続・タクシーと「品格」の話 | 〜 シゲさんの「疾風勁草」ログ 〜

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2014.6.1~ReNew!

〜Photologue〜

写真一枚からの日常ログを書き綴っていきます。

それと、、、(不定期になりますが)
東日本大震災から丸三年が過ぎた今、自身で経験したボランティア活動を一枚の写真から振り返っていきたいと思います。

~ シゲさんの「疾風勁草」ログ ~


昨日は、

藤沢周平さんのエッセイを引き合いにして記事を書きました。


書いているうち、、、

確か、池波正太郎さんにもタクシーにまつわるエッセイがあったことを思い出しました。



池波正太郎のエッセイも好きで、文庫本も数冊持っています。


そのなかの写真中央下の『男の作法』は愛読書の一つ。


いつ読んでもおもしろいです。


捉え方が具体的で普遍的なんですよね。

そして、ブレない。カッコつけない。


だから読んでいて安心します。


だって、、、

刺身の食べ方から、寿司屋や蕎麦屋での作法、そして親の敵のように食べろという「天ぷら」の話(笑)。


ちょっとだけ時代とのギャップはありますが、物事を捉える底辺のところで、日本人としてのDNAがくすぐられます。


その点、時代を超えて読み継がれていって欲しい本の一つです。



   *   *   *



さて、タクシーと「品格」の話に戻りますと。。。



池波正太郎さんは、『男の作法』という本の中で、

「チップ」という題目でこのタクシーにまつわる話を語っています。



 --- タクシーに乗って、

  メーターが五百円だったら六百円やる。


  「どうもご苦労さん。これは結構です……」


  と、百円チップをやることによって、

  やったほうも気分がいいし、


  もらったほうも気分がいいんだよ。


  もらったほうは、

  自分はわりに親切でもないんだけど、

  とにかくこの程度の運転をしていれば、

  お客さんが百円余分にくれるんだなとわかるわけでしょう。 ---



池波さんは、これは大変なことなんだと言います。


池波さん自身も、、、


 --- 運転手がイヤな奴だったら百円だってやらない…


(笑)


でも普通にある程度やってくれたら必ずやる。

昔からそうしてきたと。

それは、当時の大人たちがそうしていたからだと。


確かに、、、

ちょっと前は、千円札を出して”お釣りはいいよ”という先輩達が結構いたように思います。


今は、、、

何か気恥しさもあるのか、すたれてきた振る舞いのように思います。



 --- 今度タクシーに乗ったときにだね、

   やってごらんなさい。

   運転手がたとえ百円でもうれしくなって、

   「どうも済みません、ありがとうございます……」

   と、こう言いますよ。

  


そして、こうも……



 --- 「ありがとう」だけじゃ駄目なんだよ。


   (中略)


  そこへ身銭の百円を出すことによって、

  ああ、この人はほんとに「ありがとう」といっているんだ、

  ということがわかるワケなんだよ。


   *   *   *



実は、この話。。。


タクシーから、チップへ、

チップから「品格」へ。

「品格」から「男みがき」の話へ。

そして「男みがき」から「小遣い」の話へと。

そんなエッセイの構成になっていて、上記はその一部の内容です。


もはや、、、

前記事の「タクシーメーター」からは完全に話がそれています(笑)。



   *   *   *



私も、、、


時々、お話をしてくれたり、急ぎのお願いに応えてくれたタクシーの運転手さんには、一旦、お釣りを受け取ってから、自分の小銭とあわせて、缶コーヒーでもどうぞとお渡しすることをしています。


それは、毎々やみくもにではなく、

運転手さんに感謝を感じたとき、自然と湧く気分に従って行なっています。


書けば、なんか偉そうな感じになってしまいますが…
気持ちとしては、飲み物一本をお渡ししている感覚です。



最初したとき、、、


 実はドキドキでした(苦笑)。


運転手さんによって、いろんな反応がありますが、総じて、軽い驚きはあるものの、悪いことになったことは幸いありません。


そう、

例えていうなら、電車で席をゆずる感覚に似ています。



確かに、たかが100円とか150円ですが、、、


カッコつけるのでもなく、過大なチップでもなく、


”次乗る人にも、気持ちよく接してあげてね”


みたいな、


そんなキモチが伝わったとしたなら、


小さな感謝で、世の中への大きな伝染になるかもしれません。



そう考えれば、サービスを受ける側が差し出す「チップ」って、物凄い意味と効果があるかと思います。



チップ用として小銭を持ち歩く文化っていうのは、、、

ある意味、”大人だなぁ~”と思います。

文化度が高いと感じます。



平凡サラリーマンの小生には、日常的にこんな振る舞いのシーンが多々あるわけではありませんが、

普段からそんな行為が自然とできるような「品格」を意識すること位はしていきたいと思います。



-END-