【9286】エネクス・インフラ投資法人/潜在的な実力値は高いが、外部成長機会は当分先か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9286】エネクス・インフラ投資法人(東証インフラ) OP

現在値 85,200円/1株 PER36.4 PBR0.92 5月分配 11月分配

伊藤忠エネクスをメインスポンサーとするインフラファンド。サブスポンサーはSMTBなど。
予想分配金は年1回の合計6,000円配のため、分配金利回りは約7.04%となります。

業績を確認していきます。

■2018年11月期_第1期 営業収益 0億円、経常利益▲0.15億円 DPU 0円

■2019年11月期_第2期 営業収益 12.5億円、経常利益 3.15億円 DPU 5,980円(1/10)

■2020年11月期_第3期 営業収益 15.7億円、経常利益 2.16億円 DPU 6,000円 ce

□2020年5月期_2Q 営業収益 7.8億円、経常利益 1.04億円 DPU 0円 ce

2019年11月期の営業収益はIPO時公表予算と同水準の12.5億円、経常利益は同0.3百万円上振れし、3.15億円となりました。分配金に関しては、当初予想の5,953円→5,980円へと27円上振れしました。高萩、千代田高原、防府の3発電所がいずれも計画を上回ったものの、九州電力管内の玖珠が出力制御の影響を受けて計画比97%となったほか、旗艦物件である鉾田も日射量減やケーブル盗難による設備障害が原因で同94%に留まりましたが、これら計画割れ2物件についてはオペレーターの積立金吐き出しで賃収をカバーしています。なお、IPO時の三社割が株価低迷により殆どが失効したため(3,675口が失効)、利益分配金(EPU)の見込額が上昇したことから、当初見込みの利益超過分配金(OPD/2,889円)については159円減じた2,730円とし、内訳を変更しています。


進行期である2020年11月期の予算については、営業収益が24.9%増の15.7億円、経常利益は31.4%減となる2.16億円を見込んでいます。トップラインが大幅な増収となるのは、今期から運用期間が291日→366日に巡航化するほか、長崎琴海太陽光発電所を本年1月17日にデットで購入しているため、当該物件がほぼ通期でオンされることが主要因です。分配金(DPU)については20円増となる6,000円(うちOPD3,659円)を予想しています。元より本法人はDPUに占めるOPD割合が高いため、上述の長崎琴海のような期中取得や想定超の上振れによりEPUが伸びた場合、OPD部分をある程度潰して配当する意向があるものとみられるため、DPUの目線感を年6,000円水準において安定配当していくものと考えられます。

 

当法人の掲げる中長期的な目標感としては、5~6年で現在の資産規模180億円を1,000億円まで膨らませる方針であり、実際にスポンサーパイプラインについても現在の資産規模の6倍程度の“玉”があるので、外部成長余力については問題なさそうです。当法人の長所としては、伊藤忠エネクスをはじめSMTBやマーキュリアインベストメントといったクレジットの高い会社が名を連ねているほか、筆頭スポンサーがエネルギー事業を本業とする伊藤忠エネクスであるため、エネクス電力のオペレーターとしての能力もさることながら、伊藤忠エネクスや王子・伊藤忠エネクス販売による“FIT後”の買電支援といったスポンサーの総合力の発揮が期待される点と考えています。

 

また、他インフラファンドと異なり、風力発電所・水力発電所も明確にクライテリアに含めており、実際に稼働済みの名有りパイプラインもあるため、今後は太陽光以外の代替投資ニーズの取り込みにより、株価的なプレミアム評価の余地が発生しうるものと考えております。財務面については、期末LTV55.6%→長崎琴海取得後で58.1%とやや高いのが難ですが、一応タカラレーベン・インフラ同様にJCR格付(A-、当法人は安定的・タカラはポジティブ)を取得しており、あとはスポンサーネームが強いので高レバでも大丈夫かと思われますが、減価償却費のかなりの部分をDPUとして吐き出してしまっているほか、足許の株価が昨年の公開価格92,000円を大きく割り込んでいるため、POによる外部成長期待については現状かなり期待薄と考えられます。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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