【7605】フジ・コーポレーション(東証一部) NT
現在値 1,264円/100株 P/E 8.9 P/B 1.31 10月配当 4月株主優待
タイヤの専門店「タイヤ&ホイール館フジ」を東北・関東に直営で展開。
配当は10月末一括の17.5円配当であり、配当利回りは1.38%となります。
フジ・コーポレーションは株主優待制度を導入しており、4月末現在の2単元株主に対して、5,000円の三菱UFJニコスギフトカードを進呈しておりますので、2単元保有時の配当優待利回りは約3.36%となります(※1年以上の長期保有が必要)。
業績を確認していきます。
■2018年10月期 売上高 328億円、経常利益 28.6億円 EPS 97.1円
■2019年10月期 売上高 351億円、経常利益 37.6億円 EPS 126.0円
■2020年10月期 売上高 342億円、経常利益 35.3億円 EPS 115.4円
■2021年10月期 売上高 370億円、経常利益 42.0億円 EPS 141.9円 ce修正
□2021年4月2Q 売上高 227億円、経常利益 30.9億円 EPS 103.0円
□2021年7月3Q 売上高 297億円、経常利益 33.9億円 EPS 113.1円(9/6)
2021年4月中間期の売上高は前年同期比21.1%増の227億円、経常利益は同35.1%増の30.9億円となり、トップラインから2桁増収となったほか、対予算でも上振れしました。2020年末については、2019年末の暖冬から一転して全国的な降雪・多雪によりスタッドレスタイヤの売上が好調に推移し、上期6ヵ月間の既存店売上高(SSS)は実に113%水準にまで膨れ上がりました。他方、会社側計画では新型肺炎禍による下押しを相当程度見込んでいたものの、結果的にバッファ未消化となり上振れた格好となります。
2021年10月期の通期予算については中間時点で増額しており、売上高が前期比8.1%増の370億円(期予:360億円)、経常利益は同19.0%増の42.0億円(期予:37.0億円)にそれぞれ修正しています。ただ9月6日に公表された3Qによれば、売上高は前年同期比15.9%増の297億円、経常利益は同16.7%増の33.9億円と積み上げがやや減速しているほか、直近3ヵ月(6‐8月)のSSSは緊急事態宣言の適用地域拡大とお盆に3日間の店休日を設けた影響等もあり、軒並み前年割れに落ち込んでいます。なお、第三自動倉庫(※後述)新設による償却負担増をこなし、通期で12%程度の販売量増加が見込まれ、実際にEC売上も伸長していますが、増額後予算の達成は不透明な情勢です。
当社は2015年までJASDAQ上場企業でしたが、2016年に東証二部から一部へ指定変更となり、二部指定の際にPOで14億円(80万株@1,868円)を調達し、タイヤ・ホイールの在庫購入費用に充てています。これは同年9月に“第3ロジスティクス”という先進物流倉庫を竣工させて在庫保管能力を増やしたことと関係していますが、当該倉庫は仕入・販売・顧客管理等を統括する基幹システムと連携させ、多品種在庫の確保と効率保管・速やかな商品発送を両立させています。またこの“第3ロジスティクス”に追加で30億円を投じ、在庫保管能力が従来の2倍となる第三(自動)倉庫を2020年9月に竣工させたため、自社内サプライチェーンがより一層強化されたことになります。
かような取組により年間285万本体制だった供給能力は、本年度中にも305万本体制にまで膨らむ見通しとなった一方、販売力の強化が課題となっています。2020年に47店目となる白河店をやっと開業したものの、ロードサイドの出店適地物件は争奪となることが多く、進行期は移転を除き出店ゼロとなる見通しです。また人手不足もネックとなっており、20人台に留まる新卒採用を倍増ペースで増やして対応する方針ですが、この採用は例年未達が続いており、繁忙期の冬タイヤ交換に2時間待ちが続出するなど既存店の実影響まで出ているような状況です。そのため、物件確保難・人材確保難の両面から“踊り場”状態が避けられず、当面はEC伸長など限られたドライバーに頼る格好となりそうです。
なお株主還元については、実績期の業績好調にともなう特別配当の5円を減配し、年17.5円配を予想しています。自己資本比率は足許ベースで76%と財務体質が非常に良いため、配当性向15%程に過ぎない現水準は明らかに還元不足であり、引き続き自社株買いや増配に期待したいと考えています。
*参考記事① 2021-03-11 1,156円(*分割遡及修正) OP
【7605】フジ・コーポレーション/全国的な降雪で特需発生、株主還元は物足りぬ印象。
*参考記事② 2020-09-30 1,161円(*分割遡及修正) OP
【7605】フジ・コーポレーション/期初予算奪回はなお難しいが、客足の戻りは順調。
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