【9619】イチネンホールディングス(東証1部) ---
現在値 1,444円/100株 PER9.2 PBR1.18 3月配当優待 9月配当
自動車リース中堅、リース車両整備受託、燃料販売等ケミカル事業も展開。
予想配当は年間合計36円のため、配当利回りは2.49%となります。
イチネンホールディングスは株主優待を導入しており、単元株を保有する3末株主に
1,000円分のクオカードを進呈していますので、配当優待利回りは約2.98%となります。
業績を確認をしていきます。
■2015年3月期 売上高 716億円 営業利益 54.2億円 EPS 149.4円
■2016年3月期 売上高 748億円 営業利益 55.1億円 EPS 146.5円
■2017年3月期 売上高 797億円 営業利益 56.8億円 EPS 154.1円
■2018年3月期 売上高 813億円 営業利益 59.1億円 EPS 156.4円(4/27)
■2019年3月期 売上高 860億円 営業利益 61.0億円 EPS 156.9円 ce
□2018年9月中 売上高 428億円 営業利益 31.3億円 EPS 80.4円 ce
2018年3月期の売上高は前期比2.1%増の813億円、営業利益は同8.0%増の59.1億円となり、
予算は若干未達だったものの、15期連続の営業増益を果たしました。主力の自動車リース
事業において地方や中小企業の開拓により契約台数を増加させたほか、リースアップ車両
の処分販売も順調に伸長し、全社業績を押し上げました。また、ケミカル事業において石炭
・燃料添加剤が伸長したほか、利益面ではパーキング事業での既存駐車場の収益改善策
(要は時間単価見直し、支払地代削減)が寄与し、採算性が大きく改善しました。
進行期である2019年3月期の予算については、売上高が5.7%増の860億円、営業利益は
3.1%増の61.0億円を予想しています。核となる自動車リース事業では、実績期までに地域
本部制の構築を完了したことで、今期も地方におけるリース台数の増加が期待出来るも
のの、新基幹システム稼働開始による償却費の増加によりセグメント減益へ転換します。
それでも、ケミカル事業とパーキング事業が新規顧客の開拓により順調な推移が見込ま
れるほか、大きいのが機械工具販売事業と合成樹脂事業において過去に買収した会社
ののれん償却が終了したことで、2億円程度の“浮き”が発生し、穴埋めに寄与します。
当社は旧3年中計で、2018年3月期に営業利益65億円を目指していましたが、実際は既
述のとおり、60億円足らずでの落着となりました。ただ、かねてより開示していた新3年中
計による定量目標(2020年3月期に営業利益85億円、2021年3月期に同100億円)の旗を
下しておらず、低い発射台から高みを目指す形となります。会社側は引き続き規模拡大
にフォーカスする意向であり、自動車リース事業における海外販売(主にNZ)の拡大や、
機械工具販売事業において、日本の大手空調機器メーカーに付いていくことで、中国・
ASEAN(主にタイ)での飛躍的な業容の拡大を目指していく目論見です。
また、当社はMA巧者としても知られており、実績期は機械工具卸売のゴンドー(年商約
3.5億円)、機械工具製造卸の昌弘機工(年商約5.3億円)の2社を傘下に収めています。
言うまでもなく新中計の目標は過大感があり、機械工具販売事業を飛躍的に伸ばして
も無理があるので、基本は飛び道具のMAに頼る形になろうかと思います。MA原資と
なる財務については、リース会社ということもあり約700億円超の有利子負債を抱えて
いますが、配当を絞ることで期ごとに財務を良化させています(自己資本比率は25%)。
実際、公表配当性向は20~30%目標にもかかわらず、アクチュアルはせいぜい23%程度
に抑えているため、財務余力を温存させていることは明らかと言えます。
ということで、MA案件のあるなし次第で、新中計の実現確度が全然変わってくるものと
思われますが、当社の主力事業はリース業であり、バリュエーション的にハネないのは
割引要素です。同業大手の東京センチュリーまで評価されればともかく、オリックスや
三菱UFJリース、芙蓉総合リースなどはマルチプル10倍かそれ以下というのが通例で
あり、オリックスは最大手でありながら成長率も株主還元も目を見張るものがあるため、
SmallCapの当社が評価されるためには、相応の業績モメンタムを示す必要があります。
*参考記事① 2018-02-20 1,542円 ---
営業利益100億円には大型MAが必要、イチネンホールディングス(9619)。
*参考記事② 2017-02-01 1,108円 ---
更なる買収には財務面強化が必要、イチネンホールディングス(9619)。
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