OBP2千坪取得で新中計確度高まるも、株主還元遠のく・京阪神ビルディング(8818)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【8818】京阪神ビルディング(東証1部) ーーー

現在値 688円/100株 PER11.2 PBR0.62 3月配当9月配当優待

住友系不動産。データセンター、場外馬券売り場、オフィスなど所有。
配当金は3月9月で合計17円のため配当利回りは2.47%となります。

 

京阪神ビルディングは株主優待制度を実施しており、3月末の単元株主に

お米券を1枚進呈していますので配当優待利回は約3.11%となります。

業績は以下の通りとなります。
■2014年3月期 売上高 140億円、経常利益 37億円 EPS 46.1円
■2015年3月期 売上高 148億円、経常利益 44億円 EPS 50.6円
■2016年3月期 売上高 149億円、経常利益 47億円 EPS 66.9円 
■2017年3月期 売上高 143億円、経常利益 47億円 EPS 60.6円 

■2018年3月期 売上高 147億円、経常利益 48億円 EPS 61.2円 ce

□2017年6月1Q 売上高 35.9億円、経常利益 13億円 EPS 17.2円(7/28)
□2017年9月中 売上高 74億円、経常利益 24億円 EPS 31.5円 四e

2017年3月期の売上高は前期比3.7%減の143億円、経常利益は同0.9%減

の47.4億円となりました。2015年に関西アーバン銀行が入居する心斎橋の

アーバンビルを244億円で売却したことと、江坂のデータセンター(DC)ビル

の大型解約の埋め戻しが遅れ、期中に藤沢サミット建物を購入したものの

全社空室率が1.9→2.1%に上伸したため、期初計画を若干割り込みました。
 

進行期である2018年3月期の売上高は前期比3.7%減の143億円、経常利益

は同1.3%増の48.0億円を予想しています。既述の藤沢サミットの通年稼働

にくわえ、稼働率の改善を見込んでいるものと推察されます。既に7月末に

1Qが開示されていますが、通期予想に対してインラインで進捗しています。

当社はこれまで中期目標値として、2018年3月期(要は今期)に売上高200

億円、営業利益70億円を掲げておりましたが、今期予想は既にかなり下で

立てていますので、明らかに野心的な数値目標ではありましたが、事実上

“白旗”となる見込みです。そして、これに代わる新中計を2月に公表して

おり、5年後の2022年3月期に売上高200億円(CAGR7%)、経常利益70億円

(CAGR8%)を改めて目指す計画となっています。


本来であればこの中計も信頼度が薄いはずですが、3月に大阪城裏手の

大阪ビジネスパークで素地(※株主通信表紙)を2,000坪も仕込んでおり、

早ければ2020年下期にも新しいDCを竣工する予定となっており、かなりの

賃料収入の増加が見込まれますので、今回は画餅中計とも言えません。

またこの他にも虎ノ門で古ビルを再開発用に購入しているため、この辺も

いずれ寄与してくるほか、DCビル中心の当社ポートにどこまで影響がある

かどうかは謎ですが、大阪のオフィスビル空室率が史上空前の低い水準

で推移しているため、賃料増額はともかくダウンサイドが極めて限定的で

あることは、向こう5年間の中計期間中は大きな支援材料と言えます。

ただ基本的に、財務を痛めて積極的な物件取得をするという方針であり、

中計5年間で自己資本比率を52.0→46.7%まで落として、デットを膨らませて

取得原資とする方針です。そのため、豊富な手許現金と150億円弱の保有

有価証券を考慮すればまだまだ安全域ではあるものの、配当性向は現行

の30%水準を維持する計画となっており、一転して株主還元施策の改善は

期待薄になったと思われます。そのため、向こう数年は年1円程の増配か

ごく少量の自社株買い程度しか実施してこないものと推察されます。

*参考記事① 2017-01-07 624円 ーーー

関西ア銀本店ビル剥落響くも、財務は急改善・京阪神ビルディング(8818)。

*参考記事② 2015-06-20 748円 ーーー
首都圏で物件取得を加速、お米券優待の京阪神ビルディング(8818)。

 

 

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