【8252】丸井グループ/通期見通しは未達含みも、長期的な増配意向を再確認。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8252】丸井グループ(東証一部) OP

現在値 1,830円/100株  P/E25.3  P/B1.28  3月配当優待 9月配当優待

自社販売から賃貸へ切り替え中。自社カードによる割賦販売が収益源。
配当金は年2回・合計51円のため、配当利回りは約2.79%となります。

丸井グループは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末時点で単元株を保有する株主に対して、1,000円分の商品券および同額のwebクーポンを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.97%となります。また別途、3月末にエポスカード会員限定の優待として1,000円分のエポスポイントを進呈しています。

業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 2,370億円、経常利益 311億円 EPS 80.2円 

■2018年3月期 売上高 2,389億円、経常利益 351億円 EPS 93.1円 

■2019年3月期 売上高 2,514億円、経常利益 397億円 EPS 115.9円 

■2020年3月期 売上高 2,475億円、経常利益 404億円 EPS 117.5円 

■2021年3月期 売上高 2,230億円、経常利益 345億円 EPS 72.2円 ce修正
□2020年9月中 売上高 1,093億円、経常利益 209億円 EPS 41.6円(11/12) 

2020年9月中間期の売上高は前年同期比12.9%減の1,093億円、経常利益は同4.6%減の209億円となり、未定としていた期初予算との比較はないものの減収減益となりました。小売事業については、4月7日の緊急事態宣言以降、翌8日から5月末まで全店で休業をしており、この間のテナント家賃を完全免除したほか、敷金の1~2ヶ月分の返却といった目先のP/Lよりも取引先との関係性重視に重きを置いた施策を採ったほか、店舗スタッフの人件費についても雇用助成金以外の部分は会社負担で全額補償したことが響きました。一方、金融事業については新型肺炎禍でEC利用の取扱高が3割強伸びたほか、家賃(及び保証)も同程度の著しく高い伸びを示し、全社では小売事業の低迷を相当程度補って微減益水準に留めました。

 

2021年3月期の通期見通しについては、中間時点で開示に踏み切っており、売上高は前期比9.9%減の2,230億円、経常利益は同14.6%減の345億円を予想しています。小売事業における下半期の売上高前提は前年同期比88%水準(注:既に前年ハードルが新型肺炎の影響を受けているので実勢は80%)としているほか、金融事業の下期取扱高前提は同111%水準(注:実勢は107%)でセットしており、足許でも成長の続く金融事業については保守的とみられる一方、小売事業については今冬の再度の緊急事態宣言を織り込んでおらず、足許の感染拡大の実態を鑑みるとハードルが高い印象を受けます。また、金融事業における新規会員の獲得は前年の3分の1程度に留まる公算であり、今期は発行費用の減少が寄与するものの、来期以降ダメージを受ける格好となります。

 

今期は5年中計の最終年度となり、営業利益500億円(計画前実績352億円/CAGR約11%)、自社株買い等も絡めた上でのEPS130円を目指していましたが、本目標値については期初時点で達成困難な旨アナウンスされており、事実上断念した格好となります。中計の核であった小売事業における定借化については新型肺炎前に完了しており、図らずもかかるリスクをテナント側に転嫁し切った後であるものの、テナント配慮のため、家賃免除を受け入れています。そのため、当面の伸びシロはECと金融事業となるものの、金融事業におけるEC領域(主に他社EC決済)は伸長している一方で、自社プロパーの小売事業である“マルイウェブチャネル”は苦戦しているような状況です。

 

金融事業については、家賃保証を契機とした家賃収納の取扱高が急伸しているほか、決済額の多いゴールド会員への切替も同時に進むため、今後はこうした不動産を切り口とした業容拡大を図ります。特に小売事業における定借化の完了により、向こう5年間で150億円程度が投資余力として創出されるため、提携先の住友林業(1911)やツクルバ(2978)のリソースを活用することで、賃貸住宅への投資を加速します。また、2018年10月に上場したEコマース支援のBASE(4477、当社出資比率6.1%)をはじめ、ギフティ(4449)といった成功例により、投資先25社(190億円)のIRRは85%に達しているような状況であるため、こうしたVC投資としての成功に留まらず、“共創投資”ならではの当社既存事業とのシナジー創出が期待されます。

 

そして当社最大の投資論点である株主還元に関しては、業績予想が無かった期初時点から配当予想51円を開示しており、9期連続の増配を予定しています。「総還元性向70%」を配当に最大適用して、自社株買い無しの場合は51円までは配当可能だろうという前提に立っていますが、今般開示された通期見通しと辻褄の合うものとなっています。既述のとおり、今期は未達の可能性が燻りますが、それでも当社は株主エンゲージメントとして長期的な増配意向があることから、予定通り配当されるものと考えております。

 

*参考記事① 2020-08-03  1,523円 OP

【8252】丸井グループ/業績予想未定ながらも、9期連続の増配を予定。

 

*参考記事② 2020-02-13 2,469円 OP

【8252】丸井グループ/向こう5年のEPS成長は年10%、増配率年15%を志向。

 

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