とある売れない二流小説家の彼のもとに、
一流、いや一級犯罪者からの依頼が舞い降りる。
彼の謎解きは、随所に散りばめられた、
ガラスの破片のような伏線を拾い集めるも、
破片は破片、ガラクタばかり。
死刑囚の言いなりに仕事をし、
そして凄惨でエロティックな死体が積み上げられる。
相棒の小さな少女に頼らなければまるで進まない、
推理小説家を目指すにはあまりにも致命的な知能。
一流の殺人鬼ともなる人間は、いっけんただのサイコパスのようでいて、
人間の感情を思うとおりにコントロールできるものなのか。
幸せなエンディングにしても死のにおいと、繰り返される挫折のさびはごまかせない。
清顕、勲、月光姫。
二十年の輪廻のサイクルと、
転生のしるしに翻弄される本多は、
老いて、その澄明だった目に寸分の狂いが生じる。
自らの醜さをそのまま投影したような少年は、
次第にその種を伸ばし、暴走し、本多を追い込む。
自分の行為が、自分の精神の活動の果てに生まれ、
緻密さと複雑さを孕んだ感情の膿んだ忌み子であったと信じていたものが、
他人には、ただの愚かで下劣な醜聞となり、
自分の人生を賭して追い求め、
世界のすべてに繋がる、自分の使命だと思ったものが
輪廻の始まりを作った張本人によって崩壊される。
そのたったひとことで、ひとりの人生の意味に疑問符をつける。
この原稿を入稿したのち、
三島は自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げる。
どんなに思想の混沌と苦しみがあろうとも
結局のところは、というのが
三島が行き着いた答えなのか。
二十年の輪廻のサイクルと、
転生のしるしに翻弄される本多は、
老いて、その澄明だった目に寸分の狂いが生じる。
自らの醜さをそのまま投影したような少年は、
次第にその種を伸ばし、暴走し、本多を追い込む。
自分の行為が、自分の精神の活動の果てに生まれ、
緻密さと複雑さを孕んだ感情の膿んだ忌み子であったと信じていたものが、
他人には、ただの愚かで下劣な醜聞となり、
自分の人生を賭して追い求め、
世界のすべてに繋がる、自分の使命だと思ったものが
輪廻の始まりを作った張本人によって崩壊される。
そのたったひとことで、ひとりの人生の意味に疑問符をつける。
この原稿を入稿したのち、
三島は自衛隊駐屯地で割腹自殺を遂げる。
どんなに思想の混沌と苦しみがあろうとも
結局のところは、というのが
三島が行き着いた答えなのか。
滝の下で出会った少年には
脇の下の星座のようにならぶ黶が刻まれていた。
彼には、清顕のような美しさや傲慢さはないが、
己の信念が唯一無二という、強烈な自意識があった。
彼を救いたいという本多のたくらみは、
流れる川を塞き止めようとして立てた一本のさおのように
運命はそれを凌駕し、指の隙間からこぼれ落ちていく。
彼の美しく純粋な思いは、
世界にほんのわずかな痕跡を残して、
本多の心に深い世界を作り、
次の自分に魂だけを残して、消滅する。
果たしてこれは、本当に転生なのか。
それとも本多の世界の中の出来事に過ぎないのか。
脇の下の星座のようにならぶ黶が刻まれていた。
彼には、清顕のような美しさや傲慢さはないが、
己の信念が唯一無二という、強烈な自意識があった。
彼を救いたいという本多のたくらみは、
流れる川を塞き止めようとして立てた一本のさおのように
運命はそれを凌駕し、指の隙間からこぼれ落ちていく。
彼の美しく純粋な思いは、
世界にほんのわずかな痕跡を残して、
本多の心に深い世界を作り、
次の自分に魂だけを残して、消滅する。
果たしてこれは、本当に転生なのか。
それとも本多の世界の中の出来事に過ぎないのか。
天 に与えられた美と
傲慢な自意識は
彼を優雅の沼に溺れさせて、なのにそれに気づかない。
けれど、
彼を満足させ、そして不愉快にさせるひとの存在が
恋の喜びに目覚めさせる。
でも、彼の恋は、愛には昇華せず、
身勝手な欲の塊で彼女を傷つける。
それでも、そうすることしかできなかった、
そうすることしか考えることができなかった彼は、
彼女を永遠に失い、
彼女は結局、なににも汚されず傷つけられない存在になる。
彼が最後に発した「また、会うぜ。滝の下で」という言葉は
彼の魂との再会の約束となる。
しかしこの輪廻のはじまりは、
奇跡のような特別なことなのか
万物の流転に組み込まれたうねりのひとつなのか
それとも。
ただの美しい悲恋のものがたりだったら、幸せだったのに。
傲慢な自意識は
彼を優雅の沼に溺れさせて、なのにそれに気づかない。
けれど、
彼を満足させ、そして不愉快にさせるひとの存在が
恋の喜びに目覚めさせる。
でも、彼の恋は、愛には昇華せず、
身勝手な欲の塊で彼女を傷つける。
それでも、そうすることしかできなかった、
そうすることしか考えることができなかった彼は、
彼女を永遠に失い、
彼女は結局、なににも汚されず傷つけられない存在になる。
彼が最後に発した「また、会うぜ。滝の下で」という言葉は
彼の魂との再会の約束となる。
しかしこの輪廻のはじまりは、
奇跡のような特別なことなのか
万物の流転に組み込まれたうねりのひとつなのか
それとも。
ただの美しい悲恋のものがたりだったら、幸せだったのに。
いい感じに力の抜けた「空中ブランコ」シリーズを書いたのだ、この人が。
端正で、優美で、明晰で、孤独な青年が
肉親の死を端として、テロリストへと変貌していく。
東京オリンピックという、日本の新しい未来への象徴は、
誰も知らない貧しい労働者たちの命を削ったぶん、日本人の希望を内に込めて膨らむ。
犠牲になった兄、搾取する上司、その上から搾取する支配者、
その終わりない貧しい食物連鎖のピラミッドと、
全く地面の高さを異にする特権階級の世界と。
国民の安全よりも、国家としての対面を保とうとする政府と。
彼を止めるために奔る、名もなき戦士たち。
これは、彼の、地下への転落なのか?
それとも、昇華というべきか?
生きながらの生まれ変わりなのか。
「もはや戦後ではない」ことを象徴するイベントであるにも関わらず、
彼の計画が成就してほしいと願ってしまう気持ちと、
誰も死なず、彼も捕われず、止まってほしいという願いが交錯する。
最後のシーンは、救いなのか、それとも。
端正で、優美で、明晰で、孤独な青年が
肉親の死を端として、テロリストへと変貌していく。
東京オリンピックという、日本の新しい未来への象徴は、
誰も知らない貧しい労働者たちの命を削ったぶん、日本人の希望を内に込めて膨らむ。
犠牲になった兄、搾取する上司、その上から搾取する支配者、
その終わりない貧しい食物連鎖のピラミッドと、
全く地面の高さを異にする特権階級の世界と。
国民の安全よりも、国家としての対面を保とうとする政府と。
彼を止めるために奔る、名もなき戦士たち。
これは、彼の、地下への転落なのか?
それとも、昇華というべきか?
生きながらの生まれ変わりなのか。
「もはや戦後ではない」ことを象徴するイベントであるにも関わらず、
彼の計画が成就してほしいと願ってしまう気持ちと、
誰も死なず、彼も捕われず、止まってほしいという願いが交錯する。
最後のシーンは、救いなのか、それとも。
ぼくもいつか、「キレて」しまうんだろうか。
思春期、時代の反映、といったらそれまでなんだろうけれど
大人になった今から見れば、自分のその気持ちを、思春期、反抗期で片付けられるんだろうけど
その時の自分の
あせり
もやもや
あきらめ
意地や見栄
正義感
性「悪」感
どすぐろいところ
きたないところ
いやらしい気持ち
そういうものは、自分以外の人は誰も持っていなくて
自分がとても危ない人間、汚い人間じゃないのだろうかと思う。
そういうところがあるところを、人に言えない、隠したい、認めたくない。
どうしても、自分の衝動と理性とバランスが取れなくて、
それを我慢できなくて、外に出してしまうこともある。
気持ちのバランスが取れていても
それが正解な訳でも、解決な訳でもない。
でも、そんなことを理由にして、
カッコつけてても、斜に構えても、前には行けないし。
思春期、時代の反映、といったらそれまでなんだろうけれど
大人になった今から見れば、自分のその気持ちを、思春期、反抗期で片付けられるんだろうけど
その時の自分の
あせり
もやもや
あきらめ
意地や見栄
正義感
性「悪」感
どすぐろいところ
きたないところ
いやらしい気持ち
そういうものは、自分以外の人は誰も持っていなくて
自分がとても危ない人間、汚い人間じゃないのだろうかと思う。
そういうところがあるところを、人に言えない、隠したい、認めたくない。
どうしても、自分の衝動と理性とバランスが取れなくて、
それを我慢できなくて、外に出してしまうこともある。
気持ちのバランスが取れていても
それが正解な訳でも、解決な訳でもない。
でも、そんなことを理由にして、
カッコつけてても、斜に構えても、前には行けないし。
世界で一番素敵なラヴレタ ー。
一方的なのに通じあってる、
親切なのにわがままで、
やきもちやきなあしながおじさん。
彼からの約束を果たすべく、
勉学に励み、作家を目指すジルーシャ。
義務のはずが愛情を込めすぎているほどの素敵な手紙を送り続ける。
しかし、
おじさんからも独り立ちすべき時が来て、
愛する男性を目の前にした時、
究極の選択を迫られる。
悩み苦しみ、自分の生い立ちを否定するジルーシャ。
愛しているのに拒んでしまったことを告白する。
断崖絶壁に立ったジルーシャに、
ある奇跡が訪れる。
そして、ジルーシャは、愛する男性に宛て、
世界でいちばん素敵なラヴレターを送る。
幸せは、そこにあるの。
大好きです。
一方的なのに通じあってる、
親切なのにわがままで、
やきもちやきなあしながおじさん。
彼からの約束を果たすべく、
勉学に励み、作家を目指すジルーシャ。
義務のはずが愛情を込めすぎているほどの素敵な手紙を送り続ける。
しかし、
おじさんからも独り立ちすべき時が来て、
愛する男性を目の前にした時、
究極の選択を迫られる。
悩み苦しみ、自分の生い立ちを否定するジルーシャ。
愛しているのに拒んでしまったことを告白する。
断崖絶壁に立ったジルーシャに、
ある奇跡が訪れる。
そして、ジルーシャは、愛する男性に宛て、
世界でいちばん素敵なラヴレターを送る。
幸せは、そこにあるの。
大好きです。
罪と、罰と、復讐と、因果による、美しい短編集。
本当に狙われていたのは、あなたではなく、…
あなたが殺したのは、その人出はなく、…
あなたが犯したのは、その罪ではなく、…
本当に殺人を犯したのは、彼女ではなく彼女で、…
あなたをそばにおいた目的は、あなた自身のなかにあって、…
すべてが全く切り口の違う事件。
しかしそこには、それぞれ、ぞっとするような思惑と、一途な美しさと醜さがあって…、
驚かされる。
米澤穂信の「儚い羊たちの祝宴」に通じる部分もありますが、別物。
結構好き。
本当に狙われていたのは、あなたではなく、…
あなたが殺したのは、その人出はなく、…
あなたが犯したのは、その罪ではなく、…
本当に殺人を犯したのは、彼女ではなく彼女で、…
あなたをそばにおいた目的は、あなた自身のなかにあって、…
すべてが全く切り口の違う事件。
しかしそこには、それぞれ、ぞっとするような思惑と、一途な美しさと醜さがあって…、
驚かされる。
米澤穂信の「儚い羊たちの祝宴」に通じる部分もありますが、別物。
結構好き。
ザンギリ頭を叩いてみれば、文明開化の音がする。
アイスクリンをすくってみれば、明治の恋心こぼれる。なんてね。
お江戸から東京へと、めまぐるしく時代は変わり、
アイスクリン、ワッフルス、シュークリーム、エクレア、
素敵な西のほうのお菓子が元江戸人の口に入るようになる。
生きるために、人も、開化してかなくてはならない。
新しい人生に、生き方に、開花していかなくちゃならない。
でも、いつの時代も人が考えることは一緒で、
抱く想いは同じ。
菓子箱についていたチープなリボンをもらっただけで、
毎日髪に飾るほど喜ぶ女子もいる。
仲間のために奔走する愛すべき馬鹿な友もいる。
お菓子をただのお菓子と軽んじちゃぁ、いかんぜよ。
「殺人鬼フジコの衝動」よりも、断然こっち。
一話完結型のオムニバス形式で構成される、
現代社会特有の心の病、人との距離感が、建前と嘘と誤解が招く、
できごとと犯罪。
人が語る出来事というのは、
事実と言いながらも、主観やエゴや見栄やプライドが
色眼鏡のようになってしまう。
だけどそもそも、人の目が写すのは、そのものの本当の色なのか?
そもそも、本当の色というのは存在するのか?
一話完結型でありながら、
ひとりの女…そもそも、ひとりかどうか?の存在が伏線となり
それぞれの話に現れる人々が繋がりあって、
あなたをカオスに取り込む。
読みやすい人の心のグロッキー。