一部指定替え時に多額の資金調達に成功、財務は一気に良化・グッドコムアセット(3475)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3475】グッドコムアセット(東証一部) ---

現在値 1,875円/100株 PER11.7 PBR 2.2 10月配当株主優待 4月株主優待

東京23区で投資用ワンルームマンション、家族向を分譲。女性公務員に顧客基盤。
配当金は10月末一括の35円配当のため、配当利回りは1.87%となります。

 

グッドコムアセットは株主優待制度を導入しており、10月末・4月末の単元保有株主に対し、

2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.00%となります。

業績を確認していきます。 
■2014年10月期 売上高 56.1億円、営業利益 3.4億円 EPS 41.0円
■2015年10月期 売上高 78.2億円、営業利益 9.4億円 EPS 39.3円
■2016年10月期 売上高 73.9億円、営業利益 9.2億円 EPS 45.5円 
■2017年10月期 売上高 98.3億円、営業利益 9.0億円 EPS 106.1円

■2018年10月期 売上高 161億円、営業利益 16.2億円 EPS 154.6円 ce修正
□2018年4月2Q 売上高 95.1億円、営業利益 9.9億円 EPS 103.8円 

□2018年7月3Q 売上高 139億円、営業利益 14.3億円 EPS 142.0円 (9/12)

2018年4月中間期の売上高は前年同期比78.3%増の95.1億円、営業利益は同118.4%増

の9.9億円となり、期初予想水準を飛躍的に上回って、大幅な増収増益を達成しました。
主力の国内販売事業において、当初は通期で365戸の販売を計画していましたが、上期

だけで実に381戸の引き渡しを完了し、既に前期の通期販売戸数である324戸(15棟)を

上回って推移しています。ただ内容は業者向けの専有卸が278戸と、一般向けの103戸

の実に3倍近くに上っており、不動産市況による追い風が大きかったものとみられます。

進行期の2018年10月期の予算については、中間時点までに2度増額しており、売上高は

前期比64.6%増の161億円(期初予想:102億円)、営業利益は同78.5%増の16.2億円(期初

予想:11.7億円)へとそれぞれ大きく修正しています。予算前提となる引渡戸数は、好調な

上期の進捗を受け、前期を268戸上回る592戸を見込んでいますが、相対的に採算性が

落ちるファミリー向けの分譲が増えるため、業者向け専有卸が大きく寄与した上期と比べ

ると、利益の伸びは鈍化するとみられます。なお、9月上旬に既に3Qが開示されており、

売上高139億円・営業利益14.3億円を叩き出しているため、2度の修正予算に対する進捗

も順調であり、この業績進捗ペースであれば、3度目の増額修正も視野に入ります。

 

当社は中長期的な経営目標値を開示していないものの、向こう2期の仕入の進捗を開示

しており、進行期の2018年10月期と翌2019年10月期に関しては仕入完了、翌々期となる

2020年10月期に関しても、約半分の仕入が完了している旨のアナウンスがありました。

然しながら、足許の凄まじい販売ペースにより在庫を先食いしているとみられ、積み上げ

た仕入進捗は表記より後退していると推察されます。足許では専有卸(要は一棟転売)の

方が好採算のため、結果論的に業者販売のウエイトが高まっているものとみられますが、

一旦買取再販業者が付いてこなくなると、自社による個人販売(バラ売り)に切替える必要

が出てくるので、今のような破竹の利益伸長は望めなくなる可能性が高いと思われます。

 

会社側はこの対策として、自社のエンド投資家の開拓に注力しており、女性地方公務員に

「東京にあるオシャレな壁面緑化を施した‘GENOVIA’マンション」を保険や年金の代替的

な補完商品として売り込んできましたが、更なるエンド投資家層の確保のため、上海の地

場業者と組んで、中国投資家の子女の留学ニーズを拾うべく、海外展開を進めています。

 

当社は4月の一部指定替え時にPOを実施し、@1,887円で約21.5億円の調達を済ませて

おります。ここでの調達資金は基本的に物件購入資金に充当される見通しですが、高い

株価水準を活かして想定超の資金調達に成功しており、自己資本比率は25.7%→52.6%、

へと飛躍的に良化しています。2割程の希薄化があったため、既存株主には痛みを伴う

ものであったものの、一部上場企業になったとはいえ、まだまだクレジットが低い当社は、

TATERUやスルガ銀などの悪影響を、営業および資金調達の両面で受けやすく、その悪

影響を受ける前に、財務状況を一気に良化出来たことは大変意義のあることと言えます。

 

ただエクイティをやりつつも、一部上場記念配当で10円増配して、年35円配当(配当性向

22%)としたのは少し“勇み足”っぽい感じもしますが、これも今期の3度目の増額を見越し

た上での資本政策として、好意的に解釈したい・・・と思います。

 

*参考記事① 2018-03-01 1,602円 ---

女性公務員に偏重した特異な顧客基盤に特徴、グッドコムアセット(3475)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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