【3001】片倉工業(東証1部) ---
現在値 1,390円/100株 PER48.8 PBR0.85 12月配当 株主優待
繊維、医薬品、消防車等機械。商業施設等の賃貸等不動産が収益柱。
配当金は12月に年一括の12円配当で、配当利回りは0.86%となります。
片倉工業は株主優待制度を導入しており、100株を保有する12月末の株主に対して、
1,000円分の自社製品ないしは商品券等を進呈しておりますので、配当優待利回りは
1.58%となります。また3年以上の長期保有で優待額が倍になりますので、その場合は
2.30%となります。
業績を確認していきます。
■2014年12月期 売上高 444億円、経常利益 8.9億円 EPS 7.6円
■2015年12月期 売上高 483億円、経常利益 5.0億円 EPS 6.4円
■2016年12月期 売上高 469億円、経常利益 21.5億円 EPS 48.1円
■2017年12月期 売上高 461億円、経常利益 26.6億円 EPS 34.8円
■2018年12月期 売上高 457億円、経常利益 24.0億円 EPS 28.4円 ce
□2018年6月中間 売上高 250億円、経常利益 13.0億円 EPS 17.0円 ce
2017年12月期の売上高は前期比1.6%減の461億円、経常利益は同23.6%増の26.6億円と
なり、売上は未達だったものの、利益は期初予算を確保しました。医薬品事業において、
主力の虚血性心疾患治療剤「フランドルテープ」等の長期収載品が減少したほか、機械
事業においては、好採算である大容量ポンプ車の減少や外注費の増加が響きました。
ただ不動産事業における「コクーン1」の改装効果や減価償却費の減少が寄与したほか、
医薬品事業における研究開発費用の削減もあり、トータルでは大幅な増益となりました。
進行期である2018年12月期の予算については、売上高が1.1%減の457億円、経常利益
は9.8%減の24.0億円と反落する見込みとなっています。祖業である繊維事業の子会社
(カフラス)が4末で清算となることによる減収や医薬品事業における「フランドルテープ」
等の長期収載品が薬価改定の影響を受け、利益が削られる見通しです。また機械事業
も低採算品が多くセグメント赤字が継続する見込みであり、今期もこれまで通り不動産
事業と医薬品事業(の一部)で、全社の業績をカバーしていくような構図となります。
今期は5年中計「カタクラ2021」の2年度目となっており、最終年度である2021年12月期
に売上高を566億円・営業利益52億円を計画しています。営業利益率を2016年12月期
の実績値である3.2%から9.2%に急改善する青写真を描いており、医薬品と不動産で牽引
する目論見となっていますが、今期も前の期に続いて子会社等のリストラ期間に位置付
られているため、1年経過したものの、目標への進捗具合が見えない状況です。既述の
繊維事業による子会社清算や、医薬品事業における人員のリストラ、機械事業における
消防車の規格統一化など“小手先”の施策が多く、成長を展望できる段階にありません。
ということで、パナホームや任天堂、最近ではGMOに買防策の廃止を叩きつけた、物言う
株主であるオアシス・マネジメントから今年の総会でも株主提案がありました。要は利益率
が低過ぎるので、ROEコンシャスの経営をして、不採算事業は撤退しろという言い分の下、
佐野社長の解任や127円の特別配当の実施や三井不動産商業マネOBの役員登用など
6議案を上程してきましたが、残念ながらこれらの株主提案は全て否決となっています。
ただオアシスは足元で8%近い持分を握る筆頭株主に躍り出ている背景もあるため、会社
側は一定の配慮を見せたのか、10円の安定配当を12円に増配させたほか、三井不動産
の副社長であった大室氏(※商業畑)の特別顧問就任など、さすがに“ゼロ回答”は避ける
姿勢を見せるに至っています。会社側はこれらの施策でオアシスとの軟着陸を図っている
ようにも見えますが、もし中計が未達に終わった場合の佐野社長への責任追及は必至の
状況であるため、会社側は自信の保身のためにも、かなりドラスティックなMAなりリストラ
なりを繰り出していかざるをえない局面に差し掛かってきたと思われます。
*参考記事① 2017-04-21 1,281円 ---
プロスペクトの次はオアシスが揺さぶる、片倉工業(3001)。
*参考記事② 2016-04-05 1,151円 ---
松本駅1.9万坪の貸地が業績寄与へ、片倉工業(3001)。
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