「日商岩井→ITX」の経営陣揃うが、成長力は物足りぬ・コラボス(3908)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3908】コラボス(東証マザーズ) ---


現在値 1,011円/100株 PER21.1 PBR3.14 3月無配 株主優待あり 

企業のコールセンター向けクラウドシステムを提供。初期導入費用と運用課金が収益源。
配当基準日は3月末ですが、配当実績はなく、今期の配当予想は未定となっております。

 

コラボスは株主優待制度を導入しており、単元株以上を保有する3月末株主に3,000円相当

の髙島屋のグルメギフトを進呈していますので、配当優待利回りは約2.96%となります。

業績を確認していきます。 
■2015年3月期 売上高 14.8億円、営業利益 2.0億円 EPS 33.6円 
■2016年3月期 売上高 16.6億円、営業利益 2.5億円 EPS 39.2円 

■2017年3月期 売上高 18.1億円、営業利益 2.9億円 EPS 46.0円 

■2018年3月期 売上高 19.4億円、営業利益 3.0億円 EPS 47.9円 

■2019年3月期 売上高 21.0億円、営業利益 3.3億円 EPS 47.8円 ce
□2018年9月中 売上高 9.9億円、営業利益 1.2億円 EPS 18.0円 ce

2018年3月期の売上高は前期比7.0 %増の19.4億円、営業利益は同5.5%増の3.0億円となり

売上はショートしたものの、利益は予算水準を確保して着地しました。主力商品のクラウド

型電話システムの「@nyplace(機器型)」、「COLLABOS PHONE(ソフトフォン型)」が順調に

伸長し、業績を牽引しました。一方、クラウド型顧客管理システムの「COLLABOS CRM」

2種については大型案件の剥落により微減となり、登録ID数も足踏みとなりました。


進行期である2019年3月期の売上高は8.1%増の21.0億円、営業利益は7.6%増の3.3億と続

伸を見込んでいます。当社がドメインとするコールセンターCRM市場については、自社で

システム構築する‘オンプレミス型’から、クラウド型に急速に移行しているため、この市場

シフトに沿う形で当社もそのリプレイス需要の獲得を狙います。また、小型企業に対しても

「COLLABOS PHONE」で拡販を図る計画であり、web広告費を積極投入します。売上高の

伸びに対して営業利益が緩慢なのは、システム更新と本社移転コストの発生に由ります。

 

当社は2015年3月にマザーズ市場に上場していますが、中長期的な業績の定量目標は

げておりません。目安としてはクラウド型CRM市場それ自体の伸びが参考となりますが、

業界シンクタンクによればFY2016→FY2021の市場成長率はCAGR24%超とみられている

ものの、当社のトップライン成長は1桁台が続いており、業界首位のわりに不足感が強い

内容となっています。特に当社経営陣は通信系に強い(はずの)「日商岩井→ITX」のOBを

ズラりと並べたわりには微妙で、主取引先がオリンパスなのはITXの絡みかと思いますが

マザーズ上場企業のわりに、過去の遺産をメインに食っている印象が強い会社です。


期待出来そうな取り組みとしては、当社の株主でもある音声認識のアドバンスト・メディア

(3773)がコールセンター向けに展開する音声ソリューションが‘働き方改革’を背景に好調

に推移しており、これを当社商品の「@nyplace」と連携させる取り組みを始めています。

またその一方で、音声・通信に特化した開発会社のギークフィード社に資本参加(34%)して

いるため、やはり音声絡みでビジネスドメインを拡張させていきたい意向があるようです。

なお株主還元に関しては、今期の配当予想も未定(無配)となっているものの、財務状況は

鉄壁の(ほぼ)無借金状態となっており、現金同等物を12億円超抱えているため、そろそろ

配当の開始が強く意識されます。また、株主優待制度の導入もあり、株主数も5千名弱迄

膨らんでいるため、‘次のステージ’も意識される頃合ですが、それにともなう公募リスクが

少なそうな点はプラス評価出来るかもしれません(売出しは普通にあり得るので注意)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
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