4.1回目の挫折(大学生の頃・その2)。
まぁ学生時代から大体そんな感じだったので、ずっと大人しく優待投資だけやっていれば、今頃それなりの財産を築けたと思うのですが、なまじ学生は時間がある分余計なことに手を出すもので、深夜バイト代でコツコツ稼いだを少しでも増やそうと、危ない銘柄にも手を出すようになります。それでも最初は可愛らしくシキボウとかをいじっていたのですが、いつの間にかそれが山水電気に変わり、しまいにはプライムシステムなどに移っていきました。1円抜きをするために、前場寄から買い板に並び、3時間以上待って買い板に刺さると、今度は売るために1円上の売り板に並ぶということをひたすら繰り返していました。今思えば不毛きわまりないのですが、当時は有り余る時間を使って、そんなことを夢中になってやっていました。
「株価4円で数万株買い、株価5円で数万株売る」といった感じでしたので、同じ量の時間をバイトに費やして稼ぐのと変わらないレベルの儲けでした。しかも上手くいくことより、失敗することの方がはるかに多かったですが、それでもその辺の学生がやっているバイトではなく、デイトレードをして稼ぐ自分をどこか「カッコいい大学生」として酔っていたような気がします。そんな感じで調子に乗っていた私は、高い授業料を払うことになります。
私が"1円抜き"を繰り返していたこのプライムシステムという会社は後にサンライズテクノロジーという社名に変わり、上場廃止となったのですが、本当にとんでもない凶悪な会社でした。というのも実はこの会社、東証の子会社だった東証コンピューターサービス(TCS)という子会社を抱えていたため、本業はボロボロなのですが「何かあったら東証が何とかしてくれるはず」という共通幻想の下、ボロ株愛好者達が群がるイナゴ銘柄だったのです。
そんなことを知ってか知らずか、会社側は株価の値持ちが良いことを活かしてMSCB(転換価格修正条項付転換社債)を発行して増資しまくり、会社の延命だけを目的に、株主価値を極限まで薄めてきました。最終的に株価が1円ヤリ気配になった時はさすがに底かと思ったのですが、更に株式併合なる荒業を繰り出し、株価は事実上「1円以下」まで下がってしまいました。私は株価が20円台の頃から、「1円以下」になるまで握っていましたので、およそ25万円近い大損失をこうむりました。言うまでもなく学生にとっては大金で、私は2ヶ月分の給料に相当するお金をあっという間に失いました。
この頃私は運転免許を取るのに、親に20万円位出してもらっていたこともあり、一体自分が何をやっているのかわからず、茫然自失する日々が暫く続きました。「もう株なんかやめよう、」と思ったことは一度や二度ではありませんが、25万円のお金を失ったこの時はさすがにやめようと思いました。結局、高すぎる授業料を払わされた私は、この時以下の教訓を学びました。
・「MSCBを発行する銘柄には近づかない」
・「株価は1円が底とは決まっていない」
・「お上が必ず助けてくれるとは限らない」
ただこの時、一部現物保有していた優待株以外の投資資金のほとんどを溶かしてしまっていたため、こんな教訓が何時役に立つのかもわからず、「ひょっとするとこれは授業料にすらならないんじゃないか・・・」などと思ったのは、いまだによく覚えています。ちなみに25万円負けたくらいで挫折とか、ほぼ退場とは言い過ぎかと思うかもしれませんが、プライムシステムが一番ひどい負け方をしたから記憶に残っているのであって、この他にも日本中央地所やオープンループ、菱和ライフクリエイトなど他にもヤラれた銘柄は沢山あり、名前を挙げた銘柄はいずれも全て上場廃止になっています。ちなみにオープンループは札幌の会社ながら何故かライブドアが出資していて、札証ではなくナスダック・ジャパン市場に上場しながらも板は超スカスカ、菱和ライフクリエイトは社長が某東大卒女優(最近結婚した)と婚外恋愛していたりと、今振り返ってみても当時弄っていた銘柄はなかなか見応えのあるラインナップだったな・・・と思います。そういう点では、日本中央地所は1円抜きしやすいという値幅的な魅力以外はつまらない銘柄でした(笑)。(続く)
※次の記事 2019-11-08
【なちゅの履歴書】⑤エッジ・ライブドア株との出会い(大学生の頃・その3)
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