期は無配予想となっています。

 

SANKO MARKETING FOODSは株主優待制度を導入しており、単元株を半年以上保有する6月末・12月末の株主に対して、飲食料金が30%引きとなる優待券を年2回・各1枚進呈しているほか、特製カレーを各2食進呈しています。なお、保有株数に応じて、上記進呈が年2回・各3枚/各3食分までアップします。

業績は下記の通りです。 

■2019年6月期 売上高 107億円、経常利益▲9.7億円 EPS▲109.0円 

■2020年6月期 売上高 73.9億円、経常利益▲19.9億円 EPS▲174.6円 

■2021年6月期 売上高 21.0億円、経常利益▲14.2億円 EPS▲114.8円 

■2022年6月期 売上高 23.0億円、経常利益▲3.0億円 EPS▲18.9円 ce修正
□2021年12月2Q 売上高 9.3億円、経常利益 0.5億円 EPS 1.9円 

□2022年03月3Q 売上高 13.1億円、経常利益▲1.4億円 EPS▲10.1円(5/16)

2021年12月中間期の売上高はYoY▲37.5%減の9.3億円、経常利益はYoY+9億円の0.5億円となり、予算との比較は無いものの黒字圏に浮上しています。路面店の多い「焼肉万里」こそ底堅く推移したとみられるものの、新型肺炎禍の長期化により、「金の蔵」に代表される空中階の居酒屋店舗は総じて苦戦を強いられ、忘年会需要も低調に終わりました。他方、受取助成金6億円強の計上により黒字転換したほか、出退店も受託店純減2店となり、閉店ラッシュの一巡により総店舗数は54店(左記は受託・FC店を含む)と概ね横ばいとなりました。


進行中の2022年6月期の通期見通しについては、3Q時点で再減額しており、売上高が23.0億円(前予:31.0億円)、経常利益は▲3.0億円(前予:UNCH)を見込んでいます。2019年より推進している都心部・繁華街の大型・空中階店舗の閉鎖一巡で店舗純減に歯止めがかかりつつあるほか、官公庁食堂の受託店増加により、安定売上割合が増加しているものの、従来型居酒屋業態の上期からの売上のビハインドを取り返せない見通しです。他方、休業店舗人員の他事業シフトや清掃配置等の効率化施策と、高水準の受取助成金による下支えもあり、赤字幅は最小限に留まるとみられます。

 

当社は今般、2024年6月期を最終年度とする新中計を公表し、向こう3年で売上高を21億円→115億円に、営業利益を▲17.4億円→7億円まで引き上げる野心的な数値目標を立て、新型肺炎禍前水準を奪回する目論見となっています。主な取組事項としては、①店舗収益基盤再構築、②新規事業参入、を掲げています。①は都心型不採算店の閉鎖が完了したことから、以降は低投資業態の「アカマル屋」と「焼肉万里」の両業態に絞って郊外エリアを中心に厳選出店し、毎年3~4店舗ずつ増店していくような青写真を描いています。

 

②新規事業参入については、運営受託・中食/EC・ライセンス・水産(DX)・ふるさと納税など数多く挙げられているものの、水産分野が特に進展しています。2020年に沼津の我入道漁協と提携したことにより、沼津港に競落魚の直売及び調理・飲食提供の「まるが水産」を開業したほか、横須賀中央には本格寿司・しゃぶしゃぶ食べ放題「まるがまる」を開業しています。これらにくわえ、沼津漁港の買参権取得、浜松の鮮魚類卸・海商の買収、自社運用の一本釣り漁船「辮天丸」の取得など、矢継ぎ早に水産事業のポートフォリオを拡充しており、最終的には需要者とシステムで繋いでマッチングプラットフォームを構築する構想の模様です。

 

財務状況については、2019年に食肉卸大手のエスフーズ(2292)への三者割増資で5億円を調達していたほか、高水準の助成金受取も寄与し、なおネット無借金状態にあります。自己資本比率は3割超の水準をキープしているものの、今後も水産関連のMAや出店といった資金需要が根強いとみられることから、仮に黒字化したとしても、向こう数年は財務温存策(無配)が採られる公算が高そうです。

 

*参考記事① 2021-10-30 266円 NT

【2762】SANKO MARKETING FOODS/浜松の海商株式を取得、水産事業が拡大。

 

*参考記事② 2021-04-22 253円 NT

【2762】三光マーケティングフーズ/既存店大苦戦も、沼津我入道漁協と提携で水産業態に活路。

 

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