【1808】長谷工コーポレーション(東証1部) OP
現在値 1,392円/100株 P/E 8.2 P/B 1.03 3月配当株主優待 9月配当
マンション建築首位。土地手当、計画立案から施工まで一貫モデル構築。サービス事業育成。
配当金は3月末・9月末の計70円配当のため、配当利回りは5.03%となります。
長谷工コーポレーションは株主優待制度を実施しており、3月末時点で100株以上を保有する株主に対して、リフォーム優待(3%割引)・仲介手数料優待(5%割引)となる割引券を進呈しております。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 7,723億円、経常利益 888億円、EPS 195.5円
■2018年3月期 売上高 8,132億円、経常利益 1,004億円、EPS 242.0円
■2019年3月期 売上高 8,909億円、経常利益 1,003億円、EPS 293.0円
■2020年3月期 売上高 8,460億円、経常利益 852億円、EPS 201.4円
■2021年3月期 売上高 8,000億円、経常利益 700億円、EPS 173.1円 ce
□2020年9月2Q 売上高 3,699億円、経常利益 300億円、EPS 70.9円
□2020年12月3Q 売上高 5,536億円、経常利益 457億円、EPS 107.9円(2/10)
2020年9月中間期の売上高は前年同期比10.7%減の3,699億円、経常利益は同30.9%減の300億円となり、売上高は予算を下回ったものの、利益は減益ながらも予算線で着地しました。予算前提となる首都圏全体の供給戸数を40,000戸/近畿圏を20,000戸(市場全体)で見込むとともに、期初時点での建設事業における受注残高はほぼ前年並みとなる6,008億円を抱えてスタートしましたが、建築工事及び分譲販売ともに低調に推移しました。また新型肺炎禍の影響を受け、仲介・管理・リフォームといった周辺事業も軒並み停滞しました。上期の受注についても、浜離宮建替(420戸)、久太郎町(511戸)、千葉中央(397戸)等を受注したものの、1,642億円となり会社計画を150億円程下回りました。
なお2021年3月期の通期予算については、売上高は前期比5.4%減の8,000億円、経常利益は同17.9%減の700億円と期初予想を据え置いていますが、2020年度の首都圏全体の供給戸数については五輪選手村跡地の晴海フラッグが延期されたことから予想を大きく下回る見通しです。去る2月10日に公表された3Qについても、売上高が前年同期比9.4%減の5,536億円、経常利益が同25.4%減の457億円と低進捗で推移しており、未達公算が極めて高い状況です。また3Qまでの追加受注として、ふじみ野(708戸)、豊中シニア(548戸)、堺筋本町(511戸)等があったものの、受注高も同22%減の2,203億円と通期計画の4,500億円に対して半分以下の進捗となりました。
今期は新5年中計「NS計画」の初年度となっており、最終年度の2025年12月期に経常利益1,000億円(CAGR3%)の回復を目指しており、主要戦略として①コア事業強化、②不動産関連拡大、③DX等、④新規投資2,400億円、⑤財務戦略・株主還元の5つを掲げています。①の本業部分では再開発におけるマンション以外の“面型”の大規模複合開発への取り組み強化や、本業に係る③については設計・施工一貫BIMモデルのDX化により工期短縮や省人化、ひいては原価低減を図る方針です。
直接的な利益寄与が大きい②の不動産については、分譲事業における九州・四国・沖縄への展開エリア拡大や、賃貸不動産の所有及び私募REIT(賃貸マンション)の活用による一時利益実現とAMフィー獲得を目指します。ただ、ホテル開発が鎮静化したことで仕入易化が期待されたものの、実際はデべやファンドとの競合激化で価格が高騰しており、ブックを使った形での業容拡大が難しくなっています。また③については、DXによる収益拡大というよりも新型肺炎禍で管理組合とのコンタクトが取れずに、本来取れるはずだった修繕工事の取りこぼしを防ぐといった“守り”の色が強く、業績寄与は限定的とみられます。かような状況から、本中計目標の経常利益1,000億円は明らかに過大であり、実現は難しいと考えます。
そのため当社における主要な投資論点は⑤の財務戦略・株主還元となっています。自己資本比率は足許ベースで43%と盤石な水準を維持していることもあり、中計5年間の配当金額下限を年70円としたほか、総還元性向40%を掲げています。足許に於いても発行済株式の10%にも及ぶ300億円の巨額自社株買いを実行中であり、この2月末が買付期限ながら既に200億円を買入しています。本還元方針は新型肺炎禍中に公表されたものであり、向こう5年(残り4年)は見直しされる可能性が低く、直近のアナウンスでも年70円配を必達としていることから、蓋然性の高い還元方針であると考えています。
*参考記事① 2020-09-18 1,503円 OP
【1808】長谷工コーポレーション/フロア70円の高配当と巨額自社株買いが最大の投資論点。
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