【2375】ギグワークス/オンデマ絶好調も、稼働低調のシェアオフィスが食い潰す構図。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2375】ギグワークス(東証二部) NT

現在値 633円/100株 P/E 18.2 P/B 3.09 10月配当株主優待 4月株主優待

IT軸の営業支援、PC等機器導入、工事・運用等の受託・派遣が柱。コールセンターも。
配当金は10月末一括の8円配当のため、配当利回りは約1.26%となります。

 

ギグワークスは株主優待制度を導入しており、4月末・10月末に単元株を保有する株主に対して、1,000円相当のこども商品券(ないしビットコイン)を進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.30%となります。

業績を確認していきます。 
■2017年10月期 売上高 134億円、営業利益 3.8億円 EPS 10.9円

■2018年10月期 売上高 160億円、営業利益 5.8億円 EPS 15.6円 

■2019年10月期 売上高 175億円、営業利益 7.8億円 EPS 22.5円 

■2020年10月期 売上高 197億円、営業利益 10.0億円 EPS 32.6円 

■2021年10月期 売上高 240億円、営業利益 12.0億円 EPS 34.6円 ce

□2021年4月2Q 売上高 115億円、営業利益 8.4億円 EPS 20.4円 

□2021年7月3Q 売上高 162億円、営業利益 8.7億円 EPS 19.6円(9/10)


2021年4月中間期の売上高は前年同期比28.0%増の117億円、営業利益は同88.9%増の8.4億円となり、概ね予算水準どおりの大幅増収増益で通過しました。主力のオンデマ事業については、新型肺炎のテレワーク運用に絡むヘルプデスク業務の需要が一巡したものの、GIGAスクール案件のキッティング業務の受託が寄与したほか、コンタクトセンター等のBPO受託が順調に拡大しました。他方、シェアエコノミー事業については、会員会社数の拡大ピッチは鈍化(期末4,879社→2Q末5,075社)したほか、まだ低稼働物件も多い1年超稼働施設が増加(同59件→65件)こともあり、稼働率は86.7%まで続落し、セグメント赤字に転落しています。


2021年10月期の通期見通しについては、売上高が21.4%増の240億円、営業利益は同19.7%増の12.0億円と期初予想を据え置いています。オンデマ事業については、GIGAスクール案件の拡大や、目下急速に進む携帯大手の5G投資により技術者派遣が増加する見通しで、連れてBPO受託の堅調推移も見込まれます。“商品”となる労働力についても、企業の副業や兼業の容認風潮の高まりや、失業者数増などによるフリーランス人口の飛躍的増加により、安定的確保が見込まれます。他方、シェアエコノミー事業については、昨年から開業した大型施設の稼働が上がっておらず、解約数増により広告費を積み増しており、好調なオンデマ事業の利益を食い潰す構図となっていることから、全社の予算達成は不透明な情勢となっています。

 

当社は中計等を開示していないものの、内部では売上高CAGR30%(実績CAGR13.7%/3y)、営業利益率10%超(実績約5%)超を目標としている模様です。当社売上の殆どがオンデマ事業のスポット案件の積み上げであり見た目程売上が安定していないことが構造的問題でしたが、昨年10月にローンチした新・受発注PFである「GiG Works Basic」の活用により、発注主とワーカーの直接マッチングの総量を増やして安定化させていく青写真です。KPIとして、現状のワーカー登録数125千人を10倍に引き上げる目標を持っているほか、単なるマッチングだけでなくデータベース機能による精緻化による収益拡大が期待されます。

 

当社は“スリープログループ”として長らくPC教育やトラブル解消などのPCサポート業務を生業としてきましたが、現在ではこの手の分野のスポット系業務と派生するBPO業務を請け負っているほか、ブティック型の強味を持つ通信分野においては5G携帯電話基地局の施工管理があり、土木・配管・電気工事技術の外注業者の取り纏めといった高度業務の受注が可能となっています。また、PCその他システムのリモートハンドリングやヘルプデスク、英・韓・中国語対応といった専門性の高い高単価業務も受注可能となっており、新興の同業他社であるクラウドワークス(3900)やランサーズ(4484)が顧客獲得のための初期コストで赤字を垂れ流す中、老舗かつ単価の高い当社は黒字基調が定着しています。

 

他方、シェアエコノミー事業におけるシェアオフィスも拡大(64店)していますが、こちらはWeWorkをはじめ、大手デべや鉄道、ネットカフェ、TKPといった中小型規模のシェアオフィスまであらゆる事業者が参入して急速にレッドオーシャン化しているのが割引要素です。そのため、当社は既提携先の藤田観光と組み、同社ホテル15拠点を含む70ヵ所の施設がどこでも利用可能な法人向け多拠点型の「SmartOffice」というサービスをローンチしたほか、提携先を共立メンテナンスやダイワロイネットホテル、第一興商まで増やしていますが、稼働率が巡行する前に拠点拡大を急いでいるため、当面は赤字が継続し、全社業績を少なからず押し下げる“お荷物”となりそうです。

 

なお、株主還元については、今期も5期連続の増配となる8円配(67銭の増配)を予定していることにくわえ、3月末に実施した1対3の株式分割後も従来の株主優待基準を据え置き実質拡充となっています。ただこうした株主数・流動性拡大の取り組みにも拘わらず、去る9月29日には東証新市場部でスタンダード市場選択となっており、事実上の指定替え見送りとなっています。

 

*参考記事① 2021-03-09  1,120円*分割遡及修正済 NT

【2375】ギグワークス/リモートワーク設定や5G、シェアオフィス需要強く、今期も増勢基調。

 

*参考記事② 2020-10-07 758円*分割遡及修正済 NT

【2375】ギグワークス/期末大型案件計上予定で低進捗気になるが、シェアオフィスは出店好機。

 

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