【6356】日本ギア工業(東証二部) --
現在値 532円/100株 PER 34.3 PBR 0.98 3月配当優待 9月配当優待
バルクアクチュエーター(駆動装置)が主力。電力向け導入多い。
配当金は3月9月の年2回・合計4円のため、配当利回りは0.75%となります。
日本ギア工業は株主優待制度を導入しており、3月末・9月末に単元株を保有する株主に対
して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは4.51%となります。
業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 91.5億円、営業利益 5.5億円 EPS 24.4円
■2016年3月期 売上高 86.2億円、営業利益 7.0億円 EPS 33.3円
■2017年3月期 売上高 90.1億円、営業利益 10.6億円 EPS 48.4円
■2018年3月期 売上高 73.9億円、営業利益 2.9億円 EPS 15.3円
■2019年3月期 売上高 80.0億円、営業利益 3.2億円 EPS 15.5円 ce
□2018年6月1Q 売上高 14.3億円、営業利益 0.2億円 EPS 1.3円(8/10)
□2018年9月中 売上高 38.0億円、営業利益 0.8億円 EPS 4.2円 ce
2018年3月期の売上高は前年同期比18.0%減の73.9億円、営業利益は同72.6%減の2.9億円
となり、期初予想を大きく下回ったものの、中間時の減額予算よりはマシな着地となりました。
主力の歯車(装置)事業におけるバルブコントロールが、火力・原子力発電所向けで低迷し、
上下水道や輸出向けが堅調にしたものの補いきれませんでした。また工事事業についても
同様の傾向となっており、上下水道向けが堅調だったものの、火力・原子力発電所向けが
大きく減少したため、結果的には両セグともにトップラインから2割弱も凹む形となりました。
進行期である2019年3月期の予算については、売上高が8.3%増の80.0億円、営業利益は
9.8%増の3.2億円を予想しております。期初時点での受注残が不明であり、実績期の受注
高も前期比で3%程度落ちているため、トップラインから上伸を目指す会社側予算にはやや
不透明感が残ります。最大顧客である原子力発電所の再稼働は、依然はとして限定的な
状況に留まっているほか、火力発電所も停止中のものが多く、ランニング収入である筈の
メンテナンス収入も取り逃してしまっている状況です。なお、去る8月10日に1Q決算が開示
されておりますが、歯車(装置)事業・工事事業ともに発電所絡みの落ち込みを、引き続き
色濃く受けてしまっており、一部ジャッキ品は堅調であるものの、苦戦が見て取れます。
当社は今期を始期とする向こう5年間の中期経営計画を策定しているようですが、業績定
量目標値が非開示となっているほか、開示されている定性方針についても「他社との競争
に打ち勝ち、着実に成長する企業を目指す」という余りに漠とした内容のため、全く参考に
なりません。実績期までの数期間は順調に増益基調を継続していましたが、既に途切れて
しまっているので、内容的にはリカバリープラン的な中計になっているものと推察されます。
当社は、2015年に機械部品商社である成和により、当時原発依存度7割ともされた当社の
放漫経営に終止符を打つべく、敵対的買収が実行されており、経営陣を全て追い出して、
それからは同社の寺田社長が当社社長を兼務しています。既述のとおり原発が全然ダメ
な状況であり、上下水道や化学・鉄鋼の深耕を図っているものの道半ばとなっています。
足許ではジャッキ製品への注力や、歯車の直接輸出を拡大すべく、ドメイン変更を図って
いる最中であり、(原発再稼働がないことを前提に)利益面では暫く雌伏期が続きそうです。
一方、財務面については依然良好な状態維持しており、借金8億円強に対して、手許現金
は25億円を確保しています。今期も配当に関しては4円配(配当性向25.8%)を予定している
ほか、昨年7月には破格の株主優待制度を導入しており、株主数が20倍を遥かに超える
38千人に激増しているため、業績の押し下げ要因として大きくマイナス寄与しています。
しかしながら、成和の当社株の推定取得簿価(2014年頃の株価)を鑑みるに、まだ成和側
としては株価を引き上げるインセンティブが働いているものと考えていますので、かような
状況から判断すると、例えば優待制度の段階的な改悪はあっても、一気に廃止となるよう
な可能性については、さほど高くないものと捉えております。
*参考記事① 2018-01-11 493円 --
原発非稼働重く均衡圏だが、好財務で優待支える?日本ギア工業(6356)。
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