クラウド型CRM提供志向も、実態はPBX屋で低成長・コラボス(3908)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3908】コラボス(東証マザーズ) OP


現在値 778円/100株 PER16.9 PBR2.15 3月無配 株主優待あり 

企業のコールセンター向けクラウドシステムを提供。初期導入費用と運用課金が収益源。


配当基準日は3月末ですが、配当実績はなく、今期の配当予想は未定となっております。

コラボスは株主優待制度を導入しており、単元株以上を保有する3月末株主に3,000円相

当の髙島屋のグルメギフトを進呈していますので、配当優待利回りは約3.85%となります。

業績を確認していきます。 
■2016年3月期 売上高 16.6億円、営業利益 2.5億円 EPS 39.2円 

■2017年3月期 売上高 18.1億円、営業利益 2.9億円 EPS 46.0円 

■2018年3月期 売上高 19.4億円、営業利益 3.0億円 EPS 47.9円 

■2019年3月期 売上高 19.6億円、営業利益 3.1億円 EPS 44.0円 

■2020年3月期 売上高 21.0億円、営業利益 3.2億円 EPS 45.9円 ce
□2019年9月中 売上高 9.9億円、営業利益 1.0億円 EPS 184.2円 ce

2019年3月期の売上高は前期比1.4%増の19.6億円、営業利益は同微増の3.1億円となり

7期連続の増収増益を確保したものの、売上高・利益ともに期初予算未達となりました。

主力商品のクラウド型IP電話システムである「@nyplace(機器型)」、「COLLABOS PHONE

(ソフトフォン型)」といった電話系のサービスが新規顧客の獲得により順調に伸長しました。

一方、クラウド型顧客管理システムの「COLLABOS CRM」については案件の剥落により、

登録ID数も足踏みから減少に転じ、構成比の低いアウトバウンド顧客管理が横ばいで踏

みとどまったものの、インバウンド顧客管理は大幅減となり、業績の足を引っ張りました。


進行期である2020年3月期の予算については、売上高が6.7%増の21.0億円、営業利益は

3.1%増の3.2億と続伸を見込んでいます。当社がドメインとするコールセンターCRM市場に

ついては、自社構築のオンプレミス型から、クラウド型に急速に移行しているため、この市

場シフトに沿う形で当社もそのリプレイス需要の獲得を狙っていく方針であり、主力商品の

「@nyplace(機器型)」で100席以上の大型案件受注に注力するほか、スタートアップから

中小型企業に対しても「COLLABOS PHONE」で拡販を図る計画です。なお、上期に集中

的に販促費を投下する計画であり、例年通り下期偏重型の仕上がりを計画しています。

 

当社は2015年3月にマザーズ市場に上場していますが、中長期的な業績の定量目標は

げておりません。目安としてはクラウド型CRM市場自体の伸びが参考となりますが

業界シンクタンクによればFY2016→FY2021の市場成長率はCAGR24%超とみられている

ものの、当社のトップライン成長は低成長が続いており、物足りない状況と言えそうです

コールセンター向けのCRM、と言えば聞こえはいいものの、現時点では単なるPBX屋に

毛が生えた程度に過ぎず、競合するテクマトリクス(3762)には企業体力と付加価値面で

圧倒的な差を付けられているほか、同じく競合するスカラ(4845)も光通信との協業により、

営業方面に拡張しているので、当社CRMは相対劣位している可能性等もありそうです。


当社の独自性を出す取り組みとしては、当社の第4位株主でもある音声認識のアドバンス

ト・メディア(3773)がコールセンター向けに展開する音声ソリューションを当社主力商品の

「@nyplace」と連携させる取り組みを始めており、今期中にサービスインする見通しです。

また、転職口コミ大手のグローバルウェイ(3936)と組んで、コンタクトセンターの広告成果

測定実験を始めたり、外食大手のワタミ(7522)と組んで予約受付の広告効果測定実験

開始するなど、営業・広告支援的なCRM機能拡張対策を開始していますが、こちらに

関しては当面の成長原資としてアテに出来る程の材料にはならないと考えています。

株主還元に関しては、今期の配当予想も未定(無配)となっているものの、財務状況は鉄

壁の(ほぼ)無借金状態となっており、現金同等物を15億円超抱えているため、そろそろ

配当の開始が意識される頃合ではあります。昨年から株主優待を導入したこともあり、

株主数は7,300名超に膨らんでいるため‘次のステージ’が意識されるものの、そもそも

時価総額が足りてないばかりか、流通株式も足りないので、その場合は高確率で売出

がセットになる可能性が高いので、その旨留意する必要がありそうです。

 

*参考記事① 2018-06-26 1,011円 OP

「日商岩井→ITX」の経営陣揃うが、成長力は物足りぬ・コラボス(3908)。

 

 

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基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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