「物言う株主」のオアシスに改めて期待、片倉工業(3001)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3001】片倉工業(東証1部) ---

現在値 1,281円/100株 PER29.9 PBR0.82 12月配当 株主優待

繊維、医薬品、消防車等機械。商業施設等の賃貸等不動産が収益柱。
配当金は12月に年一括の12円配当で、配当利回りは0.94%となります。

片倉工業は株主優待制度を導入しており、100株を保有する12月末の株主に対して、

1,000円分の自社製品ないしは商品券等を進呈しておりますので、配当優待利回りは

1.71%となります。また3年以上の長期保有で優待額が倍になりますので、その場合の

配当優待利回りは約2.49%となります。

業績を確認していきます。 
■2015年12月期 売上高 483億円、経常利益 5.0億円 EPS 6.4円
■2016年12月期 売上高 469億円、経常利益 21.5億円 EPS 48.1円 
■2017年12月期 売上高 461億円、経常利益 26.6億円 EPS 34.8円 

■2018年12月期 売上高 443億円、経常利益 24.5億円 EPS 36.5円 

■2019年12月期 売上高 441億円、経常利益 26.0億円 EPS 42.7円 ce
□2019年6月中間 売上高 241億円、経常利益 15.5億円 EPS 24.2円 ce

2018年12月期の売上高は前期比4.1%減の443億円、経常利益は同7.7%減の24.5億円と

なり、売上は未達だったものの、利益は期初予算水準を確保しました。医薬品セグにお

いて、戦略商品である経費吸収型β1遮断材「ビソノテープ」や、後発医薬品の販売拡充

を行ったものの、薬価改定の影響を受け同セグの利益が大幅に減少しました。また機械

関連セグにおいては、前期に計上した好採算の大容量ポンプ車の受注が剥落したほか、

当期計上予定分の翌期ズレなどもあり、同セグは予算比・前期比ともに減収減益となり

ました。一方、利益柱の不動産セグでは修繕費や減価償却費を抑制できたため、全社

トータルでは期初予算水準の利益を確保できた格好となります。

進行期である2019年12月期の予算については、売上高が微減の441億円、経常利益は

5.8%増の26.0億円を予想しています。機械関連セグにおいて、前の期から持ち越しとな

った特装車・消防車の計上があるものの、その他セグにおいて昨年撤退したDS直営事

業、化粧品事業、ホームセンター事業の売上剥落があるため、全社トップラインは減収

となります。なお、利益面については、繊維セグにおける補正下着事業、その他セグに

おける上述3事業のような不採算事業の撤退による収益改善効果で良化の見通しです。

 

今期は5年中計「カタクラ2021」の3年度目となっており、最終年度である2021年12月期

に売上高を566億円・営業利益52億円(直近期営業益実績:15.3億円)を目指しています。

営業利益率を2016年12月期の実績値である3.2%から9.2%へと急改善させる青写真を描

いており、医薬品セグと不動産セグの成長と不採算事業のリストラが核となっています。

ただ、中計3年目の今期もリストラが不十分な状況となっているため、前の期に続いて

リストラ期間として位置付けています。特に苦しいのが、成長と利益創出両方の役割が

期待されていた医薬品セグが、昨今の政策的な薬価改定により事業環境が急速に悪化

していることであり、当該セグの伸び代がないため、中計目標値は達成不可能圏です。


ということで、中長期的な業績伸長を期待するのは難しい状況であるものの、事実上の

当社筆頭株主であり、昨今では出光興産やアルパインなどの案件を手掛けたことでも

知られるオアシス・マネジメント(推定保有持分8%)がアクティビストとして当社の経営を

モニタリングしているような状況であり、当社マネジメントとも良好なコミュニケーション

が取れているため、一旦はオアシスに期待する形となります。

 

一応、オアシスの関与が強くなってからは、年10円の安定配当を12円へ増配したほか、

不動産事業強化のため、三井不動産の商業畑副社長であった大室氏の役員登用や、

抜本的な不採算事業のリストラといったかなりドラスティックな動きが出てきています。

オアシスの狙いとしては、中計が高確率で未達となるため、時価147億円の政策保有

株式の処分や、推定900億円にものぼる不動産含み益の一部顕在化による株主還元

など、過剰資本の削減を原資に、株主還元策強化を意図しているものと推察されます。

 

また、本年3月にはオアシスとは別に合同会社モンシャーレが5.5%に及ぶ大量保有報

告を新たに提出してきているため、どこかのファンドのカストディアンとみられるものの、

“外圧”は確実に高まっている印象です。オアシス曰く、保守的に弾いても現状の株価

水準から90~200%の株価アップサイドがあるとのことですので、基本的にはオアシス

の双肩に期待する形となります。

 

*参考記事① 2018-05-01 1,390円 ---

オアシス買増しで筆頭株主化、会社側への圧力は更に強まる・片倉工業(3001)。


*参考記事② 2017-04-21 1,281円 ---
プロスペクトの次はオアシスが揺さぶる、片倉工業(3001)。

 

 

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