【9728】日本管財 (東証1部) OP
現在値 1,945円/100株 PER15.8 PBR1.40 3月配当優待 9月配当優待
ビルの設備・警備・清掃を中心とした総合管理会社。再開発物件に強み。
配当金は3月末・9月末の合計50円配当のため、配当利回りは2.57%となります。
日本管財は株主優待を導入しており、3月末・9月末の単元株主に対して、各回2千円相当のカタログギフトを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.62%となります。なお3年以上の長期保有により株主優待が3千円分にグレードアップし、その場合の配当優待利回りは約5.65%となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 924億円、経常利益 59.6億円 EPS 123円
■2018年3月期 売上高 964億円、経常利益 63.7億円 EPS 129円
■2019年3月期 売上高 979億円、経常利益 67.6億円 EPS 125円
■2020年3月期 売上高 1,063億円、経常利益 73.2億円 EPS 117円
■2021年3月期 売上高 1,080億円、経常利益 74.0億円 EPS 123円 ce
□2020年9月中間売上高 500億円、経常利益 21.0億円 EPS 50.8円 ce
2020年3月期の売上高は前期比8.5%増の1,063億円、経常利益は同7.0%増の73.2億円となり、期初予算を上回って着地しました。主力のBM事業において、契約更新により固定契約が順調に積み上がったほか、大規模修繕工事を含めた工事受注の増加で2桁の伸びをマークしました。また、人件費・外注費といった原価の増加を理由に顧客への料金転嫁を進めため、当該セグの採算性は一段と良化しました。このほか、住宅管理事業についても契約更新と新規受注が順調に推移したほか、環境施設管理事業においてもごみ焼却施設等施設の新規受託が進んだため、ほぼ全てのセグメントが順調な結果に終わりました。
進行期である2021年3月期の予算については、売上高が1.6%増の1,080億円、経常利益は2.3%増の74.0億円と続伸を予想しています。新型肺炎の影響はあるものの、主要都市部における空室率は依然低水準に推移しているほか、再開発案件も増加する見通しであるため、建物管理業界のファンダメンタルズは比較的マシとみられます。一方、管理受託元からのスポット工事受注については、新型肺炎による中止や後ろ倒しを一定程度見込み、中間期までは保守的な織り込みをしています。利益の伸びがやや大きくなるのは、業容拡大を抑制し、営業コストを削減することによる浮き分等となります。当社はBM事業という契約継続性が高い業種であることから、予算の蓋然性は比較的高く、達成可能な範囲にあるものと考えています。
当社は中長期的な業績の定量目標を掲げていないものの、基本戦略としてはPFIやPPPといった制度を活用して、公共系の受注を増やしていく方針であり、自治体の所有する公共施設の包括管理(いわゆる‘群管理’)受注を積極的に狙っていく方針です。当社は上下水道管理施設やごみ焼却施設等の管理で多くの実績を有しており、本邦には緊縮的な財政政策を敷かざるを得ない自治体が非常に多いことから、独自の施設管理システムを持ちコスト競争力が高い当社は今後もコンスタントな受注の積み上がりが期待されます。既に沼田市・筑西市・湖西市・明石市・芦屋市・浦添市といった多くの地方自治体で採用されており、当該分野では業界首位となっています。
また、注力中の海外事業については、持分法で抱える加州KPPM社(50%)や、豪州PICA社(50%)といった海外の管理会社の業績が順調に推移しているほか、KPPM社は2019年4月に米同業のプログレッシブ社(年商25億円程度)を買収するなど、独自での業容拡大も進めています。また当社単体の海外事業としても、本年3月末にハワイ州で最大の区分所有物件住宅管理シェアを持つハワイアナ社(年商30億円程度)の50%持分を取得するなどしており、MAを活用した海外事業の外部成長も国内同様に順調に進んでいる印象を受けます。他方、残念ながらAM事業であるさくら総合リート(3473)と運用会社はスターアジアグループに取られてしまいましたが、元々AM事業は事業構成比が低いので、影響は限定的と考えられます。
財務面については、依然として盤石な状況に翳りがなく、有利子負債を差し引いたネット現金は約200億円を有しています。この他に約140億円の有価証券も保有しているため、‘じゃぶじゃぶ’状態と言えます。そのため、大局的には右肩上がりの増配基調【21→25→34.5→40→42→50→50円】を継続しており、目下の新型肺炎禍の状況下においては年50円配当を据え置く公算が高いものの、減配はまず考えなくても大丈夫かと思います。
*参考記事① 2018-06-22 2,254円 OP
業績底堅いが、好財務を活かした一層の株主還元に期待・日本管財(9728)。
*参考記事② 2017-02-06 1,736円 OP
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