【2931】ユーグレナ/棚卸資産ステップアップ費用化が軽減、バイオ燃料事業の可視性向上は要時間。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2931】ユーグレナ(東証プライム) OP

現在値 895円/100株  P/E --.- P/B 4.94  12月配当(無配) 株主優待あり

微細藻ミドリムシを活用した食品、化粧品販売。バイオジェット燃料に意欲。

 

配当基準日は12月末ですが、無配予想となっています。

ユーグレナは株主優待制度を導入しており、12月末の単元株主に対して、「からだにユーグレナ Green Powder乳酸菌 1week」​​​​​​の進呈のほか、​自社製品のカタログ割引優待を実施しています。

業績を確認していきます。決算期を12月末に変更しています。

■2018年9月期 売上高 151億円、営業利益▲13.7億円 EPS▲14.7円 

■2019年9月期 売上高 139億円、営業利益▲74.6億円 EPS▲107.3円 

■2020年9月期 売上高 133億円、営業利益▲14.5億円 EPS▲16.0円 

■2021年12月期 売上高 344億円、営業利益▲65.6億円 EPS▲49.0円 15m変則

■2022年12月期 売上高 480億円、営業利益 (未定)億円 EPS (未定)円 ce

□2021年6月2Q 売上高 243億円、営業利益▲25.0億円 EPS▲19.8円 四e

15ヶ月変則決算となる2021年12月期の落着については、売上高がYoY2.5倍の344億円、調整後EBITDAもYoY+20億円の13.6億円と実質黒転し、3Q時点の増額修正見通しも更に上振れました。ヘルスケア直販売上高は、期中買収したスキンケア/化粧品のLUGUNAが3Qから、キューサイが4Qから新規連結化した上乗せや、傘下のMEJ社の新製品「C COFFEE」の投入もあり上伸しました。流通売上高についても、主力の「からだにユーグレナ」のほか、「C COFFEE」が好調に推移したため、全社トップラインは一段増となったものの、バッファ吐き出しとみられる未消化広宣費もあり、利益も上振れました(※営業利益は棚卸資産のステップアップ費用化影響で大幅減)。


進行期である2022年12月期の見通しについては、12ヶ月決算復帰のため比較出来ないものの、売上高がYoY+13.9%の480億円、参考値である調整後EBITDAはYoY+15.3%の21.0億円を見込んでおり、会計期間対応させた前年同期間比較でも売上高+57%、調整後EBITDA+40%と大幅な増収増益を見込みます。トップラインについては、ヘルスケア事業におけるLUGUNAとキューサイの通期連結開始効果が寄与します。他方、利益についてもこれら2社の上乗せ効果にくわえ、キューサイのLBOローン財務制限条項で買収時棚卸資産のステップアップ費用化影響を引き続き強いられるものの、▲48.4億円→▲18.6億円に影響額が軽減することが主要因です。

 

現状、中期経営計画等は開示されていないものの、翌2023年12月期まで売上高CAGR10%超となる3期連続成長、2026年12月期には売上高1,000億円到達を目標とするほか、利益(調整後EBITDA)についても3期連続成長を目標としています。近年は積極的なMAによる事業拡大が続いており、2019年にダイエットコーヒー「C COFFEE」を展開するMEJ(年商7億円)を子会社化したほか、2021年にはスキンケア品「あきゅらいず」を展開するLUGUNA(年商18億円)と、高品質有機肥料を展開する大協肥糧(年商14億円)も相次いで子会社化しています。

 

そして昨年5月にはアドバンテッジパートナーズや東京センチュリーとともにコカ・コーラBJから総額230億円強で株式を取得していた青汁大手のキューサイ(年商250億円)の持分を追加取得することにより、連結子会社化しています。キューサイは上述の棚卸資産費用化といった一過性費用増があるものの、コカ・コーラBJ傘下だった5年前のは、単体EBITDAで52億円を叩き出していた実績もあり、巡行化入りにより大きな上乗せが見込まれます。

 

他方、先行投資中のエネルギー・環境事業については、2025年を予定している商業プラントの完成により、バイオ燃料(SAF・HVO)油価前提200円/ℓ、持分換算後の年産25万ℓを前提に売上高500億円・調整後EBITDA100億円を目論んています。ただ、現状においてはプラント建設予定地が決定して、設計やパートナー選定を進めているような段階にあり、(株価には織り込まれているものの、)まだ事業可視性はさほど高くない状況です。

 

財務面については、昨年海外オファリングを実施しており、129億円(@951円)を調達しています。ただ本件増資による資本増強はあったものの、キューサイ買収にともなう借入増加や、終わった期における棚卸資産費用化を主因とした▲52億円の剰余金マイナス負荷もあり、自己資本比率は増資完了時点の40%強から、期末で33%まで悪化しています。それでも、2023年を目途としたキューサイの全株取得による完全子会社化については、追加借入等で手当て可能な水準感にあるものと考えています。

 

*参考記事① 2021-11-08  879円 OP

【2931】ユーグレナ/アドバンテッジらと共同で、コカ・コーラBJからキューサイを買収。

 

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