【3455】ヘルスケア&メディカル投資法人/株価はNAV回復で、パイプライン積み増しが待たれる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3455】ヘルスケア&メディカル投資法人(東証REIT) NT

現在値 124,900円/1株 PER21.91 PBR1.16 1月分配 7月分配 投資主優待あり

ヘルスケア施設特化型。スポンサーはSHIPヘルスケアHD、三井住友銀行、NECAP。
予想分配金は年2回の合計6,275円配のため、予想分配金利回りは約5.02%となります。

業績を確認していきます。 

■2018年7月期_第7期 営業収益 12.6億円、経常利益 5.2億円 DPU 2,699円 

■2019年1月期_第8期 営業収益 13.0億円、経常利益 5.3億円 DPU 3,120円 

■2019年7月期_第9期 営業収益 20.0億円、経常利益 10.4億円 DPU 3,643円

■2020年1月期_第10期 営業収益 20.1億円、経常利益 9.4億円 DPU 3,372円

□2020年7月期_第11期 営業収益 20.1億円、経常利益 8.9億円 DPU 3,150円 ce 

□2021年1月期_第12期 営業収益 20.1億円、経常利益 8.8億円 DPU 3,125円 ce 

 

2020年1月期_第10期の営業収益は、第9期比0.2%増の20.1億円、経常利益は同9.8%減の9.4億円とほぼ予算通りで着地し、分配金についても当初予想の3,304円から、3,320円へ16円上振れさせています。第9期PO(※後述)による固都税費用化については、翌第11期から始まるにも拘わらず大幅減益となったのは、取得報酬が期ズレで発生することや、消費増税による費用増(控除対象外消費税の増)、および第9期の受取補償金の剥落によるものとなります。分配金が微増になったのは、見込み修繕費の削減が寄与したことによります。


進行期である2020年7月期_第11期予算は、営業収益が第9期比0.2%増となる20.1億円、経常利益が同10.2%減の9.4億円をそれぞれ見込んでおり、分配金については同339円減の3,304円を予想しています。トップラインは「浜川崎」の下駄履き店舗にクリニックを誘致して稼働率100%に復元する増分と、第9期に実施した「光が丘」のICT導入CAPEX工事により、その償却費をテナント賃料に寄せた分がオンされるものの何れも軽微で横ばいとなります。一方、利益については第9期の大型POによる固都税の費用化がフルで始まるため、これが重しとなり2桁の減益となります。

 

当法人は昨年2月のPOで126億円(@111,442円)を調達し、「シップ千里ビル」「小田原」「新横浜」「新横浜2」「浜川崎」「箕輪」「武尊」「北品川」の8物件を取得しました。発行済投資口数が5割以上増える大型ディールであり、NAV割れかつ、ローンチ時のインプライド・キャップレートすれすれの鑑定NOI5.6%での取得ではあったものの、REIT2事例目となる病院アセットである「シップ千里ビル」を126億円ながらNOI5.2%で組入れたことで、利回りを確保しました。また、第8期から利益超過分配を開始していることや、既述のとおり資産運用報酬が第10期に期ズレすることなどもあり、一時的に分配金をブーストさせ、オファリングサイズが大きかったものの成功裏に終わりました。

 

この大型POによりパイプラインが100億円まで減少してしまいましたが、足許水準で130億円まで復元させており、中長期的な目標である資産規模1,000億円が視野に入ってくるものとみられます(現状は648億円)。また、財務面については、LTVを50%近傍でコントロールしてきましたが、第10期末時点で47.6%まで下げています。ローンについてもJCRからソーシャルローン格付で最上位を獲得したこともあり、今年はソーシャルボンド型での投資法人債の発行にも踏み切っており、調達金利0.78%ながら10年で20億円を調達し、平均金利が3bps.(0.55%→0.58%)しか上がっていないにもかかわらず、平均残存年数を2.6年→3.5年まで引き延ばすことに成功しています。

 

かような状況から、当分はLTV余力を活用したデットでの取得がメインとなるとみられ、分配金成長はそこに期待する形になろうかと思います。PO可否については、足許の株価がNAVを上回っていることもあり理論上はやれるような状況ですが、パイプラインの玉(物件)不足で難しいと思われ、市況環境等も鑑みると早くても2021年になろうかと考えています。

 

*参考記事① 2019-12-11  132,200円 NT

メガPOで病院2棟目を取得、ヘルスケア&メディカル投資法人(3455)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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