原発非稼働重く均衡圏だが、好財務で優待支える?日本ギア工業(6356)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6356】日本ギア工業(東証二部) --

現在値 493円/100株 PER 174.8 PBR 0.94 3月配当優待 9月配当優待

バルクアクチュエーター(駆動装置)が主力。電力向け導入多い。
配当金は3月9月の年2回・合計4円のため、配当利回りは0.81%となります。

日本ギア工業は株主優待制度を導入しており、3末・9末に単元株以上を

保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、

配当優待利回りは4.86%となります。

業績を確認していきます。
■2014年3月期 売上高 87.0億円、営業利益 4.0億円 EPS 16.9円
■2015年3月期 売上高 91.5億円、営業利益 5.5億円 EPS 24.4円
■2016年3月期 売上高 86.2億円、営業利益 7.0億円 EPS 33.3円 
■2017年3月期 売上高 90.1億円、営業利益 10.6億円 EPS 48.4円 

■2018年3月期 売上高 74.4億円、営業利益 0.6億円 EPS 2.8円 ce修正
□2017年9月中  売上高 32.2億円、営業利益▲0.7億円 EPS▲4.1円(10/31)

2017年9月中間期の売上高は前年同期比26.9%減の32.2億円、営業利益は

同113.9%減の▲0.7億円となり、期初予想を大きく下回りました。主力の歯車

装置事業におけるバルブコントロールが、火力・原子力発電所・石油向けで

低迷し、上下水道や船舶向けが堅調にしたものの補いきれませんでした。

一方、工事事業においては、原子力発電所・石油化学向けが伸びたものの、

火力発電所・上下水道向けが減少したため、全社では大減収となりました。

 

2018年3月期通期の予算に関しても修正しており、売上高は前期比17.5%減

の74.4億円(従予:87.0億円)、営業利益は同94.4%減の0.6億円(従予:6.2億円)

にそれぞれ大幅に減額しています。上期末の受注残高自体は前期末比で

5割弱積み増し出来ているため、下期で多少持ち直しが見込まれるものの、

最大顧客である原子力発電所が一部しか再稼働しておらず、火力発電所も

老朽化したまま停止していたりするため、本来取れる筈の工事や定期点検

を失注しているため、コスト削減による黒字確保がやっとという状況です。

 

当社は中長期的な計画を開示していませんが、前期までの数期間は順調に

増益基調を継続してきたため、今期で躓く形となります。2015年に現在の親

会社(※正確には同社の“その他関連会社”)である機械部品商社の成和が、

当時原発依存度7割ともされた当社の放漫経営に終止符を打つべく、敵対的

買収を実行しており、経営陣を全て追い出して同社の寺田社長が当社社長

に就任しています。経営陣刷新後は、上下水道や化学・鉄鋼向けの深耕を

図っていますが、まだまだ事業ドメインを変更出来ていない印象が強く、結局

は経営側の努力より、基本的には発電所の再稼働を待つ形となりそうです。

 

ただこの放漫経営の原資(!?)となった、財務については依然として良好な状態

を維持しており、借金4億円強に対して、手許現金は26億円を確保しています。

今期は水面スレスレのためタコ配となるものの、減配ながらも4円配当を予想

しており、業歴80年弱を誇る会社だけあって、企業体力を見せつけています。

また、本年7月には破格の株主優待制度を導入しており、株主数が約10倍の

15千人に激増していますが、この程度の株主数であれば(優待費用面で)持ち

堪えられるような印象も受けます。また、成和の当社株の取得簿価を鑑みるに、

基本的には株価を上げるインセンティブが働いているものと推察され、定石通り

に次のステージを目指して・・・と考えるのが、自然な捉え方であると思います。

 

 

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