【6073】アサンテ(東証1部) OP
現在値 1,881円/100株 PER13.2 PBR1.75 3月配当優待 9月配当優待
住宅用白アリ防除のトップ。東北、関東から京都まで営業網。JAと提携。
配当は3月末・9月末の年2回・合計60円配当のため、配当利回りは約3.19%となります。
アサンテは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末時点の単元以上保有株主に対し、三菱UFJニコスのギフトカード1,000円分を年2回進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.25%となります。
業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 132億円、営業利益 23.3億円、EPS 120.4円
■2017年3月期 売上高 138億円、営業利益 16.8億円、EPS 102.6円
■2018年3月期 売上高 139億円、営業利益 21.3億円、EPS 114.3円
■2019年3月期 売上高 145億円、営業利益 22.8億円、EPS 122.8円
■2020年3月期 売上高 154億円、営業利益 26.1億円、EPS 141.9円 ce
□2019年9月2Q 売上高 82.3億円、営業利益 17.7億円、EPS 97.3円
□2019年12月3Q 売上高 114億円、営業利益 21.1億円、EPS 114.9円(2/5)
2019年9月中間期の売上高は前年同期比2.8%増の82.3億円、営業利益は同7.3%増の17.7億円となり、売上こそ予算を若干下回ったものの、利益は予算を超過しました。主力の白蟻対策については、受注最繁忙期である春先の朝晩の冷え込みにより、白蟻の飛翔期と2週間ほどのズレが生じ、CM等の投入時期とミスマッチが生じたことで営業効果が薄れ、トップラインは伸び一服となりました。その一方、原価となる人材採用もまた進まず、期中平均人員数が同39人減の996人減少したため人件費が下振れ、結果的に予算通りの利益を確保するに至りました。
なお2020年3月期の通期予算については期初のものを据え置いており、売上高が前期比6.4%増の154億円、営業利益は14.4%増の26.1億円と2桁の増益を予想しています。白蟻の飛翔期にぶつけたCMや新聞折込、WEB広告はやや不発気味で終わったものの、通年ではスポンサーである川崎フロンターレを活用したプロモーションを積極活用していく方針です。去る2月5日に開示済の3Q決算によれば、売上高は前年同期比微増の114億円、営業利益は同微減の21.1億円に留まっており、例年の高進捗率を踏まえれば通期予算に対して明らかにビハインドしており、未達公算が高いとみられます。なお、阪神営業所(兵庫)と橿原営業所を新設しており、エリア的には初となる兵庫県に新たに拠点を設けています。
当社はローリング方式で3年中計を公表しており、売上高CAGR6%&営業利益CAGR10%を目指しているものの、実態の成長率は計画よりも低く進捗しています。ところが、直近本決算である2019年3月期決算時にロールした値は、そもそもの計画値である翌2021年3月期の売上高165億円・営業利益28.8億円をほぼそのまま横引きした値となっているためハードルが高く、表記の目標の達成は現実的ではありません。
当社のビジネスモデルは労働集約型の「人工(にんく)商売」のため、業績拡大のためには社員数は確実に増やしていく必要があるものの、いわゆる3K職場であるとともに、昨今の採用難から思うように社員数を増やせていない状況です。今期予算前提となる期中平均人員数は、前年比2%(20人)多い1,034人を計画しているものの、離職率の改善も進んでおらず、逆に社員が減ってしまっています。これは見方を変えると、人件費が想定以下に留まっているため、トップラインが停滞していても利益水準がキープでき、将来的の伸び代を犠牲に目先の利益が確保される“先食い状態”になっていることとなります。会社側もこうした局面を打開するために、通常は業務提携先であるJAの助けなしに、昨年9月に独力で尼崎に阪神営業所を開設したものの、営業基盤がない兵庫での成果は未知数であり、トップラインに効いてこないばかりか当面は費用倒れになる可能性も高く、こうした見切り発車気味の先行投資策は中期的に業績の重しとなりそうです。
なお、株主還元については、ほぼ無借金かつ75億円を超えるネットキャッシュを保有しているほか、設備投資が殆ど不要な商売ということもあり、配当性向40%基準により継続的に増配【15→20→25→32→40→46→50→54→60円(予】、しています。今期の予算に照らせば、配当性向は42%強の水準となるものの、上述の鉄板の財務状況を鑑みれば、少なくとも配当性向50%程度までもう一段の増配余力があるものと考えており、早ければ今期中に「62~64円」まで上乗せしてくる可能性は十分あると考えています。
*参考記事① 2019-08-07 1,912円 OP
天候影響で今期未達含みも、論点は追加の株主還元・アサンテ(6073)。
*参考記事② 2019-02-12 2,189円 OP
今期は順調だが、採用難が中長期的な成長の重しに・アサンテ(6073)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に
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