【3085】アークランドサービスHD(東証1部) OP
現在値 2,031円/100株 P/E 19.5 P/B 2.82 12月配当優待 6月優待
かつ丼のかつやを直営、FCで展開。からあげ業態を育成中。親会社はアークランドサカモト。
配当基準日は6月末・12月末の年2回・合計30円配のため、配当利回り1.48%となります。
アークランドサービスHDは株主優待として6月末・12月末の単元株主に対し、1,100円分のお食事券を年2回進呈しているため、配当優待利回りは約2.56%となります。
業績は下記の通りです。
■2018年12月期 売上高 306億円、営業利益 41.1億円 EPS 79.1円
■2019年12月期 売上高 333億円、営業利益 44.8億円 EPS 80.0円
■2020年12月期 売上高 386億円、営業利益 45.3億円 EPS 74.3円
■2021年12月期 売上高 442億円、営業利益 49.0億円 EPS 82.2円
■2022年12月期 売上高 465億円、営業利益 54.7億円 EPS 103.6円 ce
□2021年3月1Q 売上高 108億円、営業利益 11.7億円 EPS 30.6円(4/28)
□2021年6月2Q 売上高 221億円、営業利益 23.6億円 EPS 45.5円 ce
2021年12月期の売上高はYoY+14.4%の422億円、営業利益はYoY+8.1%増の49.0億円となり、中間時点の増額修正をやや上回って着地しました。主力のかつやについては、テイクアウトの取り込みが順調に進み、既存店売上高(SSS)は102.5%と好調だったほか、同様にからやまSSSも100.2%と堅調に推移しました。他方、マンゴツリーやダンシングクラブといった都心型飲食店が大苦戦となったほか、駅前立地の多いCampや岡むら屋といったファスト型業態も集客に苦戦し、かつや・からやまとは対照的な結果となりました。
進行期である2022年12月期の通期予想については、売上高がYoY+5.2%の465億円、営業利益はYoY+11.5%の54.7億円を予想しています。既に4ヶ月累計まで開示されているかつやSSSは105%と好調に推移していますが、3ヵ月累計で反映される1Qは増収ながらも減益で進捗しており、油・パン粉といった原材料費の高騰がじわりと効いている印象です。なお、通期の出店計画については、出店100・退店20の期末総店舗825店を見込んでおり、国内外でかつや・からやまを中心に出店する予定ですが、当社の出店は例年計画過大のため割引く必要があります。
当社は中期的な経営計画を公表していないものの、直近5~6年程は年率13%程のトップライン成長を継続しています。新型肺炎禍ではかつ丼がテイクアウトに親和性が高いことから、逆に“かつや一本足打法”が奏功する形で、店内飲食依存型の同業他社を堅調な業績を叩き出してきました。そのかつやも既に国内店舗数は400店を超えてきていることから、出店の軸足を海外(タイ・香港・韓国・台湾ほか)に移すとともに、“2枚看板”とすべく唐揚げ業態のからやま・縁の出店を進めています。
2020年には相次いでMAを繰り出しており、スーパーや飲食店向けにとんかつやメンチカツの製造・販売を行うコスミックダイニング・清和ヤマキフード(年商38億円・営業益2億円)を9億円で買収したほか、マンゴツリーやダンシングクラブを運営するミールワークス(年商53億円・営業益1億円)に14億円を投じて持分の70%を取得しています。特にマンゴツリーについては注力業態としており、デパ地下惣菜だけでなく、カフェやロードサイドフォーマットの開発や、既存他業態とのコラボを推進しています。
揚げ物系以外の新業態としては、豚汁業態のごちとんや東京とろろそば、東京たらこスパゲッティ、純豆腐中山豆腐店等を開発しており、中でも昨年12月に三郷中央に1号店を出店した東京デミグラス(ハヤシライス:590円)が日商で90万円を売るなど好発進しており、今後の主力化への期待がかかります。
他方、財務面については社債ほか借金21億円に対して現金181億円を保有しており、自己資本比率も70.4%と外食企業としては異例の好財務を誇っています。業態柄、時短影響をさほど受けたわけではないものの、補助金を目いっぱい受け取ってキャッシュが急速に積み上がっている状況です。そのため株主還元については、終わった期の社長交代記念の謎配当の3円を普通配当に切り替え、年30円配当の横ばいを予想しています。
*参考記事① 2021-11-12 2,286円 OP
【3085】アークランドサービスHD/買収攻勢でかつ丼一本足打法からの脱却が進む。
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