注文通りの高成長も、競争激化で利益確保に課題・IBJ(6071)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【6071】IBJ(東証1部) --

現在値 571円/100株 PER24.8 PBR10.4  6月・12月配当 株主優待あり

婚活サイトを核に各種婚活サービスを提供。直営で結婚相談所も展開。
配当金予想は開示しておりませんが、実績ベースでは12月一括・6円のため、
参考配当利回りは1.05%となります。


IBJは株主優待制度を導入しており、6月・12月時点で単元株以上を保有する
株主に対して、婚活パーティーの無料招待券を進呈しております。また、長期
優遇制度として、1年以上保有する12月時点の株主に対して、フラワーギフト
券を千円進呈していますので、この場合の配当優待利回りは2.80%となります。


業績を確認していきます。 
■2013年12月期 売上高 25.7億円、営業利益 4.5億円 EPS 7.2円  
■2014年12月期 売上高 33.1億円、営業利益 6.4億円 EPS 10.8円
■2015年12月期 売上高 41.2億円、営業利益 8.4億円 EPS 15.2円
■2016年12月期 売上高 52.6億円、営業利益 11.1億円 EPS 19.9円
■2017年12月期 売上高 93.0億円、経常利益 12.8億円 EPS 23.6円 ce
□2017年6月中間 売上高 44.0億円、経常利益 5.6億円 EPS 10.4円 ce

2016年12月期の売上高は前期比27.8%増の52.6億円、営業利益は31.8%増
の11.1
億円となり、期初計画を上回りました。婚活サイト運営のコミュニティ
事業がやや伸び悩んだものの、イベント事業が他社との協業により大幅増と
なったほか、直営結婚相談所のラウンジ事業が病院・医大等との提携により
ハイクラス男性の囲込みを強化した結果、男性入会者が大幅に増加しました。


進行期である2017年12月期の売上高は75.7%増の200億円、営業利益は15.3
%増の12.8億円となる見通しです。トップラインが飛躍的な伸びとなりますが
これは昨年12月に子会社化した旅行会社の「かもめ」の業績が寄与することが
大きく、売上高で30億円・営業利益で0.3億円の上乗せが見込まれますが、

のれん償却(0.4億円)により利益貢献は先となります。基本的には全セグメント
の増収を計画していますが、婚活サイト事業だけは減収見通しであり、スマホ
の普及による、ネット婚活業界の"レッドオーシャン化"の一端が垣間見れます。

今期は2018年12月期を最終年度とする中計の中間年度であり、来期の売上高
100億円、営業利益20億円を計画しています。「かもめ」の買収により、売上
だけは完全に射程に捉えたものの、営業利益の達成のハードルはかなり高い
ものと見られます。会社側では現在60万人弱の会員に対して、いわゆる"婚活"
だけでなく、旅行や保険などに派生させることで等比級数的に利幅を確保する
青写真を描いていると思われますが、肝となる会員数の増加が緩やかであり、
一段の広告宣伝費の投入が必要となる可能性が高く、利益を押し下げます。

当社経営陣は旧ブライダルネット創業者である興銀出身の石坂社長にくわえ、
興銀出身をズラリと並べているので、中計目標値の意義や妥当性などを重々
理解している面子だと思いますので、ある程度信用出来るものと思いますが、
それでも本中計や公表目標成長率(CAGR20%)は野心的だと考えています。


一方、株主還元については、配当性向30%基準で増配を継続しているほか、
継続的な自社株買いを実施しており、前の期の実績総還元性向は56.2%に
達しました。足許の4月でも1.3億円(0.6%)を上限とする自社株買いを殆ど
済ませているため、今期も総還元性向ベースでは40~50%の高還元が進む
ものと見られます。


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