【8425】みずほリース(東証1部) OP
現在値 2,406円/100株 PER6.4 PBR0.63 3月配当優待 9月配当
みずほ(旧興銀)系。総合金融サービス会社化を目指す。
配当は3月末・9月末の年2回合計84円のため、配当利回りは3.49%となります。
興銀リースは株主優待を導入しており、3月現在の単元株主に対して、3,000円分のクオカードを進呈しているほか、1年以上保有する長期株主への優遇制度として、1,000円分を追加した4,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りはそれぞれ約4.73%、約5.15%となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 4,294億円、経常利益 187億円 EPS 291円
■2018年3月期 売上高 3,997億円、経常利益 199億円 EPS 319円
■2019年3月期 売上高 3,848億円、経常利益 242億円 EPS 388円
■2020年3月期 売上高 5,392億円、経常利益 267億円 EPS 360円
■2021年3月期 売上高 5,000億円、経常利益 236億円 EPS 372円 ce
□2020年9月中 売上高 2,350億円、経常利益 113億円 EPS 165円 四e
2020年3月期の売上高は前期比40.1%増の5,300億円、経常利益は同10.3%増の267億円で着地し、売上高・利益ともに大幅な予算超過となりました。注力分野であり、前期に1,000億円もの残高を積み増して3,500億円規模まで膨らませたREIT/ファンド向けの不動産ブリッジ案件に関して、不動産市況やREIT市況の好況を背景にイグジットが相次いだため、この物件売却によりトップラインが著しく伸長(ブリッジ/ウェアハウジングのため利益はさほどついてこない)しました。一方、これら不動産物件の売却の飛躍的な進捗により、期末時点の全社の営業資産残高については20,214億円→20,903億円となり、“積み上げ”のペースは大幅に鈍化する格好となりました。不動産以外のところでは、産業・工作機械が堅調に推移したものの、土建機が軟調に推移し、まちまちの内容となりました。
進行期である2021年3月期の予算については、期初時点から予想を開示しており、売上高が7.3%減の5,000億円、経常利益は11.7%減の236億円を計画しています。実績期における営業資産残高の“積み上げ”が甘かったものの、不動産分野の残高については横ばいとなる3,631億円を確保しており、これらのうちブリッジ案件については半年~1年程で回転するとみられることから、ある程度は数字の目算が立つものとみられます。実際に不動産ファンド/REITについては、一部で弱含むアセットタイプも見られるものの、足許でも引き続き物件取得が続いている状況です。そのため、航空機分野等の不透明な要素はあるものの、リコーリースの持分寄与(※後述)もあるため、期初から2桁減益予想の会社予算はまずまず妥当な線であるとみられ、現時点では会社予算をそのまま支持したいと思います。
今期は2024年3月期を最終年度とする第6次中計の2年度目となっており、今次中計の5年間で純利益を166→300億円(CAGR12%)へ伸長させることを目標としており、これまでの業績の成長モメンタムから一段と成長に弾みがつくような内容となっています。その理由については、以下に記す一連の資本異動が強く影響しています。
当社は昨年3月末に丸紅系のリース会社であるエムジーリース(丸紅99%、SMFL1%)の三者割当増資を約87億円分引き受け、同社を持分法適用会社(50%)に収め、みずほ丸紅リースに商号変更させています。同社は当社が注力中である不動産ブリッジ案件に非常に強く(丸紅系のUUR、私募リートに対するウェアハウジング等)、当社ともシナジーが期待出来ます。また、本件三社割の引受に先立って、当社側もみずほ銀行を引受先とする三社割を実施して約167億円を調達したため、みずほ銀行が当社の筆頭株主(23%)となり、当社の商号も“みずほリース”へと変更しています。
「ONE MIZUHO」を掲げ、グループとしてのシナジーを追求するみずほFGとしては、旧DKB系の東京センチュリー、旧富士銀系の芙蓉総合リース、そして旧興銀系の当社と旧行依然のまま散らばるリース会社の統合を目論んでおり、当社をその受け皿とする計画でした。然しながら、東京センチュリーは本年2月にNTTと資本業務提携するなどみずほ離れを鮮明にしており、芙蓉総合リースも様子見していることから、親会社であるみずほFGの描く青写真想定どおりに再編が進んでいない状況です。そのため、当社独自の動きとして、本年4月にはリコーから子会社のリコーリース(8586)の株式を取得して同社を持分法に収めており、今期から持分の20%(30億円程度)が経常利益段階からオンされることとなっています。そのため、ひとまずはこうした独力の“草の根”の動きで、業容拡大を図るとみられます。
なお株主還元については、今次中計より従前の配当性向22%から「25%以上を目指す」に変更されており、今期は2円増配の年84円を予想しています(性向23%)。
*参考記事① 2019-09-17 2,969円 OP
丸紅系のエムジーリース取込で、業績成長が加速・興銀リース(8425)。
*参考記事② 2018-07-21 2,707円 OP
今回中計も順調だが、金利上昇で財務体質の強化が優先か・興銀リース(8425)。
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