東大と共同開発の「ロードス」が有望だが、希薄化は重し・土木管理総合試験所(6171)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6171】土木管理総合試験所(東証一部)  --

現在値 576円/100株 PER31.7 PBR2.51  6月12月配当 株主優待あり

土木工事に必要な試験・調査・分析を行う試験と地盤補強工事が二本柱。
配当は6末/12末の年2回・合計7.5円配当のため、配当利回りは1.30%となります。

土木管理総合試験所は株主優待制度を実施しており、12末の単元保有株主に対して、
500円分クオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは2.17%となります。

業績を確認していきます。  
■2014年12月期 売上高 40.5億円、経常利益 2.9億円 EPS 33.7円 
■2015年12月期 売上高 43.6億円、経常利益 4.1億円 EPS 54.9円 
■2016年12月期 売上高 45.2億円、経常利益 4.0億円 EPS 40.8円  
■2017年12月期 売上高 48.0億円、経常利益 3.0億円 EPS 15.1円 

■2018年12月期 売上高 51.0億円、経常利益 3.5億円 EPS 18.2円 ce 
□2018年6月中間 売上高 23.5億円、経常利益 0.6億円 EPS 2.7円 ce 

 

2017年12月期の売上高は前期比11.5%増の48.0億円、経常利益は同27.2%減の3.0億円

となり、売上は期初予想水準を確保したものの、利益は大幅に未達となりました。主力の

土地・地質試験事業において、東京本社の新規開設や西日本検査センター増築により、

営業エリアが拡大し増収を確保したものの、それに伴う人件費や教育費用が嵩んだほか

「ロードス」(※後述)に先行投資費用を投じたため、前期比3割弱の大減益となりました。

進行期である2018年12月期の予算については、売上高が6.2%増の51.0億円、経常利益

は16.1%増の3.5億円と増収増益を見込んでいます。既述の通り、関東を中心に営業拠点
を拡大させているため、東北の震災復旧工事、リニア中央新幹線の南アルプストンネル

工事、東京五輪関連工事の需要が見込めるほか、北陸新幹線延伸工事に関しては既に

大型の受注(※基本的に全て高架橋)をしている模様です。引き続き官公需が多いため、

業績が4Q(と1Q) に大きく偏重する見通しであり、2Q・3Qは殆ど見せ場なしとなります。

当社は2017年6月に東京大学との共同開発を発表していた、道路・軌道の路面下ビッグ

データ共用システムである「ロードス」を本年2月に開発完了させており、今春にも段階的

にサービスをローンチする予定となっています。「ロードス」は道路・軌道を車で走行する

ことで、地中にレーダーを飛ばしてデータを収集し、AIやアルゴリズムにより空洞の有無

や埋設管、道路舗装の状況といった6種類のデータを可視化することが出来るシステム

となっており、省人化や工事費の削減が見込める“期待の新事業”、となっています。

 

会社側はこの「ロードス」をドライバーとして、約5年で利益倍増(営業利益ベースで6~7

億円?を想定)を見込んでおり、この「ロードス」自体は営業利益率10%の高採算が期待

出来るものの、ローンチ後しばらくはAIに地質パターンを学習させるための期間が必要

であるほか、初期改良費用も発生するため、当面の業績寄与は限定的かと思われます。

 

また、この「ロードス」のシステム投資に必要な原資は、2015年のIPOで調達した約10

億円を使い果たしてしまっていることから、昨年末に野村證券を相手先にMSワラントを

2百万株分刷っており、概算15億円程度の資金を追加で調達することとしております。

2末現在で未行使が0.75百万株となっているので、足許では粗方行使が終わっている

ものと推察されますが、現状の株価水準を踏まえると、最終的な調達額は13億円程度

になると思われます。希薄化率は一定ではあるものの、約16%と小さくない数字である

ため、既述のとおり「ロードス」の収益化に一定の時間がかかることも考慮すると、バリュ

エーション的にはやや苦しい展開が続くと予想されます。

 

*参考記事① 2017-04-11 332円*分割修正済 

地震ヘッジ用のバリュー銘柄、土木管理総合試験所(6171)。

 

 

会社四季報 

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