東急沿線ドミナントで“地力”自体は高い、フェイスネットワーク(3489)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3489】フェイスネットワーク(東証マザーズ)  OP

現在値 1,096円/100株 PER7.5 PBR1.43  3月配当株主優待

投資家向けRC賃貸物件の一棟売りが柱。土地仕入れから施工・管理担う。城南中心。

配当は3月末一括の30円配当のため、配当利回りは2.74%となります。

 

フェイスネットワークは株主優待を導入しており、3月末の単元株主に対して3,000円分の

クオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.48%となります。


業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 71.0億円、営業利益 5.6億円 EPS 75.8円
■2017年3月期 売上高 101億円、営業利益 11.7億円 EPS 176.8円 
■2018年3月期 売上高 139億円、営業利益 12.3億円 EPS 175.6円

■2019年3月期 売上高 141億円、営業利益 10.1億円 EPS 128.1円(5/14)

■2020年3月期 売上高 160億円、営業利益 13.0億円 EPS 144.5円 ce
□2019年9月中 売上高 28.0億円、営業利益▲1.5億円 EPS 26.1円 四e


2019年3月期の売上高は前期比1.6%増の141億円、営業利益は同18.2%減の10.1億円と

なり、売上高・利益ともに大幅な予算割れとなりました。主力の不動産投資事業において、

元より期末の4Q(2019年3月)に引渡物件が集中していたものの、丁度その時期にスルガ

銀行の不正融資問題に端を発するアパート等投資用不動産への疑義が再燃し、不動産

投資家に対する金融機関の融資姿勢の厳格化が鮮明となったことから、相当数の案件

が翌期送りになったことが影響しました。投資商品と建築商品を合わせた販売件数は、

計画の42件から37件止まりとなり、累計受注件数の増加により不動産管理事業の業績

は続伸となったものの、穴を埋めるには至らず、前期業績も下回る結果となりました。


進行期の2020年3月期の予算は、売上高が13.0%増の160億円、営業利益は28.3%増の

13.0億円を予想しています。主力の不動産投資事業においては、実績期からの持ち越し

となった案件を含め、投資商品と建築商品を合わせた販売件数は6件増となる43件を見

込んでいます。期初時点の棚卸資産も、固定資産からの振替も含めて1年前から23億円

積み増して84億円としているほか、建築商品の受注残高も同倍増の16億円を確保して

いため、業績の“玉”自体は十分にあるので、あとは金融機関の厳格な融資姿勢が一頃

よりも緩和さえすれば、今期予算は十分達成可能な水準にあるものと考えています。


当社は2018年3月のIPO銘柄であり、公開価格1,400円でOA込で約12億円を調達してい

ます。創業者の蜂谷社長は世田谷信用金庫の出身ということもあり、社名が信用金庫の

キャッチコピーを文字った“Face(Faith) to Face”を由来としているほか、事業エリアにつ

いても城南3区(世田谷・目黒・渋谷)にフォーカスおり、中でも資産価値が高く、賃貸人気

の高い東急沿線で集中展開しています。城南3区ドミナントで展開しているため、自社で

プラン入れと施工が出来ることから仕入の判断が早く(最短で3日)、情報が集まりやすく、

仕入のノウハウが高いことが事業展開上の最大の強みとなっています。

 

また、特に信用金庫をはじめとする金融機関方面へのネットワークは強いものの、今後

は税理士業界方面への関与を拡大させ、相続対策商品としての販売拡大を狙います。

具体的には税理士事務所の多くが導入するBBC社の「相続管理システム2in1Win」と

当社が7月にリリースしたAIによる相続税・贈与税シミュレーターである「資産まもる君」

の接続を開始する予定であり、相続節税商品としての物件販売や、不動産特定共同事

業法を活用した小口化商品である「GrandFunding」の販売拡大を狙う戦略です。この

不特法絡みの案件はまだ殆ど無いものとみられるため、従来型の一棟売りが頭打ち

となった場合、エリアを広げるか、不特法商品に軸足を移していくものとみられますが、

まだ上場して間もないため、今後の成長戦略と成長余地については、もう少し業績の

トラックを見てからでないと判断が難しいものと考えています。

 

なお、今期の株主還元については、年30円配当を据置く方針としています。配当性向と

しては20%程に留まりますが、現状の公募価格割れとなっている株価水準を鑑みれば、

当分エクイティファイナンスは難しいとみられるため、妥当な還元水準と考えています。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 

特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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