【1419】タマホーム(東証一部) NT
現在値 1,123円/100株 PER7.25 PBR1.79 5月配当株主優待 11月配当優待
注文住宅会社。ロードサイド型独立店を積極展開し大々的な広告で集客。
配当金は5月末・11月末の年2回、合計70円のため、配当利回りは約6.23%となります。
タマホームは株主優待制度を実施しており、5月末・11月末に単元株以上を保有する株主に対して500円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約7.12%となります。また、3年以上保有を継続する株主に対しては、長期優遇制度によりクオカード進呈額が倍の1,000円となりますので、この場合の配当優待利回りは約8.01%となります。
業績を確認していきます。
■2016年5月期 売上高 1,383億円、営業利益 18.0億円 EPS▲14.8円
■2017年5月期 売上高 1,570億円、営業利益 39.0億円 EPS 30.0円
■2018年5月期 売上高 1,679億円、営業利益 46.5億円 EPS 68.1円
■2019年5月期 売上高 1,868億円、営業利益 73.6億円 EPS 130.8円
■2020年5月期 売上高 2,000億円、営業利益 77.0億円 EPS 143.0円 ce
□2019年11月2Q売上高 992億円、営業利益 41.1億円 EPS 84.5円(1/14)
2019年11月期中間期の売上高は前年同期比19.8%増の992億円、営業利益は同36.6%増の41.1億円となり、期初予算との比較はないものの、トップラインから2割増に迫る大幅な増収増益となりました。住宅事業における期初時点での受注残高は、前年同時期比22.4%増の1,269億円と相当な高水準を確保していたことや着工時期の平準化施策等も奏功し、上期での引渡しが順調に進んだことが主な増収要因となります。ただ実際に利益を作ったのは不動産事業であり、7月末に京浜急行電鉄に売却した羽田のタマディアホテル(現:京急EXイン 羽田・穴守稲荷駅前)の売却益でおよそ十数億円の営業利益を確保したとみられます。
なお2020年5月期の通期予算は、2月4日に増額修正しており、売上高は前期比9.7%増の2,050億円(従予:2,000億円)、営業利益は22.1%増の90億円(従予:77.0億円)と続伸を見込んでいます。足許の受注状況については、開示されている2月までの9ヵ月累計の受注実績(注文・建売・リフォームを合算した住宅合計)は94%となっており、昨年10月からは消費増税の影響を受けて受注活動は苦戦しているほか、新型肺炎の影響をモロに受ける足許3月~5月の4Qでは更に受注が落ちる蓋然性が高い状況です。然しながら、増税前の駆け込み需要などで持ち越している受注残高が非常に豊富なため、取り敢えず今期については“逃げ切り可能”と会社側は判断している模様です。
今期は「タマステップ2021」という3年中計の中間年度となっており、売上高1,679→2,400億円(CAGR12%)、営業利益46.5→120億円(CAGR37%)という、相当野心的な定量目標値を掲げています。基本戦略としては、当社の地盤である九州・西日本から、棟単価1,000万円~1,500万円前後の低価格な“半企画型(プリフィックス型)注文住宅”を武器に、手薄な東日本エリアへと本格進出しています。実際のところ、戦略商品である地域限定商品は想定よりも高い1,700万円前後で飛ぶように売れているほか、全国の店舗数も既に247店まで増加しているため、テレビ等のマス広告による宣伝効果が高くなっており、少なくとも新型肺炎の影響が深刻化する前の時点までに関しては、この辺の営業サイクルが上手く回っていた印象を受けます。
ただ、注文住宅事業については低価格商品による単純な物量作戦がメインであるため、この積み上げだけ中計数値を作ることは到底困難です。そのため、不動産事業における相続対策商品である区分所有オフィス販売で大きな利ザヤを抜いていく方針とみられ、既に都心5区で10~20億円の中小型オフィス物件の仕入れを実施しています。これをリノベした上で小口再販することで10~20%の営業利益を抜くという算段ですが、この分野はボルテックスや青山財産ネットワークスをはじめ競合が多いほか、こちらも新型肺炎影響で中小型オフィスのテナントの賃料負担力が低下していると考えられるほか、エンドの購入ニーズの停滞も予想され、好況下で高値で仕込んだ物件が転売出来ずにシコってしまう点が強く懸念されます。
当社は13年の東証上場時に調達した約70億円を眠らせていましたが、業績の回復基調が鮮明になるにつれて、急ピッチで株主還元へ資金を回しており、【10→15→30→53→60→70円(予】と、増配基調を鮮明にしています。ただ、区分所有オフィスの仕入に資金需要があることや、昨年に約8億円の自社株買いを実施したこともあり、自己資本比率は再び10%台に後退してしまっています。当社は社員数が多いこともあり、かかる状況下では手厚い手元現金を用意する必要があることから、2月の10円増配開示は“勇み足”であり、一刻も早く株主還元を抑制すべきと考えています。
*参考記事① 2019-10-22 1,765円 OP
中計過大だが、増資のリスク後退は高評価・タマホーム(1419)。
*参考記事② 2018-10-16 1,105円 OP
低価格品受注堅調で、今期も気配絶好&大増配だが・・・タマホーム(1419)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。