【9989】サンドラッグ(東証一部) OP
現在値 3,315円/100株 PER15.5 PBR2.13 3月配当優待 9月配当
東京西部地盤のドラッグストア大手。ローコスト経営。西日本ではディスカウント店展開。
配当金は年2回・合計68円のため、配当利回りは約2.05%となります。
サンドラッグは株主優待制度を実施しており、3月末に単元株を保有する株主に対して、自社プライベートブランドのヘアケア用品5,040円とお米券3枚を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.96%となります。
業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 5,077億円、経常利益 338億円 EPS 178円
■2017年3月期 売上高 5,283億円、経常利益 348億円 EPS 197円
■2018年3月期 売上高 5,642億円、経常利益 367億円 EPS 212円
■2019年3月期 売上高 5,880億円、経常利益 358億円 EPS 204円
■2020年3月期 売上高 6,164億円、経常利益 373億円 EPS 213円 ce
□2019年9月2Q 売上高 3,168億円、経常利益 200億円 EPS 115円
□2019年12月3Q 売上高 4,644億円、経常利益 282億円 EPS 162円(2/10)
2019年9月中間期の売上高は前年同期8.2%増の3,168億円、経常利益は同14.9%増の200億円となり、期初予算を上回って2桁の増益を達成して着地しました。通期の出店計画は70店(純増45店)のところ、上期実績は出店16店(純減4店)と退店数のみ計画超過で出店が大きく遅れました。既存店についても、7月の長雨により夏物商品が不振だったものの、9月の酒類やディスカウント店を中心とした増税前の駆け込み需要が想定超で推移したため(9月単月売上高昨対:Dgs+34.7%、Ds+19.8%)上期末にかけて一気に巻き返しました。また、人員管理の自動化やセミセルフレジ導入といった店舗生産性改善施策による経費削減も利幅改善に一定程度寄与したもようです。
2020年3月期通期の計画は期初のものを据え置いており、売上高は前期比4.8%増の6,164億円、経常利益は同4.2%増の373億円を予想しています。出店計画については期初70店(純増45店)を見込んでいたものの、既に開示されている3Q時点での累計出店数は34店(純増8店)に留まっているため、通期で60店(純増35店)程度に留まるものとみられます。既存店については、消費増税による反動減を予算にある程度織り込んでいたものの、下期にかけて想定超のマイナスインパクトが発現しているほか、昨年秋口の台風影響、暖冬による商品ミックス悪化などもあり、下期は計画を下回って推移している状況です。また、4Qについても新型肺炎の影響で構成比の4%を占める免税売上の大幅減も見込まれるため、(他社よりは影響が少ないとみられるものの)、上期上振れの貯金を吐き出して、ギリギリ会社予算通りに着地できるか若干の未達になるとみられます。
当社は時間軸を定めていないものの、中長期で売上高1兆円を目標としており、基本的には新規出店とMAにより業容を拡大していく戦略を採っています。ただ出店意欲が非常に高い同業他社と比べると当社は採算性(出店採算要件:4年目に経常利益25百万円)を重視する傾向にあるため、出店契約で競り負けるケースが多いものとみられ、これが出店ペースが遅いひとつの要因と考えられます。また、調剤併設型も年15店新設する計画としており、向こう3年間で薬剤師採用数も年400人(足許は年160人~170人)まで引き上げる予定ですが、こちらも薬剤師の取り合いによる採用難といった別の問題もあるため、計画通りに進むかどうかは不透明といえます。
そのため、当社の投資論点は出店による規模拡大ではなく、どちからというとDgs業界4位という企業規模を目当てとした被買収の可能性にあります。昨年5月には才津社長も会長に退き、2009年に買収したDS子会社ダイレックスの社長であった49歳の貞方氏が本体である当社の新社長に昇任していることから、創業家である多田一族色がさらに薄れており、多田家の株が纏まって放出されれば主導権を握りやすい状況になっています(なお多田家次男の高志氏は貞方氏の後釜としてダイレックスの社長に就任している)。そうした背景もあり、コスモス薬品に抜かれて業界4位に転落し、更に業界5位のマツモトキヨシと同7位のココカラファインの統合によりもう一つ順位を下げて業界5位に転落することも確実であるため、当社は業界内において“淘汰の本命”と目されているような状況です。
なお財務状況については無借金経営を継続しており、700億円近い現金同等物が積み上がっています。そのため緩やかな増配傾向にある配当【30→42.5→50→60→66→68円(予】についても、今期予想ベースの配当性向が32%に過ぎないことを鑑みると、もう一段の還元強化が可能にあり、その辺についても多少は注目できるものと考えています。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。
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