【8596】九州リースサービス(東証1部) ---
現在値 752円/100株 PER7.7 PBR 0.62 3月配当株主優待 9月配当
総合リースで九州トップ。不動産関連ビジネス強化。西日本シティ銀、オリックスと親密。
配当金は3月・9月の合計14円配のため、配当利回りは1.86%となります。
九州リースサービスは株主優待制度を導入しており、3月末時点で単元株を保有する株主に
対して1,000円分のクオカードを進呈していますので、配当優待利回りは約3.19%となります。
業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 192億円、営業利益 28.6億円 EPS 57.9円
■2016年3月期 売上高 193億円、営業利益 29.0億円 EPS 76.8円
■2017年3月期 売上高 210億円、営業利益 29.5億円 EPS 102円
■2018年3月期 売上高 232億円、営業利益 31.0億円 EPS 133円(5/10)
■2019年3月期 売上高 240億円、営業利益 32.0億円 EPS 97.6円 ce
□2018年9月中 売上高 107億円、営業利益 14.0億円 EPS 44.4円 ce
2018年3月期の売上高は前期比10.5%増の232億円、営業利益は同5.2%増の31.0億円となり、
期初予想を上回って増収増益基調を堅持しました。リース業界全体では産業機械の減少に
より3%程度市場が縮小したものの、主力のリース事業において航空機リースやメガソーラー
等の新ドメインが貢献したほか、利益柱の不動産事業においては、前年度下期取得物件の
通期稼働効果や、物件稼働率が96.9%まで高まったことで、収益が押し上げられました。
進行期である2019年3月期の予算については、売上高が3.1%増の240億円、営業利益は3.1
%増の32.0億円を見込んでいます。リース事業では、商業施設や機械リースの堅調な推移が
予想されるほか、好況を背景とした不動産向けブリッジファイナンスの伸びも期待されます。
また昨年3月にフィンテックグローバル(8789)との合弁でスタートしたカプセルホテル事業や、
同年4月にはストレージ事業も開始しており、いずれも売上としては小規模ながら、今期から
収益貢献が期待されます。なお、不動産売却特益が剥落するため最終益は反落となります。
今期は2021年3月期を最終年度とする3年中計の初年度となっており、売上高を232→250
億円、営業利益を31→35億円までそれぞれ引き上げる計画です。実績期で終わった旧3年
中計が上振れ着地していることもあり、ある程度現実味のある定量目標値とみられます。
基本的には事業ドメインの拡大が主な施策となり、医療機器や再生可能エネルギーなど、
他の大手リース会社でも注力している分野を深耕していく形となります。
ただこの中でも特に不動産事業に特化する可能性が高く、筆頭株主(14.9%)の福岡地所は、
当社大株主である西日本シティ銀行(4.4%)や、ロイヤルHD(4.3%)とともに、福岡リート(8963)
の運用会社の株主に名前を連ねているため、自社不動産所有による賃貸業強化は勿論の
こと、(ブリッジ)ファイナンスやウェアハウジングでも積極的に稼いでいく方針とみられます。
実際にエリア外の吹田商業施設への協調融資や、埼玉のCRE(3458)の倉庫にも融資して
いるようであり、不動産分野への傾注は明らかです。
最後に株主還元ですが、これまで僅か10%水準に留まっていた配当性向を、新中計の3ヵ年
でこれを20%迄引き上げる計画です。これは低還元を続けたことで、自己資本比率をやっと
20%台まで引き上げられたという財務良化が背景にあろうかと思いますが、それよりも昨年
11月に東証一部市場に指定変更となり、他の大手リース会社と横並びで比較されるように
なってしまったため、株主還元へと舵を切ったものと推察されます。当社のバリュエーション
には割安感もあるものの、他社はもっと安いので、コバンザメ方式でしか株価の水準訂正
が見込めないのが難ですが、そこは東証一部の“印籠効果”に期待したいところです。
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