【4666】パーク24(東証1部) OP
現在値 1,690円/100株 PER15.8 PBR3.19 10月配当優待
24時間無人時間貸し駐車場タイムズを運営。英国・豪州などにも展開。
予想配当は年間合計70円のため、配当利回りは4.14%となります。
パーク24は株主優待を導入しており、単元株を保有する10末株主に2,000円分のパーキングチケットを進呈していますので、配当優待利回りは約5.32%となります。
業績を確認をしていきます。
■2016年10月期 売上高 1,943億円 営業利益 214億円 EPS 95.8円
■2017年10月期 売上高 2,329億円 営業利益 205億円 EPS 91.6円
■2018年10月期 売上高 2,985億円 営業利益 225億円 EPS 91.8円
■2019年10月期 売上高 3,174億円 営業利益 223億円 EPS 79.7円
■2020年10月期 売上高 3,330億円 営業利益 267億円 EPS 106.7円 ce
□2020年1月1Q 売上高 807億円 営業利益 51.1億円 EPS 16.6円(2/27)
□2020年4月2Q 売上高 1,597億円 営業利益 101億円 EPS 39.4円 ce
2019年10月期の売上高は前期比6.3%増の3,174億円、営業利益は同1.0%減の223億円となり、中間段階までは予算超過で推移していたものの、最終的には若干の未達で着地しました。主力の国内駐車場は法人提案営業や地域密着型営業の奏功により新規開拓が進み、運営台数を前年期比4.1%増の604,413台へ増加させました。それに伴い、モビリティ事業(レンタル・シェア)のシェア運営台数も同15.6%増の27,096台まで積み上げが進んだことから、平日・法人の利用が伸長し、同セグメントは先行投資が依然重い状況にもかかわらず、3割強の増益を果たしています。一方、海外事業については、現地通貨ベースでは増収を確保したものの、英National Car Parks(NCP)及び豪Secure Parking(SP)といった買収した主力子会社におけるガバナンス体制や運営体制の再構築で販管費の増加や、失注による件数減、用地被買収による補償利益未実現等により、のれん償却(▲30億円/年)後の営業損失は拡大し、業績の足を引っ張りました。
進行期である2020年10月期の予算については、売上高が4.9%増の3,330億円、営業利益は19.6%増の267億円と2桁近い増益を予想してます。国内駐車場事業については、引き続き新規現場の拡大が継続する見通しであり、現場数ベースで6%ほどの純増を計画しています。また、消費増税のタイミングで価格改定(値上げ)を実施しており、これまでの100円刻みの料金設定ではなく10円刻みとする対応費により上期にかけてコストアップが予想されるものの、通期ではプラス寄与する見通しです。モビリティ事業については、好調なカーシェアを中心に車両台数増による利用増加が見込まれるほか、利便性の増加と高いシェアを背景に値上げに踏み切っており、東京五輪による利用減少を織り込みつつも大幅増となる見通しです。また海外事業については、実績期にNCP社とSP社の整理がついたので、赤字が縮小する公算です。
2月27日に開示された1Q決算については、売上高が前年同期比2.2%増の807億円、営業利益は同6.8%減の51.1億円と減益ながら、元より消費増税対応や“タイムズペイ”の対応費用発生が予想されていたため、減益ながらもおよそ順調な推移となりました。然しながら、足許3月16日に開示された2月月次・週次売上によれば、うるう年で1日多かった2月の売上高は107.3%に留まっているほか、2月1週目の稼働率106.6%に対して、新型肺炎の影響が本格化した同4週目は96.5%と月内で実に10%も低下しております。当社は装置ビジネスの会社であり、固定費がほぼ変わらないため、売上高の減少が即利益減少に直結するため、10%の減収で月あたり15億円程の利益が削られることから、増益を見込む会社計画はかなりの過大感があり、大幅未達が必至の情勢といえます。
当社は中長期的な業績目標を特に掲げていないものの、一応の目安として毎期2桁(年率10%)を超える経常利益の継続的な成長を目指しています。その青写真の通り、注力中であるモビリティ事業については、先行投資の種蒔き状態が続いておりましたが、シェアの利益は、主力の国内駐車場事業の利益の5分の1程度から、4分の1程度に迫るまで成長を遂げており、中長期的な当社の収益柱となることが確実視されます。インバウンド利用伸び悩みや、借りる際の手間が嫌気されて不調だったレンタカー分野についてもカーシェアとの折衷サービスである「タイムズカー」を開発しており、オペレーション改善による利用者増が期待されます。
海外事業に関しては、2017年に約190億円を投じて買収した豪SP社(の環太平洋の一部事業と英国事業)と、同年8月に政投銀とのJVで約238億円を投じて買収した英国最大手のNCP社が何れも未公開企業であったことから、ガバナンス不全に陥っていましたが、システムの再構築や現場統一化が一巡したため、今期より大幅営業員を増員して新規開拓を進めていく方針です。ただこれら2社の600億円に及ぶのれん代の償却(20年)が年間▲30億円発生することを考慮すると、海外事業は相当の期間に渡って赤字が継続する見通しであるほか、なかなか浮上がみられないこれら2社については減損リスクにも注意が必要です。
当社株の株式市場でのバリュエーションは、その成長性から常に業界平均より相応のプレミアムを乗せてた評価がなされており、マルチプル30倍(のれん償却補正後で26倍)が通常でしたが、装置型ストックビジネスの悪い部分が晒し出される格好で株価が大暴落しました。上述のとおり、今期は早くも大幅未達が確実な情勢のため、現株価で15倍のマルチプルももはや画餅的なものとなっていますが、それでも未達リスクの織り込みが相当程度進んでいると考えており、従来よりは株価的な妙味が出てきたと考えています。
*参考記事① 2019-10-09 2,555円 NT
海外事業が想定超の苦戦、減損可能性も・パーク24(4666)。
*参考記事② 2019-03-05 2,705円 OP
モビリティ事業急改善で、今期会社予想は保守的・パーク24(4666)。