【3193】鳥貴族(東証一部) OP
現在値 1,770円/100株 P/E--.- P/B4.24 7月配当優待 1月配当優待
居酒屋「鳥貴族」の飲食店舗の運営及びフランチャイズ展開。
配当基準日は1月末・7月末ですが、期末実績ベースでは無配に転落しています。
鳥貴族は株主優待を実施しており、1月末・7月末現在の単元株主に対して1,000円分の優待券を進呈していますので、配当優待利回りは約1.12%となります。
業績は下記の通りとなっております。
■2017年7月期 売上高 293億円、経常利益 14.2億円 EPS 83.5円
■2018年7月期 売上高 339億円、経常利益 16.1億円 EPS 57.1円
■2019年7月期 売上高 358億円、経常利益 11.4億円 EPS▲24.7円
■2020年7月期 売上高 275億円、経常利益 9.5億円 EPS▲65.8円 ce
■2021年7月期 売上高 (未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce
□2021年1月2Q 売上高 108億円、経常利益▲10.3億円 EPS▲71.4円(3/5)
2021年1月中間期については、売上高が前年同期比37.8%減の108億円、経常利益は同赤転の▲10.3億円となりました。新型肺炎の影響が継続しており、昨年11月からは酒類提供店に営業時間制限が加わったこともあり、10月は一旦93%水準にまで回復した既存店売上高は、12月には28.1%、年明け1月には28.1%にまで急低下しました。出退店については、FCで1店の出店があったものの、不採算店を中心に8店の閉店を実施したため、総店舗数は前期末比7店減の622店となっています。
なお2021年7月期の通期見通しについては、売上高が前期比17.3%減の227億円、経常利益は同赤転の▲17.8億円を想定していたものの、新型肺炎鎮静化の見通しが不透明なことから、再度未定へと切り替えています。出退店についても、上期折り返しの時点で純減7店でしたが、通期では純減10店程度(前期は純減30店)となる見込みです。既存店売上高については、9ヶ月分(昨年8-4月)が開示されていますが、既に前年ハードルが機能しなくなっているため実態が捉えずらい状況ですが、足許4月の月次を一昨年同月実績と比較すると36.3%となっています。なお6月1日からは、時短ながら営業を再開する店舗が増える予定ですが、当初想定よりも赤字幅は拡大するものと見込まれます。
今年度は5年中計の2年度目となっており、最終年度の2024年7月期に売上高450億円、営業利益8%(36億円)を定めていましたが、新型肺炎禍による経営環境の激変により今般ローリングをかけており、修正後数値は売上高370億円、営業利益5.9%(21.8億円)に減額修正しています。中計の骨子としては、引き続き“アメーバ経営”の採用により、各店舗・エリア・統括といった各経営階層毎の採算管理を厳格化するとともに、ドミナント形式による積極出店施策の裏で進んでいた自社競合を不採算店閉鎖により間引いて採算性向上を図るものとみられます。また、マーケティング本部を新設し、店舗開発から商品開発・広告活動まで一貫して行う形へと改組しています。
新業態については、既存店間の隙間立地や不採算店舗の閉鎖により間引かれたエリアを埋めるような小規模業態を社員のれん分け方式で展開していく方針であり、創業者の名前を冠した城北公園通りの「大倉家」に続き、専務の名前を冠した「中西家」を名鉄線の常滑駅前に開業しています。従来型では初期投資が50百万円程要しており、独立をためらう社員が多かったものの、本業態では10百万円程で圧倒的に安く、多店舗展開に弾みがつく形となります。また、「トリキバーガー」というその名のとおりのバーガー業態を本年8月に開業予定となっており、居酒屋一本足打法から脱却すべくパンデミックでも対応出来るような業態開発を急ぎます。
財務状況については、二部上場時のPO(約18億円)でエクイティ調達をしており、昨年4月、6月に主力3行から延べ65億円を借入したほか、別途40億円のコミラインを引いています。そのため資金繰りについては十分な手当がなされており、資本と借入の入れ繰りがあるものの、自己資本比率も依然27.9%水準をキープしています。なお配当については無配となる見通しですが、「トリキバーガー」の開発に相応の資金を投じる計画もあるため、これは妥当な無配と考えています。
*参考記事① 2020-11-30 1,384円 OP
【3193】鳥貴族/業績未定・出店ゼロ圏だが、社員暖簾分け用に小型業態を開発。
*参考記事② 2019-05-30 1,961円 OP
【3193】鳥貴族/新中計の出端を挫かれるも、採算性の良化傾向が顕著。
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