【3969】エイトレッド/足許やや減速だが、大企業向け従来品の再加速に期待。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3969】エイトレッド(東証一部) OP

現在値 1,278円/100株 PER25.4 PBR3.75 3月配当 9月株主優待 

ワークフローソフト専業。「X-point」「AgileWorks」主力にクラウドも提供。
配当は年2回・合計16円配当のため、配当利回りは約1.25%となります。

エイトレッドは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末の単元株主に対して、1,000円分のクオカードを年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.81%となります。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 8.4億円、経常利益 2.7億円、EPS 29.1円 
■2017年3月期 売上高 9.6億円、経常利益 2.7億円、EPS 30.9円 

■2018年3月期 売上高 11.0億円、経常利益 3.2億円、EPS 33.4円 

■2019年3月期 売上高 14.4億円、経常利益 4.8億円、EPS 45.5円 

■2020年3月期 売上高 16.0億円、経常利益 5.6億円、EPS 50.3円 ce

□2019年9月2Q 売上高 7.8億円、経常利益 2.6億円、EPS 25.7円 

□2019年12月3Q 売上高 11.7億円、経常利益 4.0億円、EPS 37.2円(1/23) 

2019年9月中間期の売上高は前年同期比18.5%増の7.8億円、経常利益は同23.8%増の4.0億円となり、期初予算を上回るとともに2桁幅の増収増益を確保しました。主力のパッケージ品は、全国主要都市でのセミナー実施により大手企業向けの「AgileWorks」の導入企業数が引き続き好伸しました。クラウド品への切替ニーズもあり「AgileWorks」よりは鈍いものの、中堅企業向けの「X-point」も続伸となったほか、小規模企業向けクラウド品の「X-point cloud」については無料トライアルやハンズオンでの研修効果により新規開拓が順調に進んだ結果、同商品は実に4割弱もの増収となりました。

2020年3月期の通期予算については期初のものを据え置いており、売上高が前期比10.5%増の16.0億円、経常利益は同14.4%増の5.6億円を予想しています。成長分野であるクラウド商品が足許でも年率4割ほど成長しているため、主力の従来型パッケージ品で稼げているうちにこのクラウド商品をいかに伸ばすかどうかがポイントとなりますが、従来品の「AgileWorks」についても前期にPPIH(ドン・キホーテ/ユニー)で採用されたほか、今期はセブン&アイHDが新規採用を決めており、超大口の受注が進んでいることから、従来品の成長も再加速している状況です。なお、去る1月23日に3Qが開示されており、直近QonQ比較をすると足許3Q単独期間の業績鈍化がやや気掛かりですが、数字的には依然高水準をキープしているので、期初予算を支持したいと思います。

 

当社は2016年12月にマザーズ市場に上場し、中長期経営計画を開示していないものの、本邦のワークフロー市場自体が年率13%程度伸長しているため、業界首位級である当社も当面の間は年率2桁成長をすることが可能とみられます。当社製品は中小企業から大企業までカバーしていることにくわえ、親会社であるソフトクリエイトHD(3371)の創業一族である林宗治氏が当社会長に就いているほか、第2位株主として10年前からSCSK(9719)も資本参加しているため、相応の手厚い販路が確保された状態となっており、販売パートナーとしての実際の主要取引先もダイワボウ情報、リコー、日立システムズといった大手SIerのネームが並んでいます。

 

また、当社は本来的に小規模企業の方が強いものの、従来品の「AgileWorks」についても、大企業を中心にいわゆる“働き方改革”“新型肺炎等のパンデミック対策”を目的とするテレワークや在宅勤務の風潮が高まったことで引き合いが強まっており、特にRPAと絡めた拡張利用ニーズが高くなっています。アウトソーシングニーズを取り込むサイボウズ(4776)の「Garoon」に代表されるグループウェア型の強力な競合商品が存在しているものの、潜在市場の伸び方は大きく、特に当社の場合はPPIHやセブン&アイといった流通分野ではカテゴリーキラーとなっているため、流通他社の受注等も期待出来ます。そのため、従来品とクラウド品の伸びで向こう2~3年程の2桁成長は固いとみています。

 

また前回のエントリでも言及したように、親会社が株式分割や優待拡充策などを繰り出してマザーズ市場を抜け出したように、当社もほぼ同様のプロセスで指定替え要件をクリアし、2018年に東証1部市場に鞍替えしており、今後の受注活動の大きな追い風となることが期待されます。なお、株主還元については、配当性向30%を基準に今期は5円増配となる16円(配当性向31.8%)を見込んでいますが、当社は無借金であり現金を約25億円積み上げている好財務企業であるため、今後は配当性向の引き上げなどより踏み込んだ株主還元がなされるものと考えています。

 

*参考記事① 2018-08-23 1,369円 NT

親会社や提携先のネーム強力で、盤石の年率2桁成長続く・エイトレッド(3969)。

 

*参考記事② 2017-12-19 1,157円 NT

親会社ソフトクリエイトの「後ろ盾」が強力、エイトレッド(3969)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

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