【3252】日本商業開発(東証一部) OP
現在値 1,679円/100株 PER9.8 PBR1.45 3月配当株主優待 9月株主優待
スーパーなどテナントの商業施設建設を前提に底地取得、売却益を狙う。私募REITも。
配当金は3月末一括の55円で、配当利回りは約3.28%となります。
日本商業開発は株主優待制度を実施しており、3月末・9月末に3単元以上を保有する株主に対して、3,000円分のジェフグルメカードを進呈しておりますので、3単元保有時における配当優待利回りは約4.46%となります。
業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 173億円、経常利益 56.2億円 EPS 209.0円
■2017年3月期 売上高 266億円、経常利益 51.8億円 EPS 366.8円
■2018年3月期 売上高 312億円、経常利益 30.4億円 EPS 109.6円
■2019年3月期 売上高 398億円、経常利益 43.2億円 EPS 149.3円
■2020年3月期 売上高 740億円、経常利益 44.0億円 EPS 171.1円 ce
□2019年9月中 売上高 160億円、経常利益 5.5億円 EPS 27.4円(11/12)
2019年9月中間期の売上高は前年同期比14.3%減の160億円、経常利益は同67.6%減の5.5億円で着地し、非公表予算との比較はないものの、大幅な減収減益となりました。主な販売案件として、一昨年仕入れた北新宿商業地400坪弱をディスカウントスーパーのオーケーに売却していますが、上期計上予定の案件はさほど多くないとみられ、殆ど数字は出来ていない格好となります。それでも棚卸資産の仕入については順調に進捗しており、上期に座間HC(1300坪)、北綾瀬家電商業(1,400坪)、岐阜家電商業(3,200坪)、藤沢家電商業(2,220坪)等を仕入れており、既販売分をネットしてなお60億円弱の在庫を追加で積み上げています。
2020年3月期の通期予算については本中間時点で増額しており、売上高が前期比85.8%増の740億円(従予:500億円)、経常利益は同1.7%増となる44.0億円(従予:40.0億円)、に其々修正しています。今期の傘下の私募REITに対する物件拠出は合計260億円であり、バロー牟呂店(6,500坪)、TAA関東会場新港ヤード(5,100坪)など17物件を1月10日付で売却しており、これが本件修正に反映された格好となります。また本件物件拠出以外にも、SMFLみらいに京都土地2件・岐阜土地1件を売却しているほか、みずほリース系にも博多祇園町土地を売却しており、いずれもウェアハウジング(※後述)とみられるものの、取り敢えず売却が進んでいることからトップラインは好伸します。一方、利益の伸びがいまひとつですが、好採算案件を翌期送りとしたことや、一部物件の売却価格が想定より伸びなかったことが原因のようです。
KPIである棚卸資産残高については、前期から410億円→695億円へ大きく積み増しているほか、既述のとおりこの上期時点で追加で60億円積み上げているため、足許では754億円まで膨らませており、優先交渉案件まで含めると960億円分を確保しています。当社は中長期的な業績目標を開示していませんが、基本的には傘下の私募REITの成長が中心であり、本邦のイールドが低金利のままで潰され、機関及び年金等資金による公募REIT及び私募REIT市場への資金流入が継続していることから引き続き良好な事業環境が継続しています。傘下REITは本来であれば翌2021年3月期に300億円規模の物件取得を予定していましたが、実際は今年1月に外部取得物件(およそ40億円とみられる)を含め300億円の物件取得をこなしたため、「5年でAUM1,000億円」の目標は完全に射程圏に入りました。
また、昨年は三井住友ファイナンス&リース系のSMFLみらいパートナーズやみずほリース系のエムエル・エステートと包括売買契約を締結しており、傘下REITのサイズ拡大に伴って有力なウェアハウジング先を確保しています。これにより、商業物件のCAPレートも依然として低下傾向にあることから、棚卸資産の拡大とともに利幅の拡大が見込めるほか、当社決算時期に合わせた業績コントロールが可能になるため、これまでのように期を跨いだ業績偏重が減ることが期待されます。
財務状況については、順調な仕入れにともなって自己資本比率が30.2→21.7%(足許では20.6%)へと強烈に悪化していますが、これは4Q期間における傘下REITへの260億円分引渡しで相当程度良化するとみられます。借入期間の長期化が進んでいるほか、複数のコミラインを確保し、バンクフォーメーションも強固になっているので、ボトムの自己資本比率で20%を確保していれば問題ない範囲と考えています。なお、配当金については年55円配を維持する方針ですが、前回PO時株価を大きく割り込んでいる状況でPOが難しい事情もあるため、増配は望み薄と思われます。
*参考記事① 2019-08-01 1,518円 OP
私募REIT活況で、来期までは安泰か・日本商業開発(3252)。
*参考記事② 2019-01-17 1,496円 OP
私募REITへの拠出完了で今期は鉄板、来期の2桁成長復帰に期待・日本商業開発(3252)。
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