【9286】エネクス・インフラ投資法人(東証インフラ) OP
現在値 90,300円/1株 P/E 34.2 P/B 1.02 5月分配 11月分配
伊藤忠エネクスをメインスポンサーとするインフラファンド。サブスポンサーはSMTBなど。
予想分配金は年1回の合計6,000円配のため、分配金利回りは約6.64%となります。
業績を確認していきます。
■2018年11月期_第1期 営業収益 0億円、経常利益▲0.15億円 DPU 0円
■2019年11月期_第2期 営業収益 12.5億円、経常利益 3.15億円 DPU 5,980円
■2020年11月期_第3期 営業収益 15.7億円、経常利益 2.21億円 DPU 6,000円(1/14)
■2021年11月期_第4期 営業収益 46.9億円、経常利益 9.20億円 DPU 6,000円 ce
□2021年5月期_2Q 営業収益 23.0億円、経常利益 3.6億円 DPU 0円 ce
2020年11月期_第3期の営業収益は期初公表予算比変わらずの15.7億円、経常利益は同0.5百万円上振れして2.21億円とほぼ予想通りとなりました。分配金に関しては、前期比20円増の6,000円(OPD3,659円を含む)となったものの此方も予算通りとなります。年初及び7月の天候不順の影響を受けて、千代田高原・防府を除いていずれも計画割れとなり、トータルの発電量が計画比93%となったものの、賃料リザーブからの補填により穴埋めした格好となります。
進行期である2020年11月期_第4期の予算については、営業収益が第3期比3倍の46.9億円、経常利益は同4倍の9.2億円を見込んでいます。トップラインが大幅な増収となるのは、昨年12月2日にPOを通じて松坂を取得しており(※後述)、当該物件がほぼ通期でオンされることが主な要因です。一方、分配金(DPU)については同変わらずの6,000円(うちOPD3,367円)を予想しています。元より本法人はDPUに占めるOPD割合が高く、期中取得や想定超の上振れによりEPUが伸びた場合でもOPD部分を潰して相殺し、DPU目線感を年6,000円水準において安定配当すると考えられます。なお、2月まで開示されている月次によれば、3ヶ月累計の実績発電量は1GWh程上振れているとみられます。
当法人は昨年11月に1stPOを公表しており、グローバルオファリングで実に約215億円(@84,268円)も調達し、松坂を取得しました。松坂の取得価格は402億円と群を抜くメガトン級の案件のため、資産規模では上場インフラファンド首位に躍り出るものの、FIT買取単価は32円であり、他物件の36~40円と比べると見劣りします(パーセンタイル50超過分は半分の歩合賃料が発生)。それでも実力を示すEPUは第3期の2,341円から2,633円に+12.5%成長するほか、一過性のPO費用約90百万円を控除した想定EPUは同2,3412円から2,887円に+23.3%成長することから、見えずらのDPU自体は全く変わらないものの、内容としてはアクリーティブとなっていることから、第5期は6,100円~6,200円程度のDPUが視野に入りそうです。
当法人の掲げる中長期的な目標感としては、向こう5年で当初資産規模180億円を1,000億円まで膨らませる方針ですが、今次POで一気に600億円級にまで成長しました。実際にスポンサーパイプラインについても、メガトン級の松坂取得後でも現在の資産規模の倍程度の“玉(121.8MW)”があるので、外部成長余地は当面問題なさそうです。当法人の特徴としては、伊藤忠エネクスをはじめSMTBやマーキュリアインベストメントといったクレジットの高い会社が名を連ねているほか、筆頭スポンサーがエネルギー事業を本業とする伊藤忠エネクスであるため、エネクス電力のオペレーターとしての能力もさることながら、伊藤忠エネクスや王子・伊藤忠エネクス販売によるFIT後の買電支援といったスポンサーの総合力の発揮が期待される点と考えています。
*参考記事① 2020-04-03 85,200円 OP
【9286】エネクス・インフラ投資法人/潜在的な実力値は高いが、外部成長機会は当分先か。
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