低簿価の保有物件はあとどれだけ?ファーストブラザーズ(3454)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3454】ファーストブラザーズ(東証一部) ---

現在値 1,732円/100株 PER5.2 PBR1.23 11月配当 株主優待あり

不動産の私募ファンド運用と自己勘定投資が柱。首都圏商業施設多い。
配当は11末に30円を予想していますので、配当利回りは1.73%となります。

ファーストブラザーズは株主優待の実施実績があり、16年11末の単元
株主に対し、3,000円分のクオカードと紀尾井町GTのイタリアン「Salotto
 CANTICO」で使用出来る食事券10,000円相当の進呈がありましたが、
今期以降の株主優待の実施については現時点では未定です。


業績を確認していきます。
■2013年11月期 売上高 32.9億円、経常利益 ▲0.4億円、EPS▲44.9円
■2014年11月期 売上高 107億円、経常利益 21.5億円、EPS 117円 
■2015年11月期 売上高 45.5億円、経常利益 26.5億円、EPS 242円 
■2016年11月期 売上高 146.0億円、経常利益 36.6億円、EPS 324円 
■2017年11月期 売上高 180.7億円、経常利益 36.8億円、EPS 342円 ce
□2017年5月中 売上高 80.0億円、経常利益 18.0億円、EPS 142円 四e 

2016年11月期の売上高は前期比3.2倍の146億円、経常利益は同37.8%増の
36.6億円となり、期初予想を上回り大幅な増収増益となりました。青山通り
沿いにSOHOビルを僅か半年で転売したり、この他に芝浦のビルや、渋谷
・神南で
何年も前に買っていた店舗ビル(従来はファストリが所有)を住商の
私募リートに売却したことで、自己勘定の売上と利益がハネ上がりました。

なお今2017年11月期の予算については、売上高が23%増の180億円、経常
利益は同0.7%増の36.8億円を予想しております。安定収益源である運用事業
(要はAM事業)が、ファンドの投資案件の売却によるAUMの減少でフィー収入
等が減少するため、一気に損益均衡圏まで引きずられはするものの、投資
銀行事業での物件売却が進む公算で、過去最高益を更新する見込みです。

当社は2015年2月のマザーズに上場し、昨年10月には既に東証一部に指定
変更となっています。定量的な目標値として、4年後の2020年11月期に売上高
総利益ベースで100億円(実績52億円)を目指しておりますが、マザーズ市場の
上場時に、想定価格@2,490円だったところ、実際は@2,040円まで公募価格を
下方修正させられ、しかもその@2,040円水準ですら東証一部指定替えの時に
クリア出来ず、追加の増資が出来なかった点については留意が必要です。

ただマテリアルによれば会社側も現状の不動産市況には割高感を抱いている
印象であり、無理に資金調達して「高値掴み」する意思は一切感じられません。
そのため現在保有する賃貸不動産残高251億円(と含み益68億円)を切り売り
しながら、数字を作っていく形になろうかと思います。

悩ましいのは、会社側はこの含み益の拡大41億円→68億円を強調しますが、
結構売り買いしていますので、低簿価の保有物件は少なくなっていて、実際は
capレートの変化による含み益拡大による側面が大きいという点です。実際に
当社は評価額の弾力性の高い一等立地商業物件を好むので、一旦市況が
悪くなると含み益の減りが激しくなりますので、その辺は特に過信禁物です。

まぁ、そのような状況ではあるものの、前の期に初配ながら50円も出してきた
のは、会社側にそれなりの手応えがある証拠だと思いますし、それとは逆に
今期の配当予想を30円に減配して様子を見てきたのは、会社側が現在の
不動産市況を警戒しているというメッセージ性のあるものと捉えることも可能
ですので、まずは非開示の中間時点までに「見れる」数字を作ってくるかどう
かに注目していきたいと思います。


*参考記事① 2015-07-18  2,518円 ---
2Qで通期予想を超過し再増額気配、ファーストブラザーズ(3454)。


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