不動産市況影響大きいが、中計は走破可能圏・九州リースサービス(8596)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8596】九州リースサービス(東証1部)  OP

現在値 591円/100株 PER6.0 PBR 0.48 3月配当株主優待 9月配当

総合リースで九州トップ。不動産関連ビジネス強化。西日本シティ銀、オリックスと親密。
配当金は3月末・9月末の合計14円配のため、配当利回りは2.37%となります。

九州リースサービスは株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を保有する株主に

対して1,000円分のクオカードを進呈していますので、配当優待利回りは約4.06%となります。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 193億円、営業利益 29.0億円 EPS 76.8円 
■2017年3月期 売上高 210億円、営業利益 29.5億円 EPS 102円 
■2018年3月期 売上高 232億円、営業利益 31.0億円 EPS 133円

■2019年3月期 売上高 244億円、営業利益 34.2億円 EPS 100.9円 

■2020年3月期 売上高 248億円、営業利益 32.5億円 EPS 97.4円 ce

□2019年6月1Q  売上高 59.6億円、営業利益 8.4億円 EPS 25.1円(8/9)
□2019年9月2Q 売上高 120億円、営業利益 17.5億円 EPS 57.6円 四e

2019年3月期の売上高は前期比5.1%増の244億円、営業利益は同10.2%増の34.2億円となり、

期初予想を上回って増収増益基調を堅持しました。リース業界全体では年間で3%程度市場

が拡大したこともあり、当社リース事業については、主力のリース・割賦事業において、新規

実行高が輸送用機器や土木用機器を中心に堅調に推移し、営業資産残高は前期比4.2%増

の664億円へ順調に積み上がりました。また、利益柱の不動産事業においては、大型の物件

売却があったことから、当該セグは売上・利益ともに大幅増となり全社業績を押し上げました。


進行期である2020年3月期の予算は、売上高が1.4%増の248億円、営業利益は5.0%減の

32.5億円を見込んでいます。リース事業については、再開発絡みの大型車両や建機リース、

割賦需要の取り込みを図るほか、医療機器についても堅調推移を予想しています。特に

足許では西日本シティ銀行を中心とした金融機関からの紹介案件が増加しているため、

元より緊密先であるオリックス(8591)同様、紹介ルート拡充による案件増が期待されます。

2018年にフィンテックグローバル(8789)との合弁で開始したストレージ事業も本格化

見込みですが、不動産事業としては(ウェアハウジング等?)の大型の案件剥落により、

反落する見通しであり、マイナス寄与が非常に大きく、全社トータルで減益予算となります。


今期は2021年3月期を最終年度とする3箇年中計の中間年度となっており、売上高を232

→250億円、営業利益を31→35億円までそれぞれ引き上げる計画です。実績期ベースで

既に営業利益34.2億円を達成していることから、保守的ながら数値的な蓋然性は高いもの

とみられます。基本的には事業ドメインの拡大が主な施策となり、医療機器や再生可能

エネルギーなど、昨今他のリース会社でも注力している分野を深耕していく形となります。

 

ただ当社は他のメガバンク系や地方銀行系、メーカー系のリース会社とは異なり、筆頭

株主が福岡最大手のデベロッパーである福岡地所(14.9%)であり、特に不動産事業に特

化していく公算が高く、当社大株主である西日本シティ銀行(4.4%)や、ロイヤルHD(4.3%)

とともに、福岡地所がメインスポンサーとなっている福岡リート(8963)の運用会社の株主

に名前を連ねています。また、物流不動産業を開発・運営するCRE(3458)の埼玉の倉庫に

も融資しているほか、同社傘下のCREロジスティクスファンド(3487)の投資口も直接的に保

有しているため、自社不動産所有による賃貸業強化は勿論のこと、(ブリッジ)ファイナンス

やウェアハウジングでも積極的に稼いでいく方針と考えられます。従って、他リース会社

と比べて不動産市況次第で業績が振れる可能性が高いものの、目下においてはこれら

REITやファンドのファイナンス等のニーズは高止まりしているため、当面は高水準で推移

することが期待される状況です。

 

最後に株主還元ですが、これまで僅か10%水準に留まっていた配当性向を、本中計の3ヵ年

で20%迄引き上げる計画です。リース会社はそもそも自己資本比率が高くないものの、足許

ではやっと20%に届いたので、そろそろ株主還元を手厚くしていく段階にあるものと思われ、

今期は年14円配当の据置を予想していますが、中計最終年度である翌期を待たずに年16

円まで期中で増配してくる可能性も十分あると考えます。

 

*参考記事① 2018-07-20 752円 OP

念願の東証一部へ指定替え、今後は不動産注力か・九州リースサービス(8596)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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