【2375】ギグワークス/半導体不足によるPC供給遅れが痛打、元社長破産で3.2億円も貸倒か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2375】ギグワークス(東証スタンダード) NT

現在値 480円/100株 P/E 16.1 P/B 2.59 10月配当株主優待 4月株主優待

IT軸の営業支援、PC等機器導入、工事・運用等の受託・派遣が柱。コールセンターも。
配当金は10月末一括の8円配当のため、配当利回りは約1.67%となります。

 

ギグワークスは株主優待制度を導入しており、4月末・10月末に単元株を保有する株主に対して、1,000円相当のこども商品券(ないしビットコイン)を進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.83%となります。

業績を確認していきます。 

■2018年10月期 売上高 160億円、営業利益 5.8億円 EPS 15.6円 

■2019年10月期 売上高 175億円、営業利益 7.8億円 EPS 22.5円 

■2020年10月期 売上高 197億円、営業利益 9.0億円 EPS 21.4円 

■2021年10月期 売上高 211億円、営業利益 12.0億円 EPS 34.6円

■2022年10月期 売上高 240億円、営業利益 10.0億円 EPS 29.5円 ce

□2022年1月1Q 売上高 48億円、営業利益 0.4億円 EPS 1.4円(3/10) 

□2022年4月2Q 売上高 122億円、営業利益 8.6億円 EPS 22.0円 四e


2021年10月期の売上高はYoY+7.1%の211億円、営業利益はYoY▲9.8%の9.0億円となり、増収は確保したものの対予算は未達となりました。主力のオンデマ事業については、継続大型案件の刈り取りや、コンタクトセンター等のBPO受託が拡大したものの、半導体不足によるPC供給遅れによりキッティング業務が想定以下となりました。他方、シェアエコノミー事業については、拠点新設により初期費用が増加しただけでなく、解約増で会員会社数の伸びが鈍化(4,879社→5,350社)し、連れて期末稼働率も80.1%まで急落したため、セグメント赤字に転落しています。


進行期である2022年10月期の予算については、売上高がYoY+13.4%増の240億円、営業利益はYoY+10.6%の10.0億円を見込んでいます。オンデマ事業は5G基地局関連の技術者派遣といった工事関連は堅調な推移が見込まれる一方、家電量販店向けの対面派遣や、PCキッティング関連は半導体不足の影響を色濃く受けるとみられます。また、シェアエコノミー事業についても、新設拠点の稼働率向上に時間を要しているほか、足許の解約率増加で広告費を積み増す必要が出てきており、予算達成は不透明です。実際、去る3月10日開示の1Qについては、25%減収&90%減益で進捗しており、大型案件剥落といった一過性要因はあるものの低進捗となっています。

 

現状、中計等を開示していないものの、内部では売上高CAGR30%(実績CAGR12.1%/3y)、営業利益率10%超(実績約4.2%)超を目標としているようです。当社売上の殆どがオンデマ事業のスポット案件の積み上げのため予測が難しいという背景があるものの、2020年に稼働を開始した受発注プラットフォーム「GiG Works Basic」の活用により、受・発注の直接マッチングの総量を増やし、現状のワーカー登録数125千人も10倍に増やす目論見ですが、いかんせん目下の業績モメンタムと乖離がありすぎるので、現時点では“画餅的”な印象が強いです。

 

当社はスキルシェアリングで同業となるクラウドワークスやランサーズ、ココナラらとは異なり、創業時のスリープロ時代から通信分野ではブティック型の強味を持っています。具体的には5G携帯電話基地局の施工管理があり、土木・配管・電気工事技術の外注業者の取り纏めといった高度業務の受注が可能となっています。また、高い技術力を生かした自社開発のCRMシステムによるソリューションサービスの提供を開始しており、今期からはオンデマ事業から切り出して部門化(ソリューションサービス事業)しています。

 

シェアエコノミー事業におけるシェアオフィスについても、1年前比で3割増となる84店まで拠点数を急拡大させています。然しながら、シェアオフィスはWeWorkをはじめ、大手デべや鉄道、ネットカフェ、TKPといった中小型規模同業とモロに競合しているほか、オフィス空室率が増加する中で他社拠点の供給も止まらないことから、簡単に稼働率が上がるような状況にはなく、当面は多額の広告宣伝費投入と引き換えの事業成長となりそうです。

 

なお、株主還元については、直近まで5期連続増配【0→1.67→2.67→4.67→7.33→8円】してきた経緯があるものの、現時点では年8円配当を据え置く予想です。足許の自己資本比率は約4割の水準であり、基本的には資金需要のないビジネスモデルのため更なる還元強化も可能ですが、元社長である高野氏をめぐる不正取引と同氏の破産により、本年2月に未収金3.2億円のとりっぱぐれがほぼ確定(全額引当済)となったので、このまま増配しない可能性も高そうです。

 

*参考記事① 2021-10-01  611円 NT

【2375】ギグワークス/オンデマ絶好調も、稼働低調のシェアオフィスが食い潰す構図。

 

*参考記事② 2021-03-09  1,120円*分割遡及修正済 NT

【2375】ギグワークス/リモートワーク設定や5G、シェアオフィス需要強く、今期も増勢基調。

 

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