【4666】パーク24(東証1部) OP
現在値 1,804円/100株 PER--.- PBR4.34 10月無配優待中止
24時間無人時間貸し駐車場タイムズを運営。英国・豪州などにも展開。
実績ベースの配当は年間合計70円だったため、直前の配当利回りは3.88%でしたが、既に無配転落のアナウンスがなされています。
パーク24はかつて株主優待を導入しており、単元株を保有する10末株主に2,000円分のパーキングチケットを進呈していましたが、本制度についても中止される旨の公表がなされています。
業績を確認をしていきます。
■2016年10月期 売上高 1,943億円 営業利益 214億円 EPS 95.8円
■2017年10月期 売上高 2,329億円 営業利益 205億円 EPS 91.6円
■2018年10月期 売上高 2,985億円 営業利益 225億円 EPS 91.8円
■2019年10月期 売上高 3,174億円 営業利益 223億円 EPS 79.7円
■2020年10月期 売上高 2,630億円 営業利益▲242億円 EPS▲164.9円 ce修正
□2020年4月2Q 売上高 1,456億円 営業利益▲12億円 EPS▲16.7円
□2020年7月3Q 売上高 2,004億円 営業利益▲118億円 EPS▲79.1円(9/15)
2020年4月中間期の売上高は前年同期比5.5%減の1,456億円、営業利益は同赤転の▲12億円となり、対予算でも大幅な減収減益で着地しました。主力の国内駐車場については、新規開発を進めたことで運営台数は微増となる764,857台まで積み上げたもののの、新型肺炎の影響が色濃くなった2月から売上が減少しはじめ、3月は前年の9割弱、4月は同7割弱の水準にまで落ち込みました。モビリティ事業についても同様に、インバウンドの減少と旅行・レジャー需要の後退でレンタカーが大きく落ち込んだものの、公共交通機関忌避の動きからカーシェアは比較的底堅く推移しました。海外事業については、子会社である英National Car Parks(NCP)及び豪Secure Parking(SP)の主力展開エリアである英国・豪州が3月より厳しいロックダウンが発令されたため、連結タイムラグでひと月分の業績マイナス寄与しかないものの、営業損失は前年同期の倍以上まで拡大しました。
2020年10月期の通期予算については中間時点で修正しており、売上高が前期比17.1%減の2,630億円(従予:3,330億円)、営業利益は同赤字転の▲242億円(従予:267億円)まで大減額しています。修正予算上の売上高については、6月は対期初予算比60%、7月70%、8月74%、9月81%、10月86%に段階的に前提へ置き直す一方、原価面は売上減にともなう変動費削減にくわえ、人件費削減、地代減額改定、新集金機設置抑制等により190億円の良化を織り込んでいますが、なお大赤字見通しとなっています。但し、去る9月15日に開示された3Qによれば、売上高は2,004億円、営業利益は▲118億円で進捗しており、修正予算比で経常利益が99億円上振れていることが明示されているほか、内容もトップライン想定超ではなく地代減額改定などで絞り出された恒久的なコスト削減が効いていることから、“筋肉質”な数字となっており、修正予算比ではこのまま上振れ着地する公算が高そうです。
当社は中長期的な業績目標を掲げていないものの、目安として毎期2桁(年率10%)を超える経常利益の継続的成長を目指していました。長らく先行投資の続いていたモビリティ事業については、新型肺炎前の時点では国内駐車場事業の利益の4分の1水準に迫る水準で急拡大していたものの、新型肺炎禍によるレンタカー需要の著しい減少でモビリティ稼働台数の削減(5万台→4万台)に取り組まざるを得なくなり、成長ドライバーとしての位置付けが薄らぐこととなりました。但しレンタカーについては車両売却で縮小させるものの、新型肺炎禍で代替交通インフラとしての需要発現がみられたカーシェアは足許でも前年並みに推移していることから、レンタカー的性質を併せ持つ「タイムズカー」に資源をシフトし、改めて成長軌道に乗せていく目論見です。
海外事業についても、2017年に約190億円を投じて買収した豪SP社(の環太平洋の一部事業と英国事業)と、同年8月に政投銀とのJVで約238億円を投じて買収した英国最大手のNCP社のシステムの再構築や現場統一化が一巡し、やっと成長軌道へと舵を切るタイミングでしたが、そこを新型肺炎に襲われた格好となりました。また上述のとおり海外の方がロックダウン影響が大きく、これら2社の600億円に及ぶのれん代の償却(20年)年間▲30億円も重しとなるほか、新型肺炎禍前から意識されていた減損リスクが更に高まった点はには注意が必要です。
財務面については、足許時点の自己資本比率は1年前と比較して700bps.程下落して23.2%まで低下しています。会社側は中間時点で現金等300億円、融資枠500億円を確保するとともに、年間配当70円を無配に落として資金繰りを手当てしているような状況です。財務体質を強化したい意向があるようですので、資本性のあるハイブリッドローン等での調達が期待される一方、来期の復配も微妙な状況になったと思われます。
*参考記事① 2020-03-20 1,690円 OP
【4666】パーク24/早くも新型肺炎影響発現で下方必至だが、株価面の織り込みは進む。
*参考記事② 2019-10-09 2,555円 NT
海外事業が想定超の苦戦、減損可能性も・パーク24(4666)。
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