新中計はマイナス成長予想で、自社株買い期待の局面へ・明星工業(1976)。  | なちゅの市川綜合研究所

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【1976】明星工業(東証一部) ---

現在値 818円/100株 PER12.3 PBR0.94 3月配当株主優待 9月配当

熱絶縁工事に強い建設工事会社。海外LNG出荷基地工事に実績。
配当金は年2回・合計20円のため、配当利回りは2.44%となります。

明星工業は株主優待制度を実施しており、3月末に単元株以上を保有する株主に対して、

1,000円分のJCBギフトカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは3.66%となります。

また長期優遇制度を導入しており、500株/1,000株保有の場合は進呈額がアップします。

業績を確認していきます。
■2015年3月期 売上高 468億円、経常利益 62.3億円 EPS 77.7円 
■2016年3月期 売上高 454億円、経常利益 57.9億円 EPS 73.8円 
■2017年3月期 売上高 517億円、経常利益 57.0億円 EPS 75.4円 

■2018年3月期 売上高 551億円、経常利益 64.8億円 EPS 84.0円(5/10)

■2019年3月期 売上高 500億円、経常利益 52.5億円 EPS 66.4円 ce
□2018年9月中 売上高 240億円、経常利益 23.0億円 EPS 28.9円 ce 

2018年3月期の売上高は前期比6.6%増の551億円、経常利益は同13.7%増の64.8億円となり、

期初の減収減益予想から一転して、大幅な増収増益で着地しました。主力の断熱工事事業

において、豪州のLNG出荷設備工事ならびに東南アジアの大口案件が順調に進捗し、当該

セグメントにおける海外売上比率も25%水準まで大きく上昇しました。一方のボイラ事業につ

いては、老朽化施設の改造・補修工事が安定的に推移したものの、‘バイオマス焚ボイラ’を

はじめとする新缶受注が減少したため、減収減益基調に歯止めがかかりませんでした。


進行期である2019年3月期の予算については、売上高が9.3%減の500億円、経常利益19.1%

減の51.0億円と予算上は反落を見込んでいます。断熱工事事業は国内におけるLNG船向け

やメンテ工事の堅調推移が予想される反面、前の期に計上のあった豪州の大型プラント案件

が殆ど終わってしまっていることが主な減収要因となります。一方、ボイラ事業に関しては、

受注残高の回復による反転増が見込まれますが、全社業績の穴埋めは難しい状況です。


実績期は(旧)3年中計の最終年度であり、目標値である売上高500億円・経常利益48億円に

ついてはひとつ前の期に前倒達成していたことから、今期から満を持して新3年中計へ移行

しています。然しながら、3年後となる2021年3月期の定量目標値は、売上高551→550億円、

経常利益は64.8→57.5億円、と想定外のマイナス成長を予想しています。これは顧客である

製造業者の海外移転や、老朽設備の廃止・集約化が進むことによるマクロ受注環境の低迷

が根底にあることが大きく、会社側では国内の断熱工事受注を横ばい、ないし逓減を前提に

予算を組んでいるとみられます。伸びシロは海外売上の伸長と、流行りのバイオマス発電を

軸としたボイラ事業となりますが、当社は保守的な予算組みをする傾向にあるため、その辺

の成長を織り込まず、マクロ環境の低迷だけを反映し、保守的に見立てたと推察されます。


当社は建設業ながらチタン級の財務体質であることが特徴であり、実績期には多額の売掛

金の回収があったこともあり、借金をネットしてなお190億円近い現金がダブついています。

そのため配当金は尻上がりとなっており、【6→8(記念)→8→10→14→26円】と増配基調が

継続していますが、残念ながら今期は配当性向30%基準に則り、配当予想は20円と現時点

では減配が予定されています。また、実績期では大幅増配したこともあって、自社株買いも

ゼロで終わりましたが、今期予算は減収・減益・減配予想となっているため、改めて自社株

買いが期待されるような状況ではあります。

 

*参考記事① 2017-07-06  681円 ---

株主優待の長期優遇を導入、明星工業(1976)。 

 

*参考記事② 2016-07-10  460円 ---

中計前倒達成で更なる株主還元を期待、明星工業(1976)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 
基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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