【4666】パーク24(東証1部) NT
現在値 2,302円/100株 P/E 71.1 P/B 11.4 10月配当 優待中止
24時間無人時間貸し駐車場タイムズを運営。英国・豪州などにも展開。
配当基準日は10月末で年5円予想のため、配当利回りは0.22%となります。
パーク24はかつて株主優待を導入しており、単元株を保有する10末株主に2,000円分のパーキングチケットを進呈していましたが既に中止となっており、復活については未定となっています。
業績を確認をしていきます。
■2017年10月期 売上高 2,329億円 営業利益 205億円 EPS 91.6円
■2018年10月期 売上高 2,985億円 営業利益 225億円 EPS 91.8円
■2019年10月期 売上高 3,174億円 営業利益 223億円 EPS 79.7円
■2020年10月期 売上高 2,689億円 営業利益▲146億円 EPS▲302.0円
■2021年10月期 売上高 2,820億円 営業利益 135億円 EPS 32.6円 ce
□2021年4月2Q 売上高 1,300億円 営業利益 ▲5億円 EPS▲16.1円 ce
2020年10月期については売上高が前期比15.3%減の2,689億円、営業利益は同赤転の▲146億円での着地となり、前期比では大幅な減収減益となったものの、中間時点の減額予算に対しては上振れしました。モビリティ事業について3Q期間でカーシェアの売上回復がみられたほか、10,000台以上減車(うち7割を売却済)したことによる採算性良化が寄与しました。また、駐車場国内事業についても、トップラインは極めて厳しい結果となったものの、地代削減交渉等のコストカットが想定超で進捗したため、想定より浮上した格好となります。他方、駐車場海外については、新型肺炎禍の影響が大きく、豪州・英国子会社等について合計▲309億円の減損計上を強いられることとなり、全社ボトムラインは▲466億円の大赤字に沈んでいます。
進行中の2021年10月期の予算については、売上高が4.9%増の2,820億円、営業利益は同黒転の135億円を見込んでいます。主力の国内駐車場の予算前提は、新型肺炎前の2019年10月期比90~95%水準の売上まで回復することを前提とし、人件費削減、地代減額改定、新集金機設置抑制等といったコスト抑制策により、セグメント利益は実績期倍増の240億円を見込んでいます。モビリティ事業についても、カーシェアについては比較的堅調に推移していることから、同5倍の102億円を見込んでいますが、これら国内両事業ともに今冬の新型肺炎禍の再流行を十分に織り込んでいない可能性があります。他方、海外事業については、2019年10月期比60~80%水準の売上が前提であり、保守的ではあるものの、連結タイムラグ影響もあり引き続き赤字見込みとなります。
当社は中長期的な業績目標を掲げておりません。長らく先行投資の続いていたモビリティ事業については、新型肺炎前の時点では国内駐車場事業の利益の4分の1水準に迫る水準で急拡大していたものの、新型肺炎禍によるレンタカー需要の著しい減少でモビリティ稼働台数の減車(5万台→4万台)に取り組まざるを得なくなりました。ただレンタカーについては車両売却で縮小させるものの、新型肺炎禍で代替交通インフラとしての需要選好がみられた“タイムズカー”(カーシェア)は足許でも堅調に推移しており、この2021年10月の見通しベースでは国内駐車場事業の利益の4割水準にまで迫る見通しです。そのため、この“タイムズカー”が当面の成長軸になろうかと思われます。
他方、海外事業については、2017年に約190億円を投じて買収した豪Secure Parking社(の環太平洋の一部事業)と、同年8月に政投銀とのJVで約238億円を投じて買収した英国最大手のNational Car Parks社がリストラ一巡後に新型肺炎禍に襲われることととなり、これら2社の600億円に及ぶのれん代のうち▲242億円をこの度減損する格好となりました。ただこれにより期末時点のB/Sののれん代は167億円にまで減少しており、引き続き20年償却とすれば年間▲30億円にも上る償却額は、年間▲10億円未満となる見通しであり、以降の償却負担は劇的に軽くなります。
財務面については、期末時点の自己資本比率は1年前と比較して実に2,000bps.も下落して10.5%まで急低下しました。そのため、会社側は従来年70円出してきた配当を無配に切り替えるなどして対応してきましたが、昨年12月に半資本性のある劣後ローンで500億円を調達したため、エクイティファイナンス懸念が遠のいた点はポジティブかと思います。ただ会社側では、自己資本比率30%までは配当を抑制する方針のため、当面は現行水準の超低配当が予想されるほか、株主優待の復活についても相応の時間がかかる可能性がありそうです。
*参考記事① 2020-10-08 1,804円 OP
【4666】パーク24/大赤字見通しで無配転落も、修正予算はコンサバ感が強い。
*参考記事② 2020-03-20 1,690円 OP
【4666】パーク24/早くも新型肺炎影響発現で下方必至だが、株価面の織り込みは進む。
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