中計は事実上の頓挫、オムロン出身者の社長リレーが続く・フリュー(6238)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6238】フリュー (東証1部) ---

現在値 964円/100株 PER15.6 PBR1.65 3月配当株主優待 

プリントシール機の開発・販売首位、シェア7割。消耗品シール等好採算。

配当金は3月末に30円予想のため、配当利回りは3.11%となります。

フリューは株主優待制度を導入しており、3月末に単元株以上を保有する株主に対して、

2,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約5.18%となります。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 239億円、営業利益 30.3億円 EPS 73.2円 
■2016年3月期 売上高 241億円、営業利益 36.5億円 EPS 92.1円 
■2017年3月期 売上高 248億円、営業利益 39.2億円 EPS 98.9円 
■2018年3月期 売上高 258億円、営業利益 24.5億円 EPS 60.9円

■2019年3月期 売上高 250億円、営業利益 25.0億円 EPS 61.4円 ce
□2018年6月1Q 売上高 61.2億円、営業利益 7.4億円 EPS 17.6円(8/9)

□2018年9月中 売上高 123億円、営業利益 14.0億円 EPS 33.6円 四e

2018年3月期の売上高は前期比2%増の253億円、営業利益は同37.4%減の24.5億円となり、

増収こそ確保したものの期初予算を大きく割り込みました。プリントシール事業においては

プリント回数が減少したほか、直営店出店による経費増により当該セグメントは減収減益と

なったほか、付帯するメディア事業における課金会員数も163→161万人へと減少しました。

また、キャラクタMD事業も版権に恵まれなかったほか、サブセグメントであるゲーム事業が

任天堂の3DSからSwitchへの顧客シフトの影響を受けて3DS向けタイトルが苦戦し、実に

7億円弱もの減益とで大赤字を計上したため、全社業績の押し下げ役となりました。


進行期の2019年3月期の予算については、売上高が1.5%減の250億円、営業利益は1.9%増

の25.0億円と増収増益を見込んでいます。プリントシール事業では「PINKPINKMONSTER」

という二人撮影にフォーカスした新製品を投入して梃入れを図るほか、実績期より注力中

である直営店の出店を進める方針です。利益柱のメディア事業については、通常課金会員

をアドバイスやダイエット管理、メイク支援機能が搭載された上級課金会員(月額500円)へ

の切替を狙います。なお、サブセグメントのキャラクタMD事業は、高価格帯フィギュアのEC

販売を進めるほか、足を引っ張るゲーム事業は新規リリースの停止と不採算ゲームアプリ

の立て直しで収益改善を図る方針となっています。


今期は2022年3月期を最終年度とする5年中計の2年目となっており、4年後に売上高500

億円(CAGR15%)、営業利益100億円(CAGR20%)を目指しています。核となるプリントシール

事業は、市中ゲームセンターの退店増加対策として、直営店(girls mignon)を50店ほどまで

拡大させる計画です。ただこのセグメントはあくまで売上の嵩を確保するためだけの位置付

けであり、付随するメディア事業における課金会員の引き留めや、上級課金会員化による

利益回収が基本戦略となります。SHIBUYA109や、パルコ、イクスピアリ、OPAなどテナント

料が安くないロケーションへの直営出店が目立ちますが、プリ機自体の数が減るとストック

収益である課金会員の減少に拍車がかかるため、ある程度収益性を度外視して、高感度

ファッションビルを狙って出店しているものと推察されます(※要は課金会員数コンシャス)。

 

一方、サブセグメントのキャラクタMD事業とゲーム事業については、ゲームを核にアニメ、

玩具・グッズ・ゲームセンター向けプライズ製品等で盛大なメディアミックスを展開していく

青写真でしたが、肝心のゲーム事業が新規タイトルを満足に供給できる状況にありません。

そのため、会社側はこれら2事業を成長させて、“プリクラ一本足打法”から脱却する計画

でしたが、中計2年度目にして早くも暗雲が漂っており、業績の定量目標も画餅的です。

 

ただ当社は無借金で財務が非常に良く、現金も110億円超も溜め込んでいます。そのため、

中計達成のためにMAに大量の資金をつぎ込むことも可能ですが、オーガニックな成長を

目指しているフシもあり、懸念されたゲーム事業への広告費大量投入のシナリオも一旦は

消えたとみられるため、今後はこの余剰資金の活用が当社評価のポイントとなりそうです。

 

本来であれば成熟業種らしく、一層の株主還元に舵を切ってもよい局面ですが、既に配当

性向は50%レベル(年間30円)に達しているほか、実質創業者であるオムロン出身の田坂氏

が退任して、三嶋専務が社長に昇任したばかりという状況です。そのため、現在進行中の

中計は途中でローリングされる可能性がかなり高く、成長重視なのか、還元なのかといった

会社方針の根幹的なところは、新たな会社側のアナウンスを待つ形となりそうです。

 

*参考記事① 2017-07-19 1,298円  ---

超優良財務も、ゲーム開発力やMA展開力は未知数・フリュー(6238)。

 

 

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