新型肺炎で年明けからやや弱含みの相場になっていますが、個人的にはこの程度ならよくある調整の範囲と認識しています。そもそも日経平均は20年振りのスーパーミラクル高値圏にあり、現値の23,386円は最高値の24,115円からたった729円下がっただけなので実に些細な調整ですし、新型肺炎は利益確定したくて仕方がなかった市場関係者が持株を処分する単なるきっかけに過ぎなかったと思っています。また、昨今のガバナンス志向で期末の持ち合い解消売りが多めに出ているだけとみることも出来そうです。
そんな感じで日経平均は多少調整していますが、海を越えればアメリカのダウもナスダックも「2月に入ってから」史上新高値を更新していますし、調整すらしていないことを考えれば、本邦の個人投資家さんが単なる調整を“コロナショック”とかわざわざ名前をつけて大騒ぎをしているのは、特別心配症の方が多いのか、相場を始めたばかりの方が多いのかな・・・とすら思ってしまいます(経験上、騒ぎ声が聞こえてくるうちはまだいくらでも下値余地があったりすることの方が多いのでそれはいやらしいところですが)。
想像するにここまで投資家センチメントが弱いのは、これまで個人投資家の懐をひたすら温め続けてきた中小型株が撃ち込まれていることが一因かと思います。本来的に新興市場等の中小型株は流動性がない分、グロース株(マザーズ)やバリュー株(JASDAQスタンダード、二部、地方市場)がディスカウントされて売られていて、相場が良好だとそのディスカウントが埋まったり、プレミアムが乗ったりして株価的にはブーストがかかったりします。そのため、この流動性がないという特有のリスクは地合いが良いと軽視ないしは無視されがちですが、今般のような調整がおきるとたちまちそのリスクが顕在化し、売りたくてもまともな買い板がないので、信用評価損益が悪化した個人投資家の追証による少量の投げでもびっくりするほどスルスル下がって値を消していきます。
そして残念ながら、新興市場等は日銀のETF買い支えの対象外です。今般の新型肺炎の経済への影響を緩和するため、追加緩和等の観測もあるようですが、基本的にはそういった援護射撃の恩恵にも預かれません。だから日経平均が殆ど下がってないのに、自分の持っている中小型株だけ過剰にヤラれるというのは地合い的にも仕組み的にもある意味当然の仕様といえます。
今回は教科書的な当たり前のことしか書いていないのですが、よく忘れがちなことなのでわざわざエントリにしてみました。ご自身のポートフォリオに照らしてみて、何かお気付きの点があれば幸いです。
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