【9007】小田急電鉄 (東証1部) --
現在値 2,353円/100株 PER27.3 PBR2.29 3月配当優待 9月配当優待
新宿拠点の鉄道大手。複々線化推進、グループ経営強化。箱根開発も。
配当は3月末・9月末の年2回・合計21円配当のため、配当利回りは0.89%となります。
小田急電鉄は株主優待制度を導入しており、3月末と9月末の年2回・5単元を保有する
株主に対して電車全線乗車証を4枚進呈しているほか、小田急グループ各社で使える
各種割引券を進呈しております。このうち全線乗車証だけを1枚880円で換算した場合の
配当優待利回りは約1.49%となります。
業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 5,187億円、営業利益 498億円、EPS 83.6円
■2016年3月期 売上高 5,298億円、営業利益 529億円、EPS 76.3円
■2017年3月期 売上高 5,230億円、営業利益 499億円、EPS 72.3円
■2018年3月期 売上高 5,246億円、営業利益 514億円、EPS 81.3円
■2019年3月期 売上高 5,286億円、営業利益 520億円、EPS 86.0円 ce
□2018年6月1Q 売上高 1,310億円、営業利益 167億円、EPS 33.6円(7/27)
□2018年9月中 売上高 2,623億円、営業利益 279億円、EPS 49.6円 ce
2018年3月期の売上高は前期比微増の5,246億円、営業利益は同3.0%増の514億円となり、
期初予想比では若干減収となったものの、利益は計画を上回りました。主力の運輸業では
雇用環境回復による定期収入増と箱根の観光需要が想定超で推移し増収を確保しました。
また、流通業ではHC子会社の外部譲渡によりストア業は減収となったものの、百貨店(特に
新宿)がインバウンド巻き返しにより免税売上が回復したほか、外国人宿泊比率の高い新宿
2ホテルを擁するホテル業も、改装休業からの反動増もあり大幅な増収増益となりました。
進行期である2019年3月期の予算については、売上高が微増の5,286億円、営業利益は1.0
%増の520億円を予想しています。主力の運輸業は複々線化工事完了によるダイヤ改正効果
を見込むほか、不動産業におけるリノベ物件の販売増で増収増益を予想しています。なお、
百貨店については町田店と藤沢店で改装休業を予定しているため、新宿店のインバウンド
増加では埋められない可能性が高く、同セグメントは減収減益を予想しています。なお、去る
7月末に1Qが開示されており、数値的には上振れペースとなっていますが、不動産業による
寄与が大きく、期待の運輸業の伸びがイマイチだったので、評価としては中立となります。
今期は3年中計の初年度となっており、最終年度である2021年3月期にEBITDA968→1,115
億円を目指しています。従来は長計の中で売上高(営業収益)6,000億円、EBITDA1,000億円
を目標としてきましたが、計画通りの進捗となっており、中計の折り返しとなるこのタイミング
で上方修正した格好となります。去る3月17日に30年の歳月と3,100億円もの巨費を投じた
複々線化工事の完成と、それにともなうダイヤ改正があったため、この分だけで約50億円の
増収を見込んでおり、この運送能力の大幅増が業績成長のドライバーの核となります。
そのほか沿線の集客核となる駅(海老名・町田・下北沢など)における不動産開発の推進や、
流通業ではストア事業におけるセブン&アイ(3382)との業務提携、ECでは下着通販の白鳩
(3192)を子会社化しており、次世代型小売業への変革を図ります。ホテル業についても大幅
に強化する計画であり、沿線内外及び海外に15棟(うち2棟出店済)を出店していく計画です。
なお、株主還元については今回中計期間においても「配当性向30%を目安とした安定配当を
継続」と公表しているため、今期予想配当の21円(配当性向24.4%)はまだ増配余地を残して
いますが、当社の最大の成長ポテンシャルは、小田急百貨店やハルク周辺を核とする新宿
西口再開発であり、実際に足許でも新宿のビルを買い集めている背景もあるため、剰余金
は極力温存すべきだと考えており、“牛歩増配”なら増配しなくてもいいくらいだと思います。
*参考記事① 2017-12-20 2,415円 ---
社運を賭けた「複々線化」事業が完成間近、小田急電鉄(9007)。
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*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。
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