【6076】アメイズ(福証) NT
現在値 660円/100株 PER5.2 PBR0.84 11月配当 株主優待あり
老舗ホテルをジョイフルが買収後、創業者が株引き取り。九州地盤にチェーン展開。
配当金は11月の年1回30円配当で、配当利回りは4.55%となります。
アメイズは株主優待制度を導入しており、11月時点で単元株以上を保有する株主に対し、30%の宿泊割引の株主優待券を5枚進呈しております。
業績は以下の通りです。
■2016年11月期 売上高 124億円、経常利益 18.1億円 EPS 68.0円
■2017年11月期 売上高 140億円、経常利益 28.1億円 EPS 121円
■2018年11月期 売上高 147億円、経常利益 31.0億円 EPS 133円
■2019年11月期 売上高 148億円、経常利益 32.5億円 EPS 135円
■2020年11月期 売上高 153億円、経常利益 30.0億円 EPS 129円 ce
□2020年5月中 売上高 75.0億円、経常利益 15.0億円 EPS 64.4円 ce
2019年11月期の売上高は前期比0.9%増の1148億円、経常利益は同4.8%増の32.5億円となり、増収増益こそなんとか維持したものの、売上高・利益ともに期初予想を大きく割り込んだ着地となりました。地盤の九州地方で悪天候が続いたほか、300室を超える大型店である八幡店が近隣のスペースワールド閉鎖によるマイナス影響をほぼ通期で受けたことが予算割れの要因とみられます。また、新規出店についても自社開発物件の工事遅れによりゼロとなっており、期末時点での物件数は78店(直営75店・FC3店)のままとなりました。
進行期である2020年11月期の予算については、売上高が3.1%増の153億円、経常利益は同7.9%増の30.0億円を予想しています。期末物件数78店に対し、出店は遅れていた自社開発3店(大分2・伊予1)にくわえ、定借3店(香川1・山口1)の計6店を計画しており、実績期の反動もあり開業が多くなる見通しですが、定借3店の方は期末開業予定なので、今期の業績寄与は限定的となります。実績期の悪天候要因の分は幾分良化が見込まれるものの、足許の新型肺炎によるインバウンドや国内レジャー客、ビジネス客の減少によるマイナス影響の方が遥かに大きいと考えられるため、出店の多寡などでは既存店の凹み分を到底埋めきれない公算です。また、本年3月には客室数198室の大型店である山口下関店で感染者が発生したこと等も業績の押し下げ要因となることが懸念されます。
当社はファミレスのジョイフル創業者でもある穴見保雄氏が退任し、次男の穴見賢一氏にバトンタッチしてはや数期が経ちましたが、成長ペースが鈍化しています。これは運営特化型でREIT/ファンド物件などを中心に賃借方式で出店するグリーンズ(6547)や、自社開発出店を基本としながらも運営を外部委託するABホテル(6565)とは異なり、当社は原則として自社による開発出店と運営に拘っているため、スピード感に欠けることが要因です。これは長らく当社の開発パートナーである大和ハウス工業は九州において地震や豪雨等の復興需要を享受しており、工賃が上昇しているため、やむなく自前の開発に切り替えていっていることが一因とみられます。
そして既述のとおり、満を持して手掛けた自社開発でも工事遅延が発生したり、原価面でも東京五輪の影響でコストが増加したりと目論見通りの出店が出来ておらず、その中で新型肺炎の逆風を受ける格好となっています。ただ裏を返せば、竣工や開業時期が自社のコントロール下にあるため、かかる状況においては(新型肺炎の影響が薄らぐまで)開業を遅らせるといった選択肢も採用可能であるため、部分的には良い面もありそうです。
当社は2013年の福証上場時に@365円で約9億円を公募増資で調達して以来、特にPOをせずに手元資金と借入で店舗網を拡大してきました。また、フォートレスへの亀の井ホテルの売却益を内部留保して配当を絞ってきたことや、地方物件割合が多いので物件価格に占める建物割合が高く、減価償却費の戻りが年14億円と非常に大きいので、借金の返済が進んでおり、足許の自己資本比率は44.5%まで良化しています。今期の配当についても5円減配となる年30円を予定していますが、ホテル業界の先行きは極めて不透明なため、あくまで内部留保を優先するとみられますが、年30円であれば何とか維持可能な範囲にあると考えています。
*参考記事① 2019-03-13 1,320円 OP
成長モメンタム鈍化も、財務は一段と良化し増配予定・アメイズ(6076)。
*参考記事② 2016-03-07 746円 OP