【3836】アバント(東証一部) OP
現在値 1,042円/100株 PER25.0 PBR5.4 6月配当 株主優待なし
連結経営・会計システムのパッケージソフト開発、ライセンス販売など。
配当金は6月末の年1回10円であり、配当利回りは約0.96%となります。
アバントは株主優待制度を導入しておりません(記念優待の実施実績はあり)。
業績を確認していきます。
■2017年6月期 売上高 105億円、営業利益 13.0億円 EPS 17.7円
■2018年6月期 売上高 121億円、営業利益 16.3億円 EPS 28.3円
■2019年6月期 売上高 140億円、営業利益 19.6億円 EPS 35.1円
■2020年6月期 売上高 156億円、営業利益 22.7億円 EPS 40.9円
■2021年6月期 売上高 161億円、営業利益 23.3億円 EPS 41.5円 ce
□2020年9月1Q 売上高 36.0億円、営業利益 4.7億円 EPS 8.0円(10/30)
□2020年12月2Q 売上高 80.0億円、営業利益 11.3億円 EPS 18.4円 四e
2020年6月期の売上高は前期比11.5%増の156億円、営業利益は同15.9%増の22.7億円となり、期初計画を上回って2桁の増収増益基調を維持しました。「DivaSystem」を中心とする主力の連結会計事業については、期初段階では大型案件が収束方向であり、実際に受注残高も低調であったものの、期中の追加受注で巻き返しました。また、運用コンサルのビジネス・インテリジェンス(BI)事業についてもDX対応ニーズは根強く堅調に推移したものの、年明けから新型肺炎影響により顧客側の投資マインドが減少したため、やや尻すぼみとなりました。また、決算業務の外部対応であるアウトソーシング(OS)事業についても、主要2事業の続伸に連られる形で2桁の増収増益を確保しています。KPIである人員数については前期末比117人増の1,055人となり、中途採用が難化していることから新卒採用の割合が増加している模様です。
進行中の2021年6月期の予算については、売上高が2.7%増の161億円、営業利益は同2.3%増の23.3億円と僅かながらも増収増益を予想しています。期初時点の受注残高については、折からの新型肺炎による顧客側の見送り姿勢の強まりもあり、主力の連結会計事業、BI事業ともに減少しているものの、性質上継続性の高いOS事業については逆に増加している状況となっています。10月末に既に開示されている1Qによれば売上高は前年同期比3.0%減、営業利益は同7.0%減で進捗しており、見た目は良くないものの、会社側ではこの1Qを当面のボトムとして認識していることから、概ね計画線での推移と考えられます。
今期は2023年6月期を最終年度とする中計の3年度目となっており、5年後に売上高を121億円から180~220億円へ、営業利益を16億円から31~38億円へ、それぞれ引き上げる計画となっています。またこれら業績の定量値以外にも、売上高成長率と営業利益率の合計値であるGPPをKPIとして採用しており、売上(利益)が伸びない場合でも利益率(売上)を確保する方針で、このターゲット水準を40%という極めて高い目標に据えており、水準感としては東証上場企業上位5%に入るレベルでの成長スピードを志向しています。併せて、“売り切り”ではないストック型の売上高比率を、従来の33%水準から70%まで高めていく方針としています。
基本戦略としては顧客拡大や、周辺商材の拡大といったものから、BI事業において事実上のSIerであるジール社の構造変革(コンサル型→保守サービス型)、およびこれら主要2事業のトップライン成長に付随するOS事業の成長が軸となります。直近の会社側アナウンスによれば、表記中計の目標数値(売上高・利益)自体については新型肺炎禍であっても達成可能圏であることの示唆がなされているものの、重点課題であるストック売上高比率がなお32.7%に留まっている状況です。そのためストック強化のため、連結会計事業ではクラウド化によるプロダクト変更、BI事業については“ZEUSCLOUD”等のクラウド品投入やDX分野での深堀、また周辺領域におけるMA実施を念頭に置いているようであり、業績目標の達成を前提とするのであれば、本当にその辺のストック売上高比率が引き上がってくるのかどうかが投資論点になろうかと思います。
株主還元については、業績成長にともない増配基調を維持しています(当社の参照指標は純資産配当率)。配当の推移については、【2.75→4→6→7.5→9→10円(予】となっており、進行期では期初時点から1円の増配を公表しています。これは従業員持株会の自社株購入に20%もの高額な奨励金を支払い、足許でも急増する従業員にガンガン自社株を購入させ、持株会の保有割合が既に1割弱を占めていることも要因とみられます。ちなみに、10年長計では2027年6月期に配当10倍(分割考慮後40円)を目標としているようですが、此方についてはまだ画餅的です。
*参考記事① 2019-09-29 1,013円*分割修正済 OP
スシロー営業支援等の業容拡大で、飛躍的成長が続く・アバント(3836)。
*参考記事② 2018-11-29 662円*分割修正済 OP
大量採用によるコスト増を打ち返し、今期も気配絶好・アバント(3836)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。