西武百貨店の小田原撤退は大誤算、ダイドーリミテッド(3205)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3205】ダイドーリミテッド(東証1部)  --

現在値 400円/100株 PER135.5 PBR0.77 3月配当 株主優待 

アパレル中堅、ブランド『ニューヨーカー』。不動産賃貸が安定収益源。
配当金は3月末一括の5円配当のため、配当利回りは1.25%となります。

ダイドーリミテッドは株主優待制度を導入しており、3月末の単元株主に対して、4,500円分

の自社製品を進呈しておりますので、配当利回りは12.5%となります。

業績を確認していきます。  
■2015年3月期 売上高 244億円、経常利益 1.3億円 EPS 2.6円 

■2016年3月期 売上高 238億円、経常利益▲5.4億円 EPS 2.7円 
■2017年3月期 売上高 214億円、経常利益▲14.4億円 EPS ▲45円 

■2018年3月期 売上高 272億円、経常利益▲3.8億円 EPS 9.7円 

■2019年3月期 売上高 273億円、経常利益 0.0億円 EPS 2.9円 ce

□2018年6月1Q 売上高 60.6億円、経常利益▲1.6億円 EPS▲4.9円(8/9)
□2018年9月中 売上高 130億円、経常利益▲8.5億円 EPS▲23.6円 ce

2018年3月期の売上高は前期比27.3%増の272億円、経常損益は▲3.8億円と赤字が縮小し

大幅な増収増益となりましたが、期初予算に対しては大きくショートして落着となりました。
2016年11月に伊フィレンツェの生地販売会社「ポンテトルト」社を買収し、通期寄与したこと

でトップラインは2ケタ増となったものの、主力の「NEW YORKER」が小売店を閉鎖した影響

で伸びが抑えられたほか、利益柱の不動産事業についてもキーテナントの退去(※後述)に

ともなう改装工事期間に入ったため、セグメント利益は前期比3割減と大打撃となりました。


進行期である2019年3月期の予算については、売上高が微増の273億円、経常利益は黒字

へと転換し、トントンを見込んでいます。衣料事業は主力工場である上海の松江工場の閉鎖

を済ませていますが、実績期に国内の事業子会社を3社合併しており、より一層の経費削減

を推進します。また、リアル店舗よりも国内外のEコマースに注力するほか、伊「ポンテトルト」

による他社高級ブランドのOEM受注拡大を狙います。

 

想定外だったのは、小田原商業施設「ダイナシティ」ウエストモールの約3割の面積を占める

キーテナントの西武百貨店が本年2月に退去したことであり、これまで百貨店に売場若しくは

転借で入っていたテナントが当社と直接再契約して継続入居したケースはあるものの、いま

なお後継テナントが決まっていない区画が相当残っている状況です。これを満床に出来ない

と家賃収入が落ちるばかりでなく、商業施設としての競争力が落ち、既存テナントにも賃料の

減額材料を与えてしまうことから、今期は「ダイナシティ」の満床復帰が最大目標となります。


ということで、定量的な業績も、定性的な状況も見所に乏しいものの、当社は秋葉原に敷地

面積500坪強の自社ビルを有しているほか、「ダイナシティ」も僅か40億円程の激安簿価で

B/Sに計上しているため、依然として約300億円の賃貸用不動産含み益を温存しています。

そのため、含み益を顕在化させて、譲渡益の税金で約3割を持っていかれると試算しても、

想定NAV(≒BPS)は1,000円を超えますので、実質PBRは0.3倍台になるかと思われます。

 

但し、ここ数年で細かい固定資産を売却しており、秋葉原本社や「ダイナシティ」は切り売り

出来るような代物でもなく、今期は5円減配して、通期で5円配当を予想していますが、これ

はそろそろ売るものが無くなってきたシグナルともとれます。社員のリストラ原資も枯渇して

しまったので、そろそろ本業の衣料事業を中心とした自力回復が強く望まれる状況であり、

これまで手薄だったEコマースの売上高伸長こそが中長期業績の鍵になろうかと思います。

 

*参考記事① 2017-07-08 438円 --

業績ジリ貧も、膨大な含み資産は健在・ダイドーリミテッド(3205)。

 

*参考記事② 2015‐08‐05 515円 ---

微妙業績も有価証券の切り売りで対処、ダイドーリミテッド(3205)。

 

 

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